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らくがきスポーツカフェ 最終回2013年09月20日号
まずは、東京オリンピック招致の成功をお祝いいたします。何だか、肩から力が抜けた。本紙にプレゼンテーションや支持率上昇で手応えはあるって書きましたから、招致成功への思いがのしかかっていたんでしょう。
さて5年ほど前のこと、「3Dビデオカメラを安く買える。3D時代になるなら買いたい」と友人の大学教授に尋ねられた。私は「ヤメなさい。3Dの普及には無理があると思っています」と素直に答えた。
それから暫くしてNHK技術放送研究所で8Kの録画映像を見る機会があった。8Kとは、ハイビジョンの16倍の3300万画素というもの凄くきめ細かい映像で、NHKではスーパーハイビジョンと呼んでいる。55インチほどのモニターで見た8Kの映像に、私は驚いた。鮮明で深みのある映像から遠近感が生まれ、3Dと錯覚した。NHKはロンドン・オリンピックの競技を8Kで収録し、パブリックビューイングで公開。見た人の多くから高い評価を得ている。
今、一般家庭向けにハイビジョンの4倍画素数の4Kテレビが発売され、一部で放送も始まっているが、3Dが登場した時のようなブームを予感させる熱気はない。ハイビジョンを超える強いインパクトがないと私は感じている。3Dテレビ登場時には、販売店の店頭で3Dメガネの空くのを待つ多くの人がいたが、そのような興味をもって4Kテレビの画面を見続けている人は少ないからだ。
「トウキョウ」とロゲIOC会長が言った時、7年後の東京オリンピックは一足飛びに8Kテレビで見ているかもしれないと直感で思った。今はスマートフォンやパソコンでハイビジョンを超える映像も見られる。4Kではもう人は驚かないのではないだろうか。8Kは大会場で公開されるパブリックビューイングや、100インチほどのモニターで見るのが想定のようだ。一般家庭で見られる50インチ程度の8Kテレビの技術開発を進めたら、と思ったのだ。
7年後の歳を考えると競技場へ行くのは、ちょっと厳しい。日本が金メダルを取る競技は、自宅で、3Dを超える今より鮮明な画像のテレビで見たい。日本の技術力で早く商品化してほしい。そして大量生産され安くなることを期待する。
長い間「らくがき」させていただきましたが、今回で終わりです。
ありがとうございました。
<筆者紹介>
堀田 壽一(ほった じゅいち)
愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。
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