2008年3月20日号
ビジネス最前線
BJの話(2)

BJとはビジネスを円滑にするための機能を買うものである

 ビジネス・ジェット(BJ)は機能を買うものとは前号で説明したが、その価格の高さを超える利便性は、一度使ったら止められないとの評価が一般的だ。

 しかしわが国にあっては、東京周辺に駐機できる飛行場がないから、いきおい遠隔地の飛行場に駐機することとなり、都度呼び寄せなければならない。それも価格が高くなる要因となっている。

 いやそればかりではなく、様々な航空法の規定によってがんじがらめにされている現状は、さながら非関税障壁に似て、新たな参入を難しくもしているし、それが普及を著しく遅らせてもいる。

 昨今、プライベート・ジェット(PJ)を持ったり、頻繁に利用することで、マスコミを騒がせる、俄かセレブのそれが話題となったりもするが、それらとは一線を画して考えてほしい。

 ここで言うBJとは、純粋に自分のビジネスを円滑に行うために、利用するビジネスマンが、究極の機能を買おうという動きを対象とするもので、お金で買える楽しみの延長線でたどり着くPJとはまず異なる。

 世界のトップ・マネジメントは、BJを利用することが当たり前になりつつあるし、国交省もようやく重い腰を上げて、この問題に取り組みはじめてはいるが、いかにもその動きは遅い。

 ごく一部の金持ちのもので、自分には関係ないなどと、決め付けないでもらいたい。少なくとも世界を股に駆けて飛び回る企業経営者にとって、BJを使うことはごく日常的なこととなっているのだ。

アジアのハブ空港としての地位は安泰か―

 しかしわが国の政治経済の中心たる東京周辺には、そのBJを受け入れる余地が皆無といっても過言ではない。

 羽田と成田の二つの国際空港しか持たない、このグレーター東京圏は、およそ3千万人の人口を抱える。世界有数の人口密集地でありながら、お粗末の極みとも言えるのが現状なのだ。国外、国内から寄せられる定期便の申し入れにも満足に応えられない中で、BJが重要視される望みは薄い。

 贅沢品だから後回しとはこちらの理屈で、既に上海もソウルもアジアのハブ空港を目指して増強を早めているし、その成果は着々と現れはじめている。このまま放置すれば、日本の国際的な地位を脅かしかねない重大な問題との認識を一体どれだけの官僚、政治家が持っているのだろうか。

 あと十年もすれば、ジャパン・パッシングの果てにくる、僻地化現象から免れる術はない。

 航空行政とは、日本一国のことを考えていれば済む話ではない。この仕事に当たる行政マンは正にステイツマンのスタンスを忘れず、何が国益に叶うかを常に考えつつ仕事を進めてほしいものだ。

世界的にも厳しい日本の航空法
国際競争の妨げになっていないか

 日本の航空行政は、戦後一から作り直してきたが、まず米軍の管理から少しでも日本の空を取り返す作業から始まった。

 当時は官民一体となって、航空機輸送を定着させるために、手厚い保護政策を求められたし、航空各社も、当時の運輸省の言うことさえ聞いていれば済む、「親方日の丸」体質を甘受してきた。

 しかし時代は移って、新たな競争社会を求めている現代にあっては、そんな護送船団方式は通用しない。

 しかし、そのおよそ60年に及ぶ運輸省統治の時代に、在任中に問題が起きることを恐れた官僚によって、日本の航空法は、世界的にも厳しい法律となってしまった。

 自由な競争を妨げる多くの制約、規制は、結局受益者たる利用者の負担を増やすだけで、そんな厄介な国に行くよりは、もっと規制が緩やかで、制約の少ない国が選ばれるのは自明の理だ。

 確かにBJを使うことは高い。しかし世界の最先端では、それが当たり前に受け入れられている現実から目をそらしてはならない。

 制約を少なくして、受益者負担を軽減する努力をする一方で、一刻も早くその事態を認識し、有効な手段を講じなければ、営々として築いてきたこの戦後の高度成長を、あだ花とする危険に直面していることを強く自覚するべきだ。

 世界は待っていてはくれない。我々がどんどん置いていかれる事態を私達は看過するわけにはいかないのだ。

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