地域防災力向上を目指して【1】
「東京防災隣組」第一回認定団体決定
東京都は、地域防災力の向上を推進するため、大都市東京ならではの共助の仕組みづくりとして防災隣組の構築を進めており、この度、「東京防災隣組」の認定団体として36団体を認定し、平成24年度の地域防災力向上モデル地区として4地区を指定した。
4月15日、「東京防災隣組」第一回認定式が行われ、認定証を授与。認定を受けた2団体の事例発表や山村武彦氏による記念講演が行われた。
「東京防災隣組」と地域防災力向上モデル
東日本大震災では、地域住民による自助・共助の取り組みが、発災時において大きな力を発揮した。一人でも多くの人の命を守るためには、まず一人ひとりが自分を守り、さらには、近くにいる人同士が助け合うことが大切だ。
東京都は、都民の防災意識が高まっているこの時期を逸することなく、地域の防災力向上を推進していくこととし、意欲的な活動を行っている団体を「東京防災隣組」として認定した。これらの活動を広く紹介することにより、さらなる取り組みを促すとともに、新たな防災活動を蝕発するとしている。
第一回認定団体となった36団体は、向こう三軒両隣をはじめ、町会や自治会、企業、学校など、地域内のさまざまな主体が参加しており、きめ細やかな安否確認、地域の特性を踏まえた訓練など、意欲的な防災活動に取り組んでいる。
総務局総合防災部では、これらの活動をまとめた事例集を作成。多くの人が地域のさまざまな活動を知り、地域の防災力向上のきっかけになることを期待している。
また、地域防災力向上モデル地区を指定。防災に関する専門家を派遣するなどの支援を行うとともに、区市町村や関係機関と連携して、当該地区における防災活動を活性化していく。平成24年度は4地区を指定。モデル地区で得られた成果をほかの地区に広めることにより、点から面への展開を図っていく。
被害を最小限にとどめる防災隣組と近助の精神
都議会議事堂1階の都民ホールで4月15日に行われた「東京防災隣組」第一回認定式では、認定証授与、主催者、来賓の挨拶に続いて、小山七丁目町会(品川区)の「要援護者支援のための見守りネットワークづくり」と南町田自主防災組織(町田市)の「黄色い旗を使用した安否確認などのユニークな防災活動」の事例も発表された。
両取り組みともきめ細やかなアンケートや調査を重ねることで、住民の防災意識が徐々に高まり、隣組の構築がうまくいった例だろう。
また、式の最後には防災意識を啓発するためにさまざまな活動を行っている防災アドバイザー山村武彦氏の記念講演が行われた。
「防災隣組と近助の精神」と題した講演で、東日本大震災による犠牲者を最小限にとどめた気仙沼市唐桑町小?地区の防災隣組、土砂災害に備えた滝の入2区自治区の防災マップ、瀬谷区谷戸自治会の「『おとなり場』で『ずっと住みたいまちづくり』」の3つの事例を紹介。人と人とを結びなおす「近助の精神」の大切さを訴えた。
「近助の精神」とは、可能な限り「自分のことは自分で対応」、それでも困った時は、助け合い、迷惑を掛け合うのが「お互い様」という心の持ちよう。
人と人とのつながりが希薄になりがちな大都市東京。「東京防災隣組」が、東京の防災力向上の推進力となることを期待したい。
第一回認定団体の具体的な活動内容や地域防災力向上モデル地区の取り組み例や、そのほかのユニークな活動を次号よりレポートしていく。