フランス料理には地域の名称や人物名などが、そのまま付けられるものがとても多いとか。一般的に知られているもの、あるいはまだまだ知られていないフランス料理についての由来・歴史などを、ARGO総料理長の山下シェフが紹介します。
第13回 フランス料理のダシ
今回はフランス料理のダシについてお話しします。
日本にも鰹節、昆布、干し椎茸、煮干などを使ったいろいろなダシがあるように、フランス料理にもたくさんのダシがあります。
フランス料理のダシは、大きく2つに分かれます。まず一つは、皆さんも一度は聞いたことがある「ブイヨン」。これは、ポタージュ(スープ)や、コンソメなどを作る土台のダシです。もう一つは、「フォン」。これは主に、ソースや煮込み料理の土台になるダシです。
ブイヨンには鶏ガラでダシをとった「ブイヨン・ド・ボライユ」、牛骨を使った「ブイヨン・ド・ブフ」、魚を使った「フュメ・ド・ポワソン」、甲殻類でダシをとった「ブイヨン・ド・クリュスタッセ」、野菜のダシ「ブイヨン・ド・レギューム」、香味野菜・エピス(香辛料)を使ったダシ「クールブイヨン」など、さまざまなブイヨンがあります。
一方、主にソースで使う「フォン」には、ここでも大きく2つに分かれます。白いダシのFond Blanc=「フォン ブラン」と、茶色いダシのFond Brun=「フォン ブラン」です。このFond Brun(茶色いダシ)の中には、よく知られている仔牛でとったダシ「フォン・ド・ボー」などがあります。
また、皆さんもご存じの「コンソメ」というものがありますが、コンソメはダシではなく、スープの一種です。
コンソメは、非常に手の込んだもので、ブイヨン(主に鶏ガラ)に牛ひき肉(脂肪の無いもの)、香味野菜、卵白などを加えて煮込み、卵白にアクや不純物、脂肪を吸着させ、取り除いて澄ましていきます。この作業をクラリフィカシオンと言い、作るのが最も難しいスープと言えるでしょう。
<山下敦司プロフィール>
フレンチレストラン「アルゴ」(千代田区麹町)総料理長。
服部栄養専門学校卒業後、銀座「フランス料理清月堂」、大阪欧風菓子「ケンテル」を経て、1995年渡仏。
エクス・アン・プロヴァンス「ル・クロー・ドゥ・ラ・ヴィオレット」(ミシュラン二ツ星)、パリ「ル・ディヴェレック」(二ツ星)、アヌシー「オー ベルジュ・ド・レリダン」(三ツ星)、ロアンヌ「トロワグロ」(三ツ星)、パリ「ピエール・ガニェール」(三ツ星)と数々の名店で部門シェフを務め、クラシックから最先端のフレンチまで幅広く研鑽を積む。
2000年に帰国後は、ガニェール氏の推薦により「ル・コルドン・ブルー・パリ」にて6年半、料理講座教授。
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