HOME » NEWS TOKYO バックナンバー » 東京の島しょ特集 第3弾 <伊豆大島>
特集
2011年7月20日号
News Focus

着実に進む伊豆大島の基盤整備

東京都大島支庁 土木課長 窪田 忠仁

東京都大島支庁 土木課長
 窪田 忠仁

 東京都の出先機関である大島支庁は、伊豆諸島のうち大島、利島、新島、式根島、神津島の5島を所管し、観光産業の活性化や農業・漁業の振興など、それぞれの島の特性を活かした地域づくりに努めている。
 また、管内は火山噴火や台風、地震などの自然災害が過去何度も発生しており、住民生活の安全・安心を確保するためのライフラインである道路や土石流を受け止める砂防ダムの整備は重要かつ喫緊の課題となっている。
 東京から南に約100㎞の島で行われている災害に強い基盤整備の現状を紹介する。

 

道路整備
都道の幅員拡幅工事を推進

 島しょにおいては、陸上交通手段として自動車に頼ることが多い。都道の役割は、島における主要道路として各集落と港湾、空港を結び、島民の日常生活のためのみならず、災害時の緊急避難のため、観光振興や産業振興のために、円滑な通行を保障することである。

橋梁整備中(大島・差木地)

橋梁整備中(大島・差木地)

 しかしながら、島特有の地勢状況から幅員狭小、斜面崩壊の危険性および急カーブなど、スムーズな交通を妨げる要因も未だ多く、整備が望まれている箇所もまだ多い。

 大島では、野増、差木地、間伏および泉津の地区において、都道の整備事業を行っている。このうち、野増、差木地の2地区については、概ね今年度末の事業概成へ向け工事を進めている。野増地区は、橋梁を含む都道の新設、拡幅事業を行っており、22年度末で約1700mが完成している。また、20年2月に落石があった差木地地区の大滝付近では、危険斜面を回避するため、橋梁新設を行っている。

バイパス部橋梁(大島・間伏)

バイパス部橋梁(大島・間伏)

 間伏地区においては、バイパス形式による都道整備事業を進めており、新規の橋梁整備を22年度から行っており、前後の取り付け道路について今年度進める予定である。泉津地区については、集落区間から整備を始めており、現道拡幅による道路整備を実施している。地権者の皆様方のご協力のもと用地の取得を行いながら、買収完了箇所から順次工事に着手しており、22年度末で約500mが完成している。

 神津島においては、鉄砲場地区において、防災性を向上させるための都道を22年度から事業着手し、本格的に新設道路構築を行っていく予定である。

 

道路保全
生活支えるインフラを維持・補修

 大島支庁管内は、5島で8路線約100㎞の都道を管理しており、住民の生活を支えるインフラとして、常に安全で良好な状態が求められている。

 とりわけ管内は、台風の来襲や集中豪雨等、島しょ特有の厳しい気象条件下にあるため、その保全はきわめて重要である。

 大島支庁では、道路の自然災害による影響を未然に防止するとともに、道路施設の老朽化対策の一環として、道路災害防除事業や道路および橋梁の維持・補修事業に管内各島で積極的に取り組んでいる。

 また、歩行者や運転者の安全確保のため、歩道整備や視距改良等の安全施設事業を推進しており、いっそうの安全確保を図っている。

 今後も住民要望を踏まえつつ、車道舗装の路面状況、舗装履歴、道路斜面調査等をもとに、道路施設の状況を的確に把握し、緊急性、重要性の高い箇所から効果的な事業推進を計画的に図っていく。

 

砂防事業
島民の命を守る砂防えん堤を整備

 大島では昭和61年に三原山が噴火し、約1カ月の全島民避難を経験した。この噴火を契機として、都では平成2年に伊豆大島総合溶岩流対策基本計画を策定し、溶岩導流堤、堆積工および砂防えん堤等のハード対策と雨量計等のソフト対策を組み合わせた災害対策事業を進めている。

大宮沢溶岩導流堤完成予想図

大宮沢溶岩導流堤完成予想図

 現在、ハード対策事業については、とくに被害の恐れが大きく、緊急性の高い元町、野増の5渓流(大金沢、八重沢、長沢、地の岡沢、大宮沢)で進めており、一部施設が完成するなどしてきているところである。八重沢、大金沢では、整備の概成が見えてきたため、今年度から北の山川、岡田沢、差木地沢で事業開始の予定をしている。

 これ以外にも、岡田ではがけ崩れから民家を守るため平成20年度から急傾斜地崩壊防止工事に着手し、神津島では、集落の中心を流れる神津沢において、土石流をより安全に流下させるための流路の改修工事や、既設砂防えん堤の堆積土砂の撤去工事などの対策を行っている。

 

海岸整備
環境に配慮しながら海岸の侵食を防止

 管内の各島は、崩壊しやすい地層から形成されていることに加えて、全国でも有数の強風地帯であり、波浪の影響による海岸侵食が著しい。

 このため、刻々と侵食される海岸を保全し、後背地で暮らす人々の人命や資産を守るとともに、海岸利用と環境保全に配慮しながら、海岸保全施設を整備している。

 現在、利島の前浜海岸で護岸整備、新島の和田浜海岸で人工リーフ設置などを継続して進めている。

 また、「津波・高潮対策」として、大島の筆島海岸や新島の羽伏浦海岸などで、既存の護岸の改修工事等を行っている。

 

公園等の整備
観光振興に向け公園を整備

動物園のフライングケージ

動物園のフライングケージ

 管内のほとんどが富士箱根伊豆国立公園に属し、総面積の約8割が自然公園法の特別地域に指定されている。自然環境豊かな景観は、離島の経済振興に大きく寄与する観光資源である。こうした自然環境を生かした利用施設として遊歩道、園地、野営場などを設けており、付帯施設として休憩所、トイレ、炊事場などを設置し、観光客等の利用促進を図っている。

 管内には、大島公園(大島)、羽伏浦公園(新島)、多幸湾公園(神津島)の3つの都立公園があり、それぞれにロッジやキャンプ場などの宿泊施設が整備されており利便性の向上を図っている。特に大島公園では、施設の老朽化を契機に21年度までに動物園の再整備を行い、22年度は、椿資料館を島内で最大イベントである「椿まつり」前にリニューアルオープンした。

 今年度以降は、これらの施設を利活用することにより、観光面で大いに貢献できると期待している。

リニューアルオープンした椿資料館

リニューアルオープンした椿資料館

 

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