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暮らし・文化
2012年6月20日号

らくがきスポーツカフェ(23)

「超気持ちいい~」を超える名言は聞けるか!?

スポーツ・プロデューサー、NPO法人スポーツ見物協会 堀田 壽一

 テレビのスポーツ中継のヒーローインタビューで、「今の気持ちを聞かせてください」とか「皆さんにメッセージを」という決まり文句が出ると、アンタ競技のどこを見ていたの?と画面に向かって言いたくなる。

 「なるほど!」と合点がゆく勝負の決め手、勝ちを決めたプレーについて鋭く切り込んでほしいのだ。もっとも「あのシーンを振り返りましょう」っていうのも芸がないが……。

 試合後のヒーローインタビューに決めた選手をカメラの前に先導し、アナウンサーに持ち時間を知らせる役目をしていたことがあった。

 どの選手も何を聞かれるのか、カメラの前に立つまでに考えていると思われる。

 数分前の戦士のような鋭い眼光から、何かを考える目つきに変わっているからだ。多分ドラマチックに決めた自分のプレーを、自分の中で再生しているのだろう。

 選手は自分のプレーを語る。試合をよく観ているアナウンサーは、その選手が頭で再生していたストーリーを共有しているような問いかけをする。

 テレビの前のファンも、選手とプレーを共有し勝負に賭けた判断の言葉を聞きたいに違いない。ファンはスポーツの見所を心得ている。言ってみれば、インタビューアーの観戦眼が問われているのだ。

 1998年のサッカーフランスW杯の時、たとえ負けても試合直後に生でインタビューを受けるよう、私は岡田監督にお願いした。当時、テレビの生中継で敗戦監督や選手はインタビューを受けなかった。また、お願いをしないのが習わしだった。

 日本は負けた。インタビューしたアナウンサーは「よく頑張りました」とインタビューを行ったが、聞き手の資質が問われる“針の筵に座っているような”時間だったと今でも言う。

 オリンピックなどの大舞台で、長い間の辛苦が優勝で爆発し「超気持ちいい~!」などと感動の名言を発するのは稀だ。ファンは、ベストを尽くして最高のプレーを見せた選手への、ジャーナリスティックな観戦眼をもった鋭いインタビューが聞きたいのだと思う。

 ロンドンオリンピックではどんな名言が聞かれるのだろうか。

 インタビューは本当に難しいと思う。

 

 


<筆者紹介>

堀田 壽一(ほった じゅいち)

愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。

 

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