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生活・文化
2013年1月20日号

山下敦司シェフのフランス料理美食のススメ

 フランス料理には地域の名称や人物名などが、そのまま付けられるものがとても多いとか。一般的に知られているもの、あるいはまだまだ知られていないフランス料理についての由来・歴史などを、ARGO総料理長の山下シェフが紹介します。

 

第10回 “ブイヤベース”には憲章がある?!

 今回は世界三大スープの一つ、ブイヤベースについてお話します。

 ブイヤベース(Bouillabaisse)の語源は、煮込む(Bouill)、火を止める(Abaisse)という2つが合体した言葉だと言われています。要するに短時間で一気に作るスープです。フランス料理店では高級な魚や海老、貝などを入れたものがメニューとして出されています。

 このブイヤベースの本場マルセイユには「ブイヤベース憲章」というものがあり、昔ながらの味を守るためにマルセイユ市が作り方から具材まで細かく規定しています。

 

もともとはマルセイユの漁師が売れない小魚や魚を大鍋で煮たことから始まったとされる

もともとはマルセイユの漁師が売れない小魚や魚を大鍋で煮たことから始まったとされる

 どのようなものかというと、まず第1にブイヤベースの具材にする魚は地中海の岩礁に住む地の物を使います(大西洋側の魚ではダメ)。第2に海老類や貝類、タコ、イカなどは入れない。高級店でブイヤベースとして出されているオマール海老、ムール貝、平目、鯛などは憲章からするとNGなのですが、なぜか伊勢海老は認められています。第3に具材として入れる魚(岩礁に住む)は4種類以上入れなくてはなりません。この4種類も決められている地中海の魚の中から選び、アンコウは必ず入れます。第4にスープを取る小魚は決められた種類を使います。小魚を決めることで、誰がスープを作っても同じ味を出せるようにするためです。第5にブイヤベースは短時間(20分ぐらい)で仕上げること。長時間煮ると魚のえぐみが出てしまうからです。第6にフェンネルは必ず入れます。

 私も南仏滞在中は、マルセイユの市場に行って岩礁の小魚が沢山入ったブイヤベース用の箱を買い、友人宅でブイヤベースをよく作りました。最後に風味を良くするためにパスティス(リキュールの一種)を入れるのですが、マルセイユでも人気の高い「パスティス51」という銘柄を愛用しています。

 


<山下敦司プロフィール>

フレンチレストラン「アルゴ」(千代田区麹町)総料理長。
服部栄養専門学校卒業後、銀座「フランス料理清月堂」、大阪欧風菓子「ケンテル」を経て、1995年渡仏。
エクス・アン・プロヴァンス「ル・クロー・ドゥ・ラ・ヴィオレット」(ミシュラン二ツ星)、パリ「ル・ディヴェレック」(二ツ星)、アヌシー「オー ベルジュ・ド・レリダン」(三ツ星)、ロアンヌ「トロワグロ」(三ツ星)、パリ「ピエール・ガニェール」(三ツ星)と数々の名店で部門シェフを務め、クラシックから最先端のフレンチまで幅広く研鑽を積む。
2000年に帰国後は、ガニェール氏の推薦により「ル・コルドン・ブルー・パリ」にて6年半、料理講座教授。

 

 

タグ:フォアグラ、仏蘭西料理

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