HOME » NEWS TOKYO バックナンバー » 都営交通100周年記念企画 第1弾
インタビュー
2011年5月20日号

 

金子交通局長

信頼できる都営交通の実現目指す
金子正一郎交通局長に聞く

  都営交通は本年8月1日に創業100周年の節目を迎える。明治44年に東京市(当時)が路面電車事業を開始して以来、「都民の足」として生活・経済を支えてきた都営交通だが、この間の歩みは関東大震災、第2次大戦の東京大空襲など、決して平坦なものではなかった。先の東日本大震災への対応をはじめ、都営交通の現状と今後の取り組みについて、金子正一郎交通局長に聞いた。

東日本大震災の発生受け被災者・被災地支援に全力

―東日本各地に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から2カ月余りが経過しました。東京でも交通機関がストップし、帰宅困難者が多数発生しましたが、この間の交通局の震災への対応について教えてください。

金子 はじめに、このたびの東日本大震災により被災された皆様や関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 都営交通では、3月11日の発災直後、直ちに被害状況の把握、安全点検を実施しました。そして、バスが16時に、都電が16時37分に運転を再開しました。
 地下鉄は、20時40分に大江戸線全線で運転を再開したのをはじめ、順次運転を再開しました。地下鉄、バスは翌朝まで終夜運行を行い、お客様の輸送にあたりました。日暮里・舎人ライナーは大きな被害を受けましたが、2日後には、運行を再開しました。

―被災地支援についてはいかがですか。

金子 現在、都は全力で被災者・被災地支援を行っています。交通局では、3月14日から4月26日までの間、13回にわたり、観光バス車両により、宮城県気仙沼市などに、都立病院等の医療チームの緊急輸送を行いました。
 また、3月25日には、職員が仙台市交通局へ救援物資を輸送し、仙台市営地下鉄の被害状況の調査も実施しました。さらに、岩手県陸前高田市へ職員を派遣し復興に向けた支援を行っています。
 今後も、新たな支援業務が発生することと思いますが、私も職員の先頭に立って全力を尽します。

東京都では医療救護班の輸送に出発(3月14日)

医療救護班の輸送に出発(3月14日)

―電力を多く使用する交通局では、節電への取り組みも重要な課題ですね。

金子 震災による電力供給の大幅な低下を受け、都営交通では現在、さまざまな節電対策を実施しています。都営地下鉄、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーでは、日中は平常時の8割程度で運行する「節電ダイヤ」で運行するとともに、車両冷房については各路線とも設定温度を例年より上げて運転しています。
 例年は、5月1日から地下鉄の駅冷房を稼働させていましたが、現在、大江戸線は設定温度を上げていますし、その他の路線は駅冷房を見合わせています。また、車内および駅構内照明の一部を消灯したり、エスカレーターを一部停止するなどの節電対策を実施しています。お客様には大変ご不便をおかけいたしますが、節電へのご理解とご協力をお願いいたします。

「安全・安心」をさらに強化 ホームドアの設置を推進

先進性と快適性を兼ね備えた都電荒川線新型車両「8800形」

先進性と快適性を兼ね備えた都電荒川線新型車両「8800形」

―さて、都営交通は、今年、創業100周年を迎えますが、感想をお願いします。

金子 明治44年8月1日、交通局の前身である東京市電気局が発足し、路面電車事業と電気供給事業を開始してから、今年はいよいよ100周年という節目を迎えます。
 明治から、大正、昭和、平成と100年にわたる局の歩みは決して平坦なものではありませんでしたが、この間、関東大震災や戦災を乗り越え、また、戦後の混乱・復興期から高度成長期を経て、現在まで一貫して、都民の足の確保に努めてきました。
 幾多の困難を乗り越えて今日を迎えることができたのは、ひとえにご利用いただいている多くのお客様のおかげと深く感謝しています。

―都営交通の現状や課題などについて、お聞きしたいのですが。

金子 都営交通の経営状況は、全事業でみると、平成21年度決算で4年連続で経常損益の黒字を計上することができました。しかし、中長期的には、少子高齢化や低経済成長のもとで乗客数の伸びは期待できず、事業者間の競争も激化しています。
 こうした厳しい経営環境の中で、さらなる発展を遂げていくためには、これまで以上にお客様から信頼され、支持される都営交通を目指していく必要があります。
 交通事業者にとって、何よりも優先しなければならないことは、「安全・安心の確保」です。お客様に安心して都営交通をご利用いただくため、経営トップから事業所まで一丸となって安全管理体制を強化し、安全意識の浸透、安全風土の醸成を図り、ヒューマンエラー等に起因する事故やトラブルの防止を徹底しています。また、緊急時にも信頼できる都営交通の実現を目指し、「異常時総合訓練」や「事故発生時の緊急対応訓練」などを実施しています。
 地下鉄事業では、ホーム上の安全対策として、大江戸線各駅に順次ホームドアを設置し、平成25年6月の全駅整備完了を目指していきます。
 バス事業では、今年度中に、全車にドライブレコーダーを導入し、安全対策に役立てていきます。

質の高いサービスを提供 沿線地域活性化や増客対策も

―お客様サービス面ではいかがですか。

金子 お客様に、より便利で快適に都営交通をご利用いただくためには、いっそうのサービス水準の向上が必要です。昨年度は、初めてサービスシンポジウムを開催するなど、職場風土の更なる改善と、他社サービスも参考にした都営交通のサービス向上に取り組みました。
 今年度は、バス事業で新たな情報提供サービスとして、GPS機能付携帯を使用した近隣停留所案内を行うシステムを導入するなど、お客様の利便性向上を図ります。
 また、都電や日暮里・舎人ライナーでは、地元自治体等との連携を深めながら、地域に密着したイベントを積極的に展開するなど、沿線地域の活性化や増客対策に取り組んでいきます。

―最後になりますが、今後に向けた決意をお願いします。

金子 これからも、安全の確保を最優先に、質の高いきめ細かなサービス提供に努めるとともに、不断の経営改革に取り組むことにより、さらなるステップアップを果たしていきます。
 先人たちがさまざまな努力により築き上げてきた、この100年の歴史を踏まえ、今後も時代の変化を的確に捉えながら、公営交通としての役割をしっかりと果たし、東京の発展、都民生活の向上に貢献していく所存です。

 


都営交通100周年記念特別展 「東京の交通100年博」を開催

~都電・バス・地下鉄の"いま・むかし"~

 明治から、大正、昭和、平成に至る東京の交通機関発展の歴史を、都営交通100年のあゆみを軸に振り返るとともに、安全で便利な都営交通を「変化と対応」を切り口に紹介する。古き良き時代を懐かしむだけでなく、親子3代で楽しめる展示内容。


 ■期間:2011年7月14日(木)~9月10日(土)
 ■場所:東京都江戸東京博物館1階展示室 (東京都墨田区横網1―4―1)
 ■時間:9時30分~17時30分

5組10名様をご招待  ※6月15日(水)締切

郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記の上、ハガキ、FAX、メールでご応募ください。当選は発表をもってかえさせていただきます。

〈応募先〉〒162―0041新宿区早稲田鶴巻町308―3スパイラル101
都政新聞㈱「東京の交通100年博」係まで
FAX:03―5155―9217 E―mail:info@newstokyo.jp

 

 

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