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特集
2011年2月20日号
News Focus

東京の現在を支え、未来を創る下水道

「経営計画2010」実施から1年

 下水道局がまとめた「経営計画2010」が実施されてからまもなく1年を迎える。大都市東京の生活基盤を支える上で欠かせない重要なインフラである下水道。生活排水の処理をはじめ、近年多発している都市型水害への対応、良好な水環境の維持と継承など幅広い役割を担っている。また地球温暖化対策や資源の再利用など、環境に対する取り組みも局をあげて推進しているところだ。「経営計画2010」の現在の取り組み状況を紹介する。

 

主要施策を着実に推進

「経営計画2010」

 平成22年度から24年度までの3年間を計画期間とした「経営計画2010」の実施期間に入り、まもなく1年が経過しようとしている。

 この計画は、下水道事業を通じて東京の現在(いま)を支え、よりよい未来(あす)を創りだしていくという考え方に基づき、お客さまである都民に約束するものとして、3つの経営方針を定めている。

 1.「お客さまの安全を守り、安心で快適な生活を支えます」

 都市に不可欠な下水道のライフラインとしての役割に着目し、生活環境を改善し、浸水から都市を守るという下水道の基本的な役割を着実に果たすとともに、局所的集中豪雨などの不測の事態にも対応できるようにその機能を向上するというものである。

 2.「良好な水環境と環境負荷の少ない都市の実現に貢献します」

 下水道が環境の保全に果たす役割に着目し、良好な水環境を次世代へ引き継いでいくため、東京湾の水質改善や地球温暖化対策などに全力を尽くすとともに、下水の持つポテンシャルを有効活用することで、世界で最も環境負荷の少ない首都東京の実現に貢献するというものである。

 3.「最少の経費で最良のサービスを提供します」

 公営企業である下水道事業の経営の原点である公共性と、経済性を最大限に発揮する点に着目したものである。

 不断の経営効率化に努めて経営基盤を強化することで、最少の経費で最良のサービスをお客さまに安定的に提供していくこととしている。

 以上の経営方針の下、「施設の再構築」や「地球温暖化対策」などの主要施策を着実に推進している。

 

経営計画の取組の状況

お客さまの安全を守り、安心で快適な生活を支える

 古くから下水道が整備された東京都区部では、耐用年数を超えた下水道管の延長が1500㎞に達しており、さらに、高度成長期に集中的に整備した下水道管が今後、一斉に耐用年数を超過するなど、施設の老朽化が進行している。

 このため、計画的な補修など予防保全を重視した維持管理により、下水道施設を延命化するとともに、老朽化した施設を更新し、あわせて機能向上を図る「施設の再構築」を実施している。整備年代の古い都心4処理区(芝浦、三河島、砂町、小台)の下水道管の再構築については、平成22年度からの20年間で完了することを目標とし、計画期間中に1200haの整備を行うこととしている。

 浸水に対する安全性を向上させる「浸水対策」では、くぼ地や坂下など雨水が集まりやすい地区を対策促進地区(20地区)に選定し、1時間50ミリの降雨に対応するため、幹線やポンプ所など基幹施設を整備する抜本的な対策を推進している。さらに、1時間に50ミリを超える降雨に対応するため、東京駅八重洲口地区で平成22年度に地下街対策を完了するとともに、東京駅丸の内口地区などの地下街で施設整備を検討している。

 大規模な震災の発生に備える「震災対策」では、避難所など2500カ所のトイレ機能を確保するため下水道管とマンホールの接続部について耐震化を推進していくとともに、緊急輸送道路など約500㎞においてマンホール浮上抑制対策を平成22年度までに完了する予定である。

 

良好な水環境と環境負荷の少ない都市を実現する

新型太陽光発電設備

新型太陽光発電設備

 東京の下水道は多くの地域で合流式下水道が採用されており、大雨が降ると汚水混じりの雨水やごみなどが河川や海へ流れ出てしまうことがある。

 「合流式下水道の改善」では、流れの少ない河川区間など14水域で、降雨初期の特に汚れた下水を貯留し、降雨後に水再生センターに送水・処理するための貯留施設を重点的に整備する。

 また、下水道と河川や海との接続部である雨水吐口での、ごみなどの流出抑制対策を平成22年度までに概ね完了する。

 年間90日程度発生している東京湾の赤潮の一因となっているちっ素、りんを、下水処理水から同時に取り除くため、「高度処理」の施設整備を推進するとともに、既存施設においても簡易な施設改造と運転管理の工夫を組み合わせて、ちっ素またはりんの削減効果を高める準高度処理を新たに導入している。

汚泥ガス化炉

汚泥ガス化炉

 これらの取り組みにより、平成24年度までに、下水処理水全量のうち高度処理を行う処理水の割合は13%から29%に向上する見込みである。

 「資源の有効利用」では、再生水の供給能力と水質の向上を図り、供給先を拡大するとともに、砂町水再生センターに汚泥炭化炉を増設するなどにより、下水汚泥の資源化と未利用エネルギーの活用を推進している。

 「地球温暖化対策」では、新たな視点や技術を積極的に取り入れ、下水道事業から排出される温室効果ガスを平成32年度までに平成12年度比で25%以上削減することを目標とし、省エネルギー型機器の導入により消費電力量を削減する。

 また、新型の汚泥焼却炉の導入などにより、下水の処理過程で発生し、二酸化炭素の310倍の温室効果を持つ一酸化二窒素を削減することとしている。

 昨年4月には葛西水再生センターで、太陽の向きに合わせてパネルが動く新型太陽光発電設備を、7月には清瀬水再生センターで、一酸化二窒素排出量の大幅な削減が期待できる日本初の汚泥ガス化炉を稼働させた。

 

最少の経費で最良のサービスを提供する

水面制御装置ライセンス契約調印式

 東京の下水道事業が直面する課題に積極的な対応を図るため、計画期間中の事業費を増額し、区部下水道では前計画期間と比較して建設事業費を3カ年で3750億円から4150億円に、流域下水道では建設改良費を432億円から473億円にそれぞれ拡充している。

 このため、建設や維持管理におけるコストの縮減、職員定数を3カ年で200人削減。さらに、芝浦水再生センターの施設上部を業務・商業系ビルとして利用するなど資産の有効活用を行うことで、計画期間中に総額211億円の企業努力を行い、経営基盤を強化していくこととしている。

 これらの取り組みなどにより、区部下水道事業では現行の下水道料金水準を、流域下水道事業では、市町村が負担する維持管理負担金の単価を維持し、お客さまに新たな負担をお願いすることなく、事業を実施することとしている。

 また、昨年6月には、下水道局が民間企業などと共同で開発した水面制御装置(雨水吐口におけるごみなどの流出抑制技術)をドイツや韓国の企業に使用許諾する契約を締結した。今後はさらに、東京の持つ下水道技術のニーズ等の現地調査、情報収集を行うために職員を海外に派遣するなど、積極的な技術支援による国際貢献をしていくこととしている。

 

 

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