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特集
2013年5月20日号

 

特集

東京水道の新しい経営計画
「東京水道経営プラン2013」

東京水道経営プラン2013

 東京都水道局では、平成25年2月、平成25年度から27年度までの3カ年を計画期間とする「東京水道経営プラン2013」を策定した。本プランは、東京水道が都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、効率経営に努めながら、安全でおいしい水の安定供給によりお客さまに喜ばれる水道を目指していくこと、さらに、将来を見据え、持続可能な事業経営を行うとともに、東京水道の伝統を着実に引き継いでいくことを経営方針とし、安定給水、震災対策、安全でおいしい水、広域的事業運営、お客さまとのコミュニケーション、エネルギー・環境対策、国際貢献、経営基盤の強化の8つの主要課題に対応していくこととしている。プランに掲げた諸施策について、その初年度である、平成25年度の取り組みを紹介する。

安定給水の確保

 平成24年に策定した「東京水道施設再構築基本構想」に基づき、大規模浄水場を計画的に施設更新していく。その間の施設能力低下や震災などのさまざまなリスクに対応するため、境浄水場と三郷浄水場において、代替浄水施設整備に着手する。

大規模浄水場更新(イメージ)
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 また、多摩川上流域の水源林を良好な状態で保全するために、所有者が手放す意思のある民有林を購入する「民有林購入事業」を実施しているが、約1000ha購入の予算化により、事業を推進していく。

 管路の整備では、朝霞東村山線などの導水管や区部への最大の送水管である朝霞上井草線の二重化、多摩丘陵幹線、多摩南北幹線の整備など、管路の二重化、ネットワーク化を図り、災害時・事故時のバックアップや老朽化した管路の更新に備える。

 

震災対策の推進

 震災時においても、お客さまの蛇口で水道が使えるよう、水源からお客さま宅までの総合的な耐震化を進めている。配水管の耐震継手化10カ年事業により、従前の首都中枢機能、災害拠点病院等に加え、被害が大きいと想定される地域や、都内2500箇所に及ぶ避難所、主要駅などへの配水ルートを確保していく。配水管に先行して、建物への引き込みである給水管については、避難所となる小中学校等を中心に、優先的に耐震性の高い管へ取り替える。

消火栓等を活用した応急給水(イメージ)

消火栓等を活用した応急給水(イメージ)

 また、私道内の耐震性の低い塩ビ管を、配水管にまとめたり、ステンレス管に取り替える事業を実施するなど、水道管路を総合的に耐震化していく。

 水道事業は電力の安定した供給が必要なことから、大規模浄水場で、浄水能力を100%発揮できる規模の自家発電施設を整備するなど、外部電力事情に左右されない電力の自立化を進めていく。

 ソフト面では、災害時の応急給水拠点での給水を補完するため、身近な消火栓や排水栓を活用して地域住民による応急給水が可能になるよう、区市町に対し、応急給水用資器材を貸与していく。また、初期消火に排水栓などを活用するため、消火用ノズルを消防庁等と連携して配布していく。こうした施策により、災害時の地域の自助、共助を支援していく。

 

安全でおいしい水の供給

重要施設への供給ルート耐震継手化(イメージ)
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給水管増径工事(イメージ)
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 水道局が平成元年から取り組んできた利根川水系の高度処理であるが、平成25年10月から全量開始することを契機に、より多くのお客さまに蛇口から直接水を飲んでいただけるよう、市販のミネラルウォーターとの飲み比べの実施などにより、都民への一層のPRに取り組む。

 また、直結給水方式への切り替えを促進するため、貯水槽用の給水管では圧力が不足し増径を必要とするお客さまに、道路下の増径工事を局施行として、道路工事の手続きなどの負担を軽減することとした。また、管理の不十分な貯水槽の詳細点検と、水位低下装置などの具体的な改善提案を行い、適正管理を推進する。

 

広域的事業運営

多摩丘陵幹線(平成25年度完成予定)

多摩丘陵幹線(平成25年度完成予定)

 多摩地区の水道事業は、平成24年度から市町への事務委託が完全解消した。

 今後は、市町との情報共有体制の整備や緊急時の連携強化に取り組むとともに、広域的な送配水管のネットワーク化が区部に比べて十分でないことから、計画的な整備を進め、事故時や震災時のバックアップ機能の強化を図っていく。

 また、給水区域を超えて近隣や国内水道事業者と連携し、水道界の技術力の維持・向上や災害対応力強化などを図っていく。

 

お客さまとのコミュニケーション

 お客さまの立場に立ったサービスの向上を図るため、羽村取水堰などに見学施設を整備するほか、身近な水道工事現場を活用して水道のイメージアップに取り組み、お客さまに事業への理解を深めていただく。

 さらに、今まで主に小学生向けに実施していた水道キャラバンを、ファミリー層が集まる地域のイベントでも実施し、より広いお客さまに水道事業を理解していただく取り組みを進める。

 

エネルギー・環境対策

水力発電設備(東村山浄水場)

水力発電設備(東村山浄水場)

 平成25年度からの環境計画を策定し、事業におけるエネルギー効率を高め、環境負荷の低減化を図っていく。直結配水ポンプを活用したハイブリッド型給水所や、再生可能エネルギーを活用した省エネルギー浄水場の整備を進めていく。

 

国際貢献ビジネスを推進

東京水道の海外展開 (イメージ)

 水道局は、これまで培ってきた優れた技術やノウハウを活かし、水不足や漏水、盗水などに悩む海外事業体を支援し、世界の水問題の解決に貢献していく。具体的な事業実施には、東京水道サービス㈱や東京水道インターナショナル㈱などを活用するとともに、都に対する信頼、信用を背景にして各国ニーズに対応した、国際貢献ビジネスを推進していく。

 

経営基盤強化の取組み

 さまざまな施策に取り組む一方で、職員定数を3年間で150名削減するなどの局としての経営努力を行っていく。

 また、監理団体と連携した効率的な事業運営や、大規模浄水場更新積立金を毎年50億円ずつ積み立てるなど、多様な経営管理手法の活用を図り、経営基盤強化に取組んでいく。

 

まとめ

 プランでは、首都東京を支えるライフラインとしての使命を果たしていくため、50年、100年後の将来も見据えながら、将来のお客さまに対して責任を果たすための必要な施策を盛り込んだ。一方で、事務事業の効率化による職員定数の削減や建設・維持管理コストの縮減などにより、3年間で100億円の経営努力を行うことで財政計画上も収支を均衡させることとしている。

 水道事業は装置産業であり、これを常に良好な状態に維持・管理するため、施設の整備を着実に行っていく必要がある。高度浄水施設の整備も一段落し、今後は、老朽化が進行している大規模浄水場の更新や、東日本大震災の教訓を受けた水道管路等の耐震化が喫緊の課題である。

 一方、拡張期における浄水施設の新増設は水道料金の増収に結びついたが、施設の更新や耐震化は増収が期待できない。こうした中で、不断の経営努力に加え、企業債の発行抑制による有利子負債の圧縮など、長期的な視点に立った財政運営を行ってきたが、今後とも山積する課題に対応するため、よりいっそう、経営基盤の強化を図っていく必要がある。

 水道局では、これまで培ってきた伝統を引き継ぎ、お客さまに喜ばれる水道を目指し、本プランを着実に推進していく。

 

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