共生社会等の実現に貢献

―組織の紹介と本部長の抱負をお願いします。

私は知事本局などを経て、東京2020組織委員会に出向し、6年間過ごしています。都庁に戻ってから生活文化スポーツ局の次長を経て、スポーツ推進本部長に就任しました。

私たちの仕事は、スポーツの力で都民の健康づくり、ウェルビーイングを高めることを目標に掲げています。同時に、スポーツの力で社会を変えていくことにも取り組んでいます。デフリンピックでは、スポーツの力で共生社会づくりに貢献するため、聴覚障害への理解を促進するユニバーサルコミュニケーション技術を活用しました。

世界陸上では、約4万9000人の子供達を観戦に招待したほか、国立競技場のトラックを約1万人の子供達が実際に走る体験をしています。環境面では家庭で使用された油を航空燃料として再利用するSAF(Sustainable Aviation Fuel)について、北口榛花選手をメインビジュアルに起用してキャンペーンを実施しました。スポーツが持つ発信力を活用し、他の分野の課題解決の糸口につなげることに取り組んでいます。

人とのつながりづくりも重要で、ボランティアの活躍も大きかったですね。世界陸上、デフリンピックともに約3000人の方々に参加いただきました。今後、様々なスポーツイベントを通じてボランティアに参加するきっかけを作りたいですが、今回、参加していただいた方々が素地になってくれればと考えています。

―世界陸上とデフリンピックが終了しました。両大会の成果は。

両大会とも大きなトラブルもなく無事に終了しました。世界陸上は9日間で約62万人が来場し、競技を観戦した方々がスポーツの楽しさ、素晴らしさを実感し、自らスポーツをやってみるきっかけになりました。デフリンピックも入場規制がかかるほど多くの方々が観戦に来られました。

スポーツの力で社会の課題解決に貢献するという観点からは、SAFやAirソーラー(次世代型太陽電池)の活用、ボトルtoボトル(ペットボトルの水平リサイクル)などの取組がワールドアスレティックスからも評価を頂きました。世界陸上では、子供達の記憶に残るものにしようと様々な取組を行いました。さきほどのトラックを走るイベントに加え、都内の全小学校にリレーで使うバトンを8本贈呈しました。1本は記念として飾ってもらい、残り7本を実際の授業などで使用してもらいます。子供達が実際にバトンを使って走っている映像などがSNSにアップされているケースもあります。

デフリンピックは、目でみる応援方法の「サインエール」が広がり、きこえない人ときこえる人が一緒になって大会を盛り上げました。ユニバーサルコミュニケーションの技術が競技会場等で活用されたばかりでなく、東京メトロの全駅では駅構内の放送をスマホで見える化するシステムを導入しています。ユニバーサルコミュニケーションが確実に広がっている実感を持っています。

子供達にかけがえのない体験を提供できたこと、ユニバーサルコミュニケーションの普及による共生社会の実現に向けたきっかけづくりができたこと、この2つが大きな成果です。

女性、高齢者が今後のテーマ

―今後のスポーツ振興に向けた取組は。

今、まさに開催されているミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・パラリンピックをはじめ、3月にはワールドベースボールクラシック、9月には愛知・名古屋2026アジア競技大会が開催されます。こうした機会をとらえ、スポーツに対する関心を高めることに取り組んでいきます。

今後の大きなスポーツのテーマは女性と高齢者だと思っています。高齢者に関しては2028年に東京で「ねんりんピック」が開催されるのでそれを見据えた取組を行い、いかにして健康寿命を延ばしていけるかを考えたいですね。現在、基本構想を策定中で、3月にはまとまる予定です。そして健康づくりのためのデジタル技術も広く普及できればと考えています。

女性については、色々なメニューを考えています。女性に向けた情報提供のしくみ、体験機会やスポーツ教室の実施などです。関係団体とも随時協議中なので、決まり次第明らかにしたいと考えています。

今後のスポーツ大会の誘致に関してですが、誘致を希望する競技団体を応援する制度を設けており、事前の情報収集や調査へ補助を行っています。誘致が成功した際には開催経費の一部を支援します。その際、子供達の無料招待などを条件としています。

今年は東京2020大会から5周年です。JOC、JPC、そして東京都が連携して盛り上げることを確認しています。子供達のためのイベントをはじめ各種競技大会の東京開催などを考えています。

―本部長のご趣味は。

去年から走り始めました。ある経営者の方とお話しした際、50歳から走り始め55歳でフルマラソンに出場し完走したということで感銘を受けました。朝に身体を動かすと違いますね。新しいランニングシューズも用意しました。これもひとつの挑戦です。