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生活・文化
2013年6月20日号

山下敦司シェフのフランス料理美食のススメ

 フランス料理には地域の名称や人物名などが、そのまま付けられるものがとても多いとか。一般的に知られているもの、あるいはまだまだ知られていないフランス料理についての由来・歴史などを、ARGO総料理長の山下シェフが紹介します。

 

第15回 エクレアは稲妻のように素早く食べる

 今回はお菓子のエクレアについてお話しします。シュークリームを長くしたようなエクレアは、日本でも大変有名なお菓子ですから、皆さんも一度は口にしたことがあるでしょう。

 このエクレア、フランスではエクレール(Éclair)と呼ばれ、名前の由来にはいくつかの説があります。焼いた表面にできる割れ目が稲妻(フランス語でエクレール=雷・稲妻)に似ているからとか、シュー生地にチョコレートがけをした部分が光って稲妻のようだからとか……。なかでも一番有力だと思われているのが次の説です。

 エクレアは、1850年にリヨンで生まれたお菓子だと言われています。リヨンの町は、ガリア(現在のフランス、ベルギー、北イタリアなどを指すローマ時代の呼称)の首都だった当時、ルグドゥヌムとも呼ばれていました。その町の名前は、火と光の神であるガリアのルグ神に由来すると言われています。雷・稲妻という名のエクレアがこの町で生まれたのは偶然ではないでしょう。

 エクレアに使われているシュー生地は、数世紀前から揚げものや焼きものとしては知られていましたが、フランスの偉大なシェフ、アントナン・カレームがクロカンブーシュのために改良を加えたものです。

 そうしたシュー生地で作るエクレアは最初、デュシェス(Duchesse=公爵夫人)と呼ばれ、砕いたアーモンドと生地を手で丸めて棒状に長く伸ばしたものをオーブンで焼き、糖衣かカラメルをかけていました。やがて時が経つにつれ、アーモンドは使われなくなり、焼いた後にチョコレートやコーヒー味などのカスタードや生クリームを詰めるようになっていったのです。

 このお菓子は当時では珍しい、1人用(サイズはさまざまですが)として作られ、中のクリームが飛び出したりしないように、まさに電光石火、稲妻のように一口で口に入れたのだとか。そこから、エクレールという名前がついたというのです。

 日本では1927年に童謡「お菓子と娘」の中で取り上げられたのが最初と言われています。

 


<山下敦司プロフィール>

フレンチレストラン「アルゴ」(千代田区麹町)総料理長。
服部栄養専門学校卒業後、銀座「フランス料理清月堂」、大阪欧風菓子「ケンテル」を経て、1995年渡仏。
エクス・アン・プロヴァンス「ル・クロー・ドゥ・ラ・ヴィオレット」(ミシュラン二ツ星)、パリ「ル・ディヴェレック」(二ツ星)、アヌシー「オー ベルジュ・ド・レリダン」(三ツ星)、ロアンヌ「トロワグロ」(三ツ星)、パリ「ピエール・ガニェール」(三ツ星)と数々の名店で部門シェフを務め、クラシックから最先端のフレンチまで幅広く研鑽を積む。
2000年に帰国後は、ガニェール氏の推薦により「ル・コルドン・ブルー・パリ」にて6年半、料理講座教授。

 

 

タグ:仏蘭西料理 キャビア ブリニ

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