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特集
2013年6月20日号

 

特集

「火山の島」三宅島と「イルカの島」御蔵島の社会基盤整備

東京都三宅支庁 土木港湾課長
東京都三宅支庁 土木港湾課長 梅津嘉忠

 東京から約180km、1日1便の東海汽船の定期船で竹芝から6時間半ほどで、雄大な雄山がそびえ立つ「火山の島」三宅島に到着します。そして、三宅島から、さらに18km南下すると、そこは「イルカ・ウォッチング」で賑わう御蔵島です。

 今回は、この二つの島を所管する「東京都三宅支庁土木港湾課」の取り組みをご紹介いたします。

 


 三宅島は富士火山帯に含まれる活火山です。近年では平成12年の噴火、その前は昭和58年、昭和37年と約20年周期で噴火を繰り返しています。噴火の爪跡は島内各所で見ることができ、島全体が火山博物館のような島です。

 また、三宅島は、バードアイランドと言われ、国の天然記念物に指定されている「アカコッコ」などの野鳥も多く見ることができます。特に、噴火の被害を受けなかった大路池という緑豊かな淡水湖は野鳥にとってのサンクチュアリであり、国内外から多数のバードウオッチャーが訪れます。

 一方、御蔵島は、水が豊かで大きな柘(つげ)の木や椎(しい)の木等、日本で有数の巨樹の森を見ることができるほか、フレンドリーなイルカたちが、観光客を迎えてくれます。

土木港湾課とは?

三宅島の新支庁舎

今年新しくなったばかりの三宅島の新支庁舎
※クリックすると拡大表示されます

 東京都の島しょには、大島・八丈島・小笠原、そして三宅島の4つの支庁がありますが、このうち三宅支庁だけが土木課と港湾課の2つの課を統合した「土木港湾課」となっています。

 これは、平成12年に雄山が大噴火し全島避難や支庁の都庁舎への仮移転と時を同じくした、組織の見直しによるものですが、職員数も支庁全体の半分に相当する30名を有する大所帯です。管内の陸(道路・砂防堰堤・自然公園)、海(港湾・漁港・海岸)、空(空港)の基盤整備と維持管理を一手に所管しています。なお、これまで二度の噴火災害を経験した支庁舎が建て替えられ、新しい支庁舎の整備が終わったばかりです。

 

三宅島・御蔵島の基盤整備・維持管理

坪田地区道路整備

坪田地区道路整備

 平成12年の雄山の大噴火は2500年ぶりと言われる大規模なもので、山頂に直径1.6キロメートルものカルデラを形成し、豊かな緑に覆われていた三宅島の景色を一瞬でモノトーンに変えました。火山灰などの噴出物は東京ドーム約18杯分の2200万㎥と言われ、その多くは、泥流となって野山を削り、道路などの公共施設や民家を破壊しました。また、火山性ガスは、森林の崩壊など島全体に壊滅的な被害を及ぼしました。

厚木沢砂防堰堤

厚木沢砂防堰堤

 噴火から十余年の月日が経過し、噴火当時4万t/日(最大8万t/日)を越えていた火山性ガスの放出量は、減少の一途を辿り、今では、2〜300t/日前後まで減少しています。

 土木港湾課では、平成17年2月の帰島までは、島民の生活に最低限必要な都道の復旧や砂防施設の整備、港湾・漁港・海岸保全施設の嵩上げ等の整備を重点的に行ってまいりましたが、一斉帰島後は、島民の生活を充実するための、都道や港湾漁港、砂防・海岸施設、公園施設などの整備を行っています。なお、御蔵島についても、都道や港湾施設、公園施設等の整備を継続的に行っており、常駐職員がこれらの施設の維持管理に従事しています。

 

【陸】道路・砂防施設・公園施設の整備

大路池遊歩道

大路池遊歩道

 管内の道路は、両島とも屈曲・急勾配の箇所が多いほか、特に、集落内では、幅員が狭く歩道が整備されていない区間も多く残っていることから、拡幅工事をはじめ、勾配緩和や見通しの悪い箇所の道路改修工事、歩道設置工事等を進めています。路面補修や道路清掃、沿道及び植樹帯の除草等の維持管理も行っています。平成25年度は、主に、道路関連では、三宅島坪田地区の道路拡幅整備工事や御蔵島里地区の視距改良工事、砂防施設関連では、大雨による水害や土石流から集落や公共施設を防護するため、砂防堰堤や流路等の整備を継続して実施していきます。

 一方、三宅島・御蔵島は、その優れた自然環境を保全するために、集落地域を除くほぼ全域が国立公園に指定されています。このため、当課では、来訪者に安らぎと憩いを与えるレクリェーションの場を提供するため、遊歩道や園地内トイレ、休憩施設等の整備や維持管理を行っています。

 

【海】港湾・漁港施設・護岸や離岸堤の整備

伊ヶ谷漁港近景

伊ヶ谷漁港近景


阿古船待

阿古船待


御蔵島港近景

御蔵島港近景

 島の玄関口である港湾の接岸率の向上や漁業の活動拠点となる漁港の機能向上を図るため、港湾・漁港施設の整備と維持管理を行っています。三宅島では平成19年に緊急避難港として伊ヶ谷漁港特目岸壁を整備したことにより、三池港、阿古(錆が浜)漁港と併せた3港体制となり、定期船の接岸率の向上に大きく貢献しました。また、今年5月末に阿古漁港船客待合所が完成し、島の玄関口に新たな観光・交流拠点が整備されました。7月3日に完成記念式典が開催される予定です。

 一方、御蔵島でも、低い就航率(特に冬場は20%程度)が課題となっていますが、今年4月、二突堤目の整備が都の次期港湾整備計画案に新規事業として始めて位置づけられ、就航率向上に向けた整備が進められることになります。また、両島への定期航路に新造船「橘丸」が平成26年7月に就航する予定です。

 

【空】空港施設の整備と維持管理

空港・機体

空港・機体

 島民の悲願により平成20年4月に再開した三宅島空港については、安全運航のため、空港施設の整備と維持管理に努めているところです。火山性ガスの影響等により、全日空(1往復/日)の就航率は、38.5%(平成24年度)と低く、就航率の向上が課題となっています。そのため、「火山ガス情報提供システム」の精度向上や近年のガス放出量の減少を踏まえた就航率向上に向けた取り組みを三宅村と東京都が一丸となって、行っています。なお、平成26年度早期からは、新中央航空による調布飛行場と三宅島を結ぶ定期航空路線が就航(3往復/日)することになり、利便性の向上が期待されています。

 

更なる三宅島・御蔵島の発展に向けて

イルカウォッチング

イルカウォッチング

 今年4月、「定住促進と持続的発展による伊豆諸島の再生」を基本理念とする新たな「東京都離島振興計画」(計画期間:平成25年度〜34年度)が策定されました。三宅支庁土木港湾課では、三宅島の噴火災害からの更なる復興、御蔵島のより一層の交通基盤の改善を目指して、両村との密接な連携のもと、精一杯努めてまいります。

 

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