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暮らし・文化
2011年10月20日号

らくがきスポーツカフェ(15)

傷ついた子供たちのこころの回復を支援

スポーツ・プロデューサー、NPO法人スポーツ見物協会 堀田 壽一

 「夢先生」をご存知だろうか。夢先生とはスポーツ界で活躍する現役や元選手。日本サッカー協会(JFA)が実施している「こころのプロジェクト」で、トップ選手を夢見ていた子供のころの努力や挫折などの体験を話し、子供たちを勇気づける「夢の教室」という授業を行っている。9月現在、519人の夢先生が登録されている。

 JFAはその経験を生かし、日本体育協会、日本オリンピック委員会、日本トップリーグ連携機構に、被災地で夢先生の授業を4団体一丸となって行おうと呼びかけた。それが「スポーツこころのプロジェクト~笑顔の教室~」。夢先生が被災地東北6県の小学校を訪れ、5、6年生を対象に授業を行うというものだ。

「笑顔の教室」授業風景

「笑顔の教室」初回の夢先生はラモス瑠偉さん。大船渡市立蛸ノ浦小学校にて (c)スポーツこころのプロジェクト

 私は何度も夢先生の授業に足を運んだ。体操の池谷幸雄、水泳の岩崎恭子、サッカーの北澤豪、パラリンピック陸上の佐藤真海……。授業は体育館で体を動かす「ゲームの時間」から始まる。汗を流せば夢先生ペース、教室での「トークの時間」もスムーズだ。夢先生がトップ選手になるまでの道程を話す。子供たちは「ケガで入院して何度泣いたことか」など、苦労話を集中して聞く。

 「君たちの夢は?」と夢先生に聞かれると、「プロ野球選手」「お医者さん」「パティシエ」「まだ、ないけれど考える」など、子供たちのさまざまな夢の話に、教室は驚きの歓声と明るい笑い声にあふれる。

 プロジェクトの手嶋秀人運営本部長は「笑顔の教室は『遊びの時間』『対話の時間』と名付けましたが、子供たちは前向きで被災に挫けていません。初回のサッカーのラモス瑠偉さん、2回目のマラソンの有森裕子さんともに好評でしたよ」と語る。

 笑顔の教室は対象校542校、対象児童4万6000人となる予定だ。夢先生の確保は大変だろう。被災地は広く現地入りも大変だ。スポーツ界では異例のこのプロジェクトは、スポーツ4団体から多くのトップ選手が夢先生となり支援の輪が広がることが成功につながると思う。

●こころのプロジェクトhttp://www.yumesen.jp/

 

 


<筆者紹介>

堀田 壽一(ほった じゅいち)

愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。

 

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