2008年1月21日号

エコカーの最先端を行く
トヨタ自動車

トップディーラーの役割

東京トヨペット株式会社
代表取締役 社長

神谷 昭男さん

 時速30〜40kmがせいぜいの人類が、車という道具を手に入れておよそ130年。私たちの暮らしになくてはならない存在だが、一方で地球環境に対する負担も問題になっている。地球温暖化が深刻になりつつある現在、ガソリンの消費量を減らし、CO2の排出量を減らすことができる救世主として注目を浴びているのがハイブリッドカーだ。

 環境問題に対する意識の高い人の間では、トヨタのプリウスやレクサスを選択することがステイタスになりつつある。特に東京では、ハイブリッドカーに乗ることで、大都市に暮らす住民としての責任を果たそうという人が多いという。

 トップディーラーとして常に時代をリードしてきた東京トヨペット代表取締役社長、神谷昭男さんに、環境や社会貢献への取り組み、これからの車社会はどうあるべきかうかがった。

ハイブリッドカーに乗ることがステイタスになる

――自動車産業には、環境問題に対するさまざまな対応が期待されています。トヨタ自動車のトップディーラーとしてどのような取り組みをされていますか。

神谷  まず環境基準に合う行動をしていこうということです。今、新車店舗が71あるのですが、そのうちの57店舗と、その他の施設4拠点の合計61拠点でISO14001(環境マネジメントの国際基準)の認証を取得しています。

 本当は全店舗いっせいに環境監査を受け、取得するのが理想なのですが、できるところか着々と進めてきました。同時に、東京都の地域住民として、地域の人たちに信頼され、愛される企業であるべきだと思いますので、ISO14001だけでなく、いろいろな基準に合うような目標を決めて、具体的に成果を出していかなければならないと思っています。

――CO2の排出量が少なく環境にやさしいということはもちろんですが、ガソリンの値上がりもあり、ハイブリッドカーがとても注目されています。

環境にやさしいハイブリッドカー

環境にやさしいハイブリッドカー

神谷  ハイブリッドカーの代名詞ともいえるプリウスは、私がメーカーの高岡工場にいたときにラインオフした車なんです。ガソリンエンジンと電気モーターの特性を使い分けて走るハイブリッドカーは、将来的に環境だけでなくお客様のためにもいい車になると信じていました。

 生産の問題もあったのですが、トヨタ店だけでなくトヨペット店でもプリウスを扱えるようになり、ハイブリッドカーは飛躍的に台数が増えています。2007年は前年比で見ると180%増。当社の新車受注台数全体に占めるハイブリッドカーの割合も、2004年度は5・3%だったのが、2007年4−12月で11・2%。まだまだ増えるだろうと思います。

 販売台数が増えれば生産コストも下がりますし、ハイブリッドカーに対する優遇策も考えられていますから、もっともっとお求め安い価格になっていくと思います。また、プリウスだけでなく、レクサスをはじめいろいろなハイブリッドカーが出てくることによって、さまざまなニーズに応えられるようになるでしょう。

 一人でも多くの方にハイブリッドカーを使っていただきたい、というのが私の願いです。

――アカデミー賞の授賞式会場に多くの映画スターがプリウスで乗りつけ、話題になりました。環境に気を遣っていることをアピールするためとも言われますが、ハイブリッドカーに乗ることは、ステイタスになりつつあります。

神谷  そう言っていただけると大変うれしいですね。
 実際、輸入車からプリウスに乗り換えるという方も結構いらっしゃいます。とにかく、お客様の環境に対する意識の高さには驚かされますね。大都市に暮らす住民としての責任を、きちんと果たそうという方が、東京はとくに多いような気がします。

お客様のカーライフのベストパートナーであるために―

――CO2の排出を減らす努力だけでなく、苗木を寄贈したり、CO2を吸収するために植物を植えるなど、環境を良くする取り組みに力を入れていらっしゃいますね。

グリーンキャンペーン苗木寄贈式

グリーンキャンペーン苗木寄贈式

神谷  1992年から地域密着型の社会貢献活動として環境緑化運動に参画し、延べ190を超える自治体に3万3000本を超える苗木を寄贈してきました。

 生産の問題もあったのですが、トヨタ店だけでなくトヨペット店でもプリウスを扱えるようになり、ハイブリッドカーは飛躍的に台数が増えています。2007年は前年比で見ると180%増。当社の新車受注台数全体に占めるハイブリッドカーの割合も、2004年度は5・3%だったのが、2007年4−12月で11・2%。まだまだ増えるだろうと思います。

 じつは、トヨタ自動車はエネルギー償還植物や環境改善植物の開発も手がけています。いわゆる大気汚染物質を吸収しやすい花とか、あまり伸びないので手入れが楽な芝とか、いいものがいろいろあります。それらを植えることによって、店舗の美化だけでなく、空気をきれいにする一助となればと思っています。

――店舗づくりというより、環境づくりを大切にしているのですね。車を見る以外にも、東京トヨペットに行く楽しみが増えそうです。

神谷  お客様はもちろん、周辺に住む方々にも喜ばれるような店になれたらうれしいですね。

――環境以外に、とくに力を注いでいることはどんなことでしょう。

神谷  お客様とのコミュニケーションを大切にしようということです。営業スタッフがお客様と接する時間を1時間増やす。当社の場合、本当にお客様に向き合える時間は、現状1日3時間くらいでしょうか。

営業スタッフといっても、書類を作ったり、車を引き取りに行ったりと雑用も多く、お客様と接する時間は意外と少ないんです。会社を経営する上では、一人の営業スタッフにいろんなことをやってもらいたいのですが、そのためにお客様との時間をカットしたら本末転倒。やはり営業スタッフのメインの仕事は、お客様と顔を合わせてお話を聞き、それぞれのライフスタイルに合わせたご提案をさせていただくことですからね。

カーライフのベストパートナーとして、お客様と一緒に長い人生を歩いていけたら幸せです。

――最速でもせいぜい時速30〜40kmの人類が車という道具を手に入れて、とても便利になった反面、環境汚染や交通事故といった負の遺産も生じています。
これからの車社会はどうあるべきとお考えですか。

トヨタ自動車開発環境改善植物を施したカーテラス小平店

トヨタ自動車開発環境改善植物を施したカーテラス小平店

神谷  車を運転するのはあくまでも人間です。成熟した車社会にするためには、人間関係ならぬ、車関係がうまく行くような、車同士のコミュニケーション手段を提案していくこともわれわれの役目でしょうね。

そして、今までにないワクワクする車とか、万一の事故でも、人に怪我をさせない車とか、便利で、安全で、環境にいい車が開発されると信じています。

[プロフィール参照]

撮影/赤羽真也


<プロフィール>

かみや あきお。1967(昭和42)年、立教大学経済学部卒業。同年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。1994年第3車両部長、1996年高岡工場工務部長、1999年取締役、2001年東京トヨペット副社長、2002年同社代表取締役社長。東京都出身。

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