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【新連載】ペットと暮らそうよ!2014年04月20日号
日本の犬猫の飼育頭数は、増加を続けており、15歳未満の子どもの総数を上回ります。しかし、ペットに関する諸問題への取組み、特に集合住宅や公共施設の立ち入りについては、他の先進国に大きな後れを取っています。今月から、これらの諸問題を解決するための方法をともに考えていきましょう。
いまや、世界中の文明国で犬や猫たちが市民権を得ています。ニューヨークやパリ、ロンドン、そして東京、北京、ソウルなどの大都会でペットを飼う人が増えていますが、なぜ世界中、犬と猫なのでしょうか。
哺乳動物のなかでも家畜と呼ばれる犬や猫、馬、牛、羊、ヤギなどは常に人の集落のなかで暮らしてきたため、野生動物と違い、人との相性が特にいいのです。なかでも犬と猫と馬は別格です。狼を祖先とする犬は狩りと番犬の役を果たし、農耕が始まり穀物が大切になると、大敵のネズミから守ってきたのは猫でした。馬は馬車や農耕(現代の自動車やトラクター)の動力でした。こうして犬と猫は人とともに“いい関係”で暮らしてきたのです。
現代の人々が犬や猫と暮らすのは、相性の良いものどうし「ふれあい」を求めているからです。人とペットとの関係は人の“所有物”ではなく、生きものどうしとして相互に影響し合う間柄なのです。
今では世界で「生きものどうし」の相互作用(ヒューマン・アニマル・インテラクション)の研究が進み、「人と動物との絆」の大切さが理解されるようになってきました。研究が進むなかで、犬や猫は子どもたちの成長や教育に欠かせないことがわかり、特に子どもたちにとっては兄弟、お年寄りにとっては子どもや孫の役割を果たす家庭・家族の一員であることがよくわかってきたのです。
ワシントン州立総合大学獣医科大学の学長、レオ・ビューステッド先生(私の古い友人/先輩先生)は、前述の「人と動物の相互作用」を「ヒューマン・アニマル・ボンド」と象徴的に名づけましたが、私の「人と動物と自然(地球環境の保全)との絆では?」との問いに間髪入れず答えてくれました。
「私にとっては、アニマルは自然の窓と捉えている。あなたの言うとおりだ」
————それ以来、私は「人と動物との絆」は「人と動物と自然(地球環境の保全)との絆」と呼んでいます。
加藤 元(かとう・げん)プロフィール
1932年兵庫県神戸市出身。北海道大学獣医学部卒業後、64年杉並区でダクタリ動物病院を開業、同院グループ(現在全国21病院)創始者・代表。73年から多くの米国州立大学獣医科大学で客員教授を歴任し、現在もコロラド州立獣医科大学客員教授と千葉科学大学客員教授を務める。87年全米動物病院協会学術エクセル・アワード、94年同協会学術ウォルサム・アワードを外国人として初めて受賞。日本の動物病院のレベルの向上と継続教育に尽力している。
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