「ネッつグTokyo」を開始

―都民の安全を担う部署の長としての抱負は。

あらゆる世代に被害が広がる特殊詐欺や、様々な不安や悩みを抱え「トー横」に来訪する青少年・若者への対策など、直面する課題に機を逸することなく機動的に対応し、都民の安全安心を確保する必要があります。

当本部は「治安対策」「交通安全対策」「若年支援」を施策の柱に、警察機関や区市町村、民間事業者、地域団体等をつなぐ結び目としての機能を果たし、「誰もが安全安心を実感できる社会」の実現に向けた施策を推進しています。

―甚大な被害が生じる特殊詐欺への取組は。

現在、警察官騙りの詐欺が横行し、20代、30代の若い世代にまで被害が拡大しています。国際電話等の知らない番号から着信があり、偽の警察官から「あなたは容疑者だ」「逮捕状が出ている」などと脅され「調査のため口座のお金を別口座に移す必要がある」と誘導されて、ネットバンキング等で犯人にお金を振り込んでしまうケースです。

多くの都民がスマートフォンを日常的に利用する中、誰もが被害に遭う可能性があります。手口を知り、知らない番号からの電話には出ない、少しでもおかしいと思ったら迷わず家族や警察に相談するといった基本的な対策で防げる被害は多くあります。

当本部では、最新の手口を学ぶことができる「体験型啓発」「実演式講話」を区市町村等と連携して高齢者らを対象に実施するほか、若年層や中高年層向けの注意喚起動画を活用したターゲティング広告などを実施して、被害防止に取り組んでいます。

また、若者が「闇バイト」に関わらないよう、リーフレットや特設サイトで注意喚起や見分け方、相談窓口を紹介しています。さらに、警視庁が提供する防犯アプリ「デジポリス」では、新たに国際電話からの着信通知を遮断する機能が12月に追加される予定なので、被害防止のためにぜひ利用してほしいです。

―子供たちがSNS等に起因するトラブルに巻き込まれ、被害を受ける事案が後を絶ちません。

都の調査から、多くの保護者が子供にスマートフォンを持たせることに不安を感じていることが明らかになりました。

SNSやオンラインゲーム等で仲良くなった知らない人と直接会った結果、誘拐・連れ去り等の凶悪犯罪の被害に遭うことや、オンライン上の誹謗・中傷、偽・誤情報、スマートフォンの不適切利用に伴う依存症被害といった犯罪・トラブルは子供たちのすぐ身近にあるのです。

当本部では、子供の大切な未来を守るため、不安を感じる保護者を支援することが必要と考え、「ネッつグTokyo」を立ち上げました。官民連携で気運の醸成を図るとともに、様々な啓発コンテンツを展開することで保護者が子供のネット利用環境を整える取組を支援しています。

この度、保護者の皆さんに知ってほしいこと、子供と一緒に話し合ってほしいことをリーフレットにまとめたのでぜひ見てほしいです。

「トー横」での取組を強化

―青少年問題ではトー横問題に関心が高まっています。今後の取組は。

いわゆる「トー横」などの新宿・歌舞伎町周辺では、学校や家庭に居場所がなく、各地から集まった青少年・若者が悪意のある大人によって犯罪・トラブルに巻き込まれる状況や、悪質ホストによる金銭被害、オーバードーズ等の問題が発生しています。

当本部では、悩みを抱える青少年・若者が気軽に相談できる窓口「きみまも@歌舞伎町」を「トー横」近くに設け、一人一人の悩みに応じた支援に繋げ、犯罪被害等の防止を図っています。

きみまもは、昨年5月の開設以降、想定を超える利用があったため、相談員の増員等を行ったほか、本年度よりスペースを拡充し、より多くの若者等に対応できるよう体制を強化しました。

また、SNS等を活用したターゲティング広告による注意喚起や歌舞伎町の街頭ビジョンに相談窓口を周知する動画を放映するなど、きみまもを知らない青少年・若者に対しても、支援が届くようあらゆる手段を尽くしています。

「トー横の問題はトー横だけでは解決しない」ということを踏まえ、様々な地域・分野の行政・支援団体・学校等との連携を拡大するとともに、きみまもを通じて得られた実態やノウハウに関する情報を共有・発信し、課題解決に努めます。

―本部長の趣味をご紹介ください。

小学校では「キャプテン翼」に感化されてサッカーをやっていたのですが、中学校にサッカー部がなかったことから、長距離走ができる陸上部に入りました。私の場合、走ると、ストレス発散と対面している課題に対する考えがまとまる効果があるような気がするのです。

今でも週末はできるだけ10kmくらいは走るようにして、モチベーション維持のために、年間数回はマラソン大会に出場しています。年齢的に衰えを感じていますが、市民ランナーの目標であるサブスリーを再度達成することを目標にこれからも継続したいと思っています。