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暮らし・文化
2011年8月20日号

らくがきスポーツカフェ(13)

陸上のキングは美しき身体の持ち主

スポーツ・プロデューサー、NPO法人スポーツ見物協会 堀田 壽一

 “完全なる美”とは、スポーツで鍛えられた究極の身体といわれる。その代表が古代ギリシャの「円盤投げ」像(ディスコボロス)だ。見なくてはなるまいと国立西洋美術館へ足を運んだ。

 それは右足がグラウンドを捉え、投げる瞬間の姿。薄くうねる背中に押し寄せる筋力の波が、ゾクゾクするほど魅力的だった。

 果たしてアスリートの裸体は“完全なる美”なのだろうか。

 「古代オリンピックで人気のあった混成競技から生まれた肉体ですね。身体全体の筋肉をしっかり鍛えると、バランスのとれた美しい身体はできますよ」と尾縣貢(おがた みつぎ)日本陸上競技連盟専務理事は語る。

 混成競技とは古代オリンピックの競技種目で、円盤投、やり投、走幅跳、短距離走、レスリングを一人で行うもの。「ギリシャの哲学者アリストテレスが好きだった競技です。私は混成競技、今の十種競技の選手でした。選手時代、練習は一日に3種目。種目ごとに使う筋肉が違いますから、いい身体ができましたよ」と尾縣専務事理は笑顔で続けた。

 十種競技は一日目に100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m、二日目に110ハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500mの順で競技を行い、その記録をポイントに換算。合計得点で順位を競う陸上競技だ。ヨーロッパでは、優勝者を「キング・オブ・アスリート」と賞賛するほどの人気スポーツだが、日本では大会出場を目指す人が100人前後といわれるマイナースポーツ。種目別と競技が重なるため十種競技は別の会場で行われる場合も多く、観客は殆どいないというのが現状だ。

 だが今年、8073ポイントの日本新記録が出た(世界記録9026ポイント)。右代啓祐(うしろ けいすけ)選手、きっと究極の身体を鍛錬で作り上げた陸上のキングに違いない。

 韓国のテグで世界陸上選手権が開催される。右代選手は、その参加出場標準記録を突破した。右代選手の出場と十種競技のテレビ中継が予定されている。今まで見たことはなかったが、古代オリンピックから脈々と続く十種競技を見たくなった。十種競技から、どんな記録が出るのだろう。陸のキングたちの競技記録を追っかける。

●公益財団法人日本陸上競技連盟 http://www.jaaf.or.jp(陸上競技大会開催予定や記録)

●スズキ浜松アスリートクラブ http://www1.suzuki.co.jp/t_and_f/(右代選手所属)

 

 


<筆者紹介>

堀田 壽一(ほった じゅいち)

愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。

 

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