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暮らし・文化
2011年5月20日号

らくがきスポーツカフェ(10)

「なう」をデータ化 最新システムがスゴイ

スポーツ・プロデューサー、NPO法人スポーツ見物協会 堀田 壽一

 スポーツ中継をしていた経験から、TV中継で見るコンピュータ・グラフィックス(CG)に注目している。最近「凄い!」と驚いたのがサッカーJリーグのCG。リアルタイムで選手の走行距離や、ピッチで動いた位置がデータとして出るのだ。

 スポーツには相手チームの戦力分析は欠かせない。対戦前に偵察者を出したり録画を見たりしてデータを集め作戦を考える。そして、非公開練習などをして試合に挑む。それはスポーツプロデューサー(PD)やアナウンサーも同じで、中継するチームの練習や試合を取材しデータを集め、視聴者にわかり易く楽しめるデータを選別。注目選手は誰か、何をCGでデータ表示するかなどを決め放送席に着く。データ内容の良し悪しは、試合結果や放送内容に関わる。

 データを「手入力」していた私の現役時代とは違い、今ではデータを集める方法も進化したが、選手の「なう」、今の動きをデータ化するには大掛かりなシステムでないと難しいと思っていた。

 その「なう」のデータ化が実現した。トラキャブ(TRACAB)というシステムで、スウェーデンのサーブ(SAAB)社が軍事用に開発した技術をトラキャブ社が応用して開発したという。

 スタンド最上階に設置された機材のコンパクトさに目を見張った。海外旅行用バッグほどの大きさの箱2台、それぞれに小型TVカメラ8台が入っている。計16台のカメラがピッチ上の「動く標的」を捉え、小型コンピュータに入力するとデータ化された選手と主審、そしてボールが映る。

 PDはその中から自分の求める特定選手の走りや位置のデータを、CGにしてテレビ中継に送るだけだ。トラキャブはデータを蓄積するから、選手は運動能力を丸裸にされるかもしれない。が、データを読むのは難しい。

 PDとアナは蓄積データやCGでコメントが生かせれば、中継のレベルは上がる。監督はデータと試合で選手を評価し、相手選手のデータも読む。そして最強の選手を集め、選手の短所を改善したチームで試合に挑む。しかし試合の多くは、白熱こそすれデータ通りにいかない。

 スポーツは「筋書きの無いドラマ」。そこに人々を魅了する所以があると思う。

 


<筆者紹介>

堀田 壽一(ほった じゅいち)

愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。

 

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