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特集 大島支庁管内の基盤整備2013年07月20日号

 
大島支庁管内の基盤整備
東京都大島支庁 土木課長 松葉修氏
東京都大島支庁 土木課長 松葉修

 東京都大島支庁は、伊豆諸島のうち大島、利島、新島、式根島、神津島の5島4町村を所管しており、東京都離島振興計画を踏まえ、道路・砂防・海岸・公園などの基盤整備を行っております。また、管内地域は活発な地震や火山活動・台風などの自然災害に多く見舞われています。そこで、住民生活の安全・安心を確保するためのライフラインである道路や土石流を受け止める砂防ダムの整備は重要かつ喫緊の課題となっています。南海トラフ巨大地震による新たな被害想定が出される中、島で行われている災害に強い基盤整備の現状を紹介します。

道路整備
防災性向上に向けた都道の整備

 島しょにおいては、陸上交通手段として自動車に頼ることが多い。都道の役割は、島における主要道路として、各集落と港湾・空港を結び、島民の日常生活や観光をはじめとした各種産業の振興・育成を図るとともに、災害時の緊急避難のために重要な役割を果たしています。

 しかし、それぞれの島特有の地形条件などから、幅員狭小・斜面崩壊の危険性および急カーブなど、スムーズな交通を妨げる要因も多々あり、早期の整備が望まれています。

 そこで大島では、間伏及び泉津地区において、都道の整備事業を行っています。

着々と進む道路整備(間伏地区)

着々と進む道路整備(間伏地区)

 このうち間伏地区においては、バイパス形式による道路整備を行っており、橋梁整備を含む1期区間700mが完成しています。今後は、引続き2期区間700mの整備を進めていきます。

 また、泉津地区においては、1期区間の現道拡幅部分が完了し、2期区間の椿トンネル(観光名所)部分に着手していきますが、椿トンネルを残し、海側に新設都道を整備する予定です。

 地権者の皆様方のご協力のもと用地の取得を行いながら、買収完了箇所から順次工事に着手していきます。

 神津島では、鉄砲場地区において、防災性向上に向けた緊急時の重要な避難路となる代替道路整備を昨年度から本格的に着手し、新規の橋梁及び道路整備を行っております。

 

道路保全
生活を支えるインフラの維持・補修

野増地区の視距改良工事(施工前)

野増地区の視距改良工事(施工中)

野増地区の視距改良工事(上:施工前 下:施工中)

 大島支庁管内は、5島で8路線総延長94㎞の都道を管理しており、住民の生活を支えるインフラとして、常に安全で良好な状態が求められています。とりわけ管内は、台風の襲来や集中豪雨等島しょ特有の厳しい気象条件下にあり、道路施設の保全はきわめて重要になっております。

 大島支庁では、道路の自然災害による影響を未然に防止するために、道路災害防除事業や道路・橋梁の維持・補修に積極的に取り組んでいます。昨年は、集中豪雨等によって神津島の道路斜面が被災しました。

 その際には、迅速な復旧に努めるとともに、観光シーズンに配慮しながら施工しました。また、歩行者やドライバーの安全確保のため、歩道整備や視距改良等の安全施設事業を推進しており、いっそうの安全確保を図っています。

 今後も住民要望を踏まえつつ、車道舗装の路面状況、舗装履歴、道路斜面調査等をもとに、道路施設の状況を的確に把握し、緊急性・重要性の高い箇所から順次計画的に事業を推進していきます。

 

砂防事業
島民の命と財産を守る砂防えん堤

昨年度完成した岡田沢の砂防ダム

昨年度完成した岡田沢の砂防ダム

 大島では、昭和61年に三原山が噴火し、約1ヶ月の全島避難を経験しました。この噴火を契機に、都では平成2年に伊豆大島総合溶岩流対策基本計画を策定し、溶岩導流堤、堆積工及び砂防えん堤等のハード対策と雨量計等のソフト対策を組み合わせた災害対策事業を進めております。現在、全体計画(19渓流)のうち、特に緊急性の高い元町、野増地区の5渓流(大金沢、八重沢、長沢、地の岡沢、大宮沢)から整備し、完了に近づいたことから、順次、岡田沢、北の山川、差木地沢、滝川沢の地区を進めております。

 神津島では、集落の中心を流れる神津沢において、土石流をより安全に流下させるための流路改修工事などを行っております。

 

海岸整備
環境に配慮しながら海岸の浸食を防止

 管内の各島は、崩壊しやすい地層から形成されていることに加え、全国でも有数の強風地帯であり、波浪の影響による海岸侵食が著しい。このため、刻々と侵食される海岸を保全し、背後地で暮らす人々の命や財産を守るため、海岸利用と環境保全に配慮しながら施設を整備しております。

 現在、利島の前浜海岸で護岸整備、新島の和田浜海岸で人工リーフ設置などを継続して整備しています。

 また、昨年度には「津波・高潮対策」として、各島の海岸区域において現在の海抜を示した津波避難看板を設置しました。

 

公園整備
観光振興に向けた公園整備

椿園広場改修により賑わう椿祭り

椿園広場改修により賑わう椿祭り

 管内のほとんどが富士箱根伊豆国立公園に属し、総面積の約8割が自然公園法の特別地域に指定されています。自然環境豊かな景観は、離島の経済振興に大きく寄与する観光資源です。こうした自然環境を生かした利用施設として遊歩道、園地、野営場などを設け、付帯施設として休憩所、トイレ、炊事場などを設置し、観光客等の利用促進を図っています。

 管内には、大島公園(大島)、羽伏浦公園(新島)、多幸湾公園(神津島)の三つの都立公園があり、それぞれにロッジやキャンプ場などの宿泊施設を整備し、利便性の向上を図っております。

 特に大島公園では、施設の老朽化を契機に動物園の再整備を進めており、今年度も引き続き行う予定です。また、今年度は、海のふるさと村取付道路の改修及び宿泊施設内部の改修を行う予定であり、観光面で大いに貢献できると期待しております。

 

 

 

 

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