フランス料理には地域の名称や人物名などが、そのまま付けられるものがとても多いとか。一般的に知られているもの、あるいはまだまだ知られていないフランス料理についての由来・歴史などを、ARGO総料理長の山下シェフが紹介します。
第14回 世界3大珍味 キャビア
今回は世界3大珍味、キャビアについてお話しします。
キャビアはチョウザメの卵。「サメ」とついていますが、サメの仲間ではありません。世界的に有名なキャビアの主産地はカスピ海で、世界中の生産量の95%がカスピ海産だと言われています。
カスピ海には20種以上(全世界では26種)のチョウザメが生息していますが、フランスの規制により、「キャビア」と呼んでいいのはその中の3種類だけです。これからその3種類をご紹介します。
【ベルーガ(オオチョウザメ)】
キャビアの中でも最上のものです。体長は3~4m、体重は100~200㎏で採取できるキャビアの量は体重の約15%。近年は漁獲量が減少し、キャビア全体のわずか5%しか採れないので、とても希少なキャビアです。
【オシェトラ(ロシアチョウザメ)】
2番目に大きなチョウザメです。体長は約2m、体重約80㎏で、ベルーガよりは小さい卵になりますが、フランス料理のレストランではこのオシェトラが一番多く使われているのではないでしょうか。
【セブルーガ(ホンチョウザメ)】
3種類の中では一番小さく、スマートなチョウザメです。体長は最大でも1・5mぐらいで体重は25㎏を超えることは稀です。もちろん卵も一番小さく、価格もリーズナブルです。
キャビアはとても高価なので、料理にトッピングしたりするときはキャビアの代用品を使用すると良いと思います。例をあげると、アブルーガキャビア(ニシンの卵)、ランプフィッシュ(ランプフィッシュの卵)などがあります。
キャビアの食べ方はさまざまで、スプーンにたくさんのせてそのまま贅沢に食べたり、料理に少しだけトッピングしたり、ブリニ(Blini)というパンケーキと一緒に食べたりします。少量ならびっくりするほど高価ではないので、ぜひ一度は本物のキャビアを食べてみてください。
<山下敦司プロフィール>
フレンチレストラン「アルゴ」(千代田区麹町)総料理長。
服部栄養専門学校卒業後、銀座「フランス料理清月堂」、大阪欧風菓子「ケンテル」を経て、1995年渡仏。
エクス・アン・プロヴァンス「ル・クロー・ドゥ・ラ・ヴィオレット」(ミシュラン二ツ星)、パリ「ル・ディヴェレック」(二ツ星)、アヌシー「オー ベルジュ・ド・レリダン」(三ツ星)、ロアンヌ「トロワグロ」(三ツ星)、パリ「ピエール・ガニェール」(三ツ星)と数々の名店で部門シェフを務め、クラシックから最先端のフレンチまで幅広く研鑽を積む。
2000年に帰国後は、ガニェール氏の推薦により「ル・コルドン・ブルー・パリ」にて6年半、料理講座教授。
タグ:仏蘭西料理 キャビア ブリニ