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暮らし・文化
2012年4月20日号

らくがきスポーツカフェ(21)

国際放送センターではピンバッジ外交が盛んだ

スポーツ・プロデューサー、NPO法人スポーツ見物協会 堀田 壽一

 気前よく人にプレゼントしたので多くはないが、オリンピックで交換した数個のピンバッジが手元に残っている。今ごろ各放送局ではデザインを完成させ、ピンバッジを製作しているに違いない。

 ロンドンオリンピックでは、26競技302種目が行われ、その映像は国際放送センター(IBC)に集められる。オリンピックには200を超える国と地域が参加し、それぞれの国の放送関係者は、メダルが期待される種目や母国で人気の競技をテレビやラジオで放送するためIBCに集結する。

 日本は、NHKと民放5系列が共同の一区画にそれぞれの取材・番組制作の拠点やスタジオを有するブースをつくり、そこから“オリンピック”を伝えている。

 24時間各国の放送関係者が行き交うIBCの拠点に、ニコニコと笑顔で「ピンバッジが欲しい」と、他国のお客様がやって来る。ピンバッジ交換の際には、国籍などのほか、身振り手振りで、どの種目でメダルを狙っているか、選手は誰か、どの種目を放送するのかなども聞いてみる。その種目が、日本選手が標準記録に達しなかったものや、予選で敗退したものであれば、ちょっと応援したくなる。

IBCではピンバッジ交換があちこちで見られる

IBCではピンバッジ交換があちこちで見られる

 1つの小さなピンバッジが、知らない国との交流の機会をつくる。言葉が通じないので何だか変な会話になるが、それはそれで良いのだ。

 何を生中継するかは、その国の視聴者のニーズで決まる。生中継されない競技は録画されIBCから衛星ラインを使って日本へ送られるが、陸上47種目、水泳46種目など種目や試合数は多く、1日24時間では、到底全映像は送れない。私の現役時代は衛星ラインを4つ借り切り、1日で96時間分送っていた。

 そんな送受信時に、日本ではほとんど中継のない近代五種やトライアスロン、自転車チームパシュートなどの種目でピンバッジを交換した国の選手が映ると、「お!この選手か、頑張れ~」と声が出て、成績に関係なく応援したものだ。

 4月後半から、ロンドンオリンピックへの出場権をかけた試合が行われ、出場を決めた選手の名が伝えられる。新聞などで小さな国の選手が、私の好きな種目に出場が決まったと知ると、まるでピンバッジを貰ったようで、つい応援したくなる。その選手の結果を追うのも、私のオリンピックの楽しみ方の一つなのである。

 

 


<筆者紹介>

堀田 壽一(ほった じゅいち)

愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。

 

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