オンラインで全国の子どもが学ぶ楽しさを体感
企業や行政と連携し子どもと社会の接点を増やす
株式会社イノビオット

  • 取材:種藤 潤

 新型コロナ感染拡大の影響もあり、オンライン学習は一般化し、様々な教育サービスが提供され始めている。イノビオットもオンラインプログラミングスクールを提供する会社のひとつだ。現在はそのノウハウを生かし、オンラインイベントを積極的に企画。子どもと企業や行政がつながる新たな仕組みを作り上げようとしている。

イノビオット創業者の福田紘也代表取締役(左)と齊藤陸取締役(右)

金融やSDGsをテーマに 楽しみながら社会を学ぶ

 2022年、イノビオットは小学生向けのオンラインイベントを積極的に開催してきた。

 ひとつは、ワークショップ。金融やSDGsなどテーマに沿ったゲームを制作し、それを活用したクイズ形式で、子どもが楽しみながら金融やSDGsについて学んでいくものだ。例えば、金融のテーマでは「おこづかいマスター」というゲームを通して、小学生たちはクイズに回答しながら、お金の使い方などについて学んでいった。

 もうひとつは、アイデアコンテスト。SDGsに関連する様々なテーマを出題、それに対して小学生たちが自らのアイデアを具現化したプレゼンテーションを行い、優秀な事例は表彰された。例えば、アプリ開発のテーマでは、「消費ちかアプリ」という、食品の無駄をなくすための消費期限管理アプリが受賞。また、秘密基地を考えるテーマでは、太陽光発電などを組み合わせて環境負荷を減らす「エコエコルンルン秘密基地」が受賞した。

 これらのイベントには、保護者も参加でき、教育・受験がわかるミニセミナーも開催。親子揃って楽しみながら学べる機会を提供し、結果、延べ2万世帯の集客を達成した。

 イベントを積極的に行う目的のひとつは、同社のミッションである「プログラミングや金融、SDGsなど先端教育の機会格差の解消」にあるが、もうひとつの目的は、企業と子どもおよび保護者との新しい接点の創出である。創業者の一人、福田紘也代表取締役はいう。

 「企業は今、将来の顧客開拓を見据え、様々な形で小学生世代の世帯と接点を持ちたいと思っています。我々はプログラミングスクール運営で培ったゲーム制作のノウハウと、オンラインによる子どもたちとのコミュニケーションスキルを活かし、協賛いただく企業の事業テーマに沿ったイベント内容を企画し、子どもが楽しく社会を学びながら、企業ブランディングを実現できる仕組みを構築しています」

同社が現在力を入れている、小学生向けのオンラインイベントのチラシの一例(上)。プログラミング教育とともに、金融教育を身近にするためのゲーム(下2枚)とワークショップを、金融機関の協賛、関西エリアの教育委員会の後援により開催した(提供:イノビオット)

専門性よりコミュニケーション力 子どもの学ぶ楽しさを引き出す

 イノビオットの創業は2018年だが、実は福田代表は、その2年前から小学生向けのプログラミングスクールの運営を行っていた。その背景には、小学校でのプログラミング教育の本格的な導入があった。学習塾大手なども教室運営に参入し、福田代表もその需要の手応えは感じつつも、リアルな場での教室運営には限界を感じていた。

 「大手が先行していましたし、資本力の影響も大きいと感じていました。それに、私は地域を限定せず、全国の子どもたちを対象に授業をしたいという思いがありました。そこで、オンラインという手段に着目しました」

 創業当時は、オンライン学習自体、世の中に浸透していなかった。そのため、福田代表は一から独自にオンラインのプログラミングスクールの形を模索し、2年を経て『みらいいアカデミア』の授業スタイルに行き着いた。

 「プログラミングスクールの多くは、その技術を与えることに重きを置いていますが、『みらいいアカデミア』では、自ら考え、学ぶ自主性を大切にしています。そのため、講師はプログラミング技術の専門性よりも、コミュニケーションスキルを重視しています。また、オンラインの特性を生かし、マンツーマン形式で寄り添いながら学習を進められることも特徴です。さらに、オンラインだと自宅で取り組むため、子どもの学習の様子を保護者にも見ていただきやすく、保護者とのコミュニケーションも取りやすいメリットもあります」

 そんなとき、新型コロナウイルス感染拡大という思わぬ“追い風”が吹いた。もちろん、社会全体としては大きなダメージだったが、リモートライフの普及とともに通信環境が向上。さらにオンライン授業を受ける抵抗感も払拭されたと、福田代表は語る。

子どものアイデアをプレゼンする「アイデアコンテストプレゼンテーション大会」授賞式の様子(上)。消費期限を可視化・管理し食品ロスを削減するアプリ(中)や、環境負荷を減らす太陽光発電の機器を設置した「エコエコルンルン秘密基地」(下)などが表彰された(提供:イノビオット)

商品企画や食育イベントを予定 企業や行政とともに課題解決を

 『みらいいアカデミア』は、あえてマスメディア等での広告は行わず、自社ウェブメディア『みらいい』と、利用者からの紹介を中心に募集。延べ400もの世帯が参加し、継続する子どもがほとんどだという。

 福田代表とともに創業した齊藤陸取締役は、『みらいいアカデミア』は家庭や日常生活にも好影響を及ぼすという。

 「弊社のオンラインプログラミングスクールを受講すると、プログラミングを通して学ぶこと自体の楽しさや論理的思考力が身に付き、コーチとのコミュニケーションによって自分の“好き”や“得意”に気づくことができます。また、オンラインなので不登校の子どもも参加でき、その子にとって安心できる第三の居場所になっているようです」

 他にはない、オンラインプログラムスクールのロールモデルの構築に成功。2021年には、本社を置く千葉市主催の「第19回ベンチャー・カップCHIBA」でグランプリを獲得した。

 一方で、『みらいいアカデミア』の運営を通して培われた意外なスキルがあった。子どもたちが楽しく参加できるゲームの開発力だ。前出のオンラインワークショップができるのも、この要素があるからである。

 今後はさらに多様なイベントを企画し、参加企業の業種を増やしていきたいと、齊藤取締役は語る。

 「これまで行ってきた金融、SDGsというテーマに加え、商品企画(アントレプレナー)や食育も取り入れたイベントも考えています。今後もさらにテーマを広げていきたいですね」

 福田代表は、行政や学校関係との連携も強化していきたいと意気込む。

 「すでに葛飾区、江東区、江戸川区など、60を超える市区町村の教育委員会とも連携し、イベントチラシの配布協力を行っていただいています。たとえば、SDGsなら環境関係、アントレプレナーなら経済産業関係の省庁や行政担当が参加いただけると、イベントの内容ももっとリアルで濃密になり、子どもや保護者も関心を持つと思います。ぜひ一緒にイベントを盛り上げていただけると嬉しいです」

 直近では、来年3月と8月に「みらいいひらめきラボ2023」というイベントを予定しており、協賛、後援を募集中とのこと。詳細はウェブメディア『みらいい』またはイノビオットまでお問い合わせを。

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