2008年4月20日号
<よろず相談室>
(4)会社を設立する

スターライト法務相談
司法書士 星野大記


<Q>
 Xさんは会社を辞めて、自分でインターネットを利用したリサイクルショップの会社を立ち上げようとしています。会社をつくり、営業するにはどういった手続きが必要になりますか。

<A>
 会社をつくるには、会社の設立登記を申請する必要があります。また、リサイクルショップを営業するには、古物商の許可が必要になります。

【解説】
1.会社の設立

 会社の設立については、会社法(平成18年5月施行)に則った手続きをとる必要があります。会社の種類としては、(1)株式会社(2)合同会社(3)合名会社(4)合資会社があります。

 会社法が施行される前まであった「有限会社」は、今では(1)株式会社の一形態として「特例有限会社」といい、会社法では、「有限会社」はもう設立することができません。

 株式会社は、株主1名、取締役1名、資本金1円でも設立でき、会社の規模に合わせた会社組織の構成が比較的自由に設計できるので、会社の中で、もっとも数の多い形態です。

 また、株式会社は、出資金の範囲でのみ株主としての責任を負う「有限責任」の会社形態であり、会社を大きくするときに、他の人から出資してもらったり、他の人のノウハウを提供してもらうために、取締役に選任することができるので、Xさんは、よっぽどの事情がなければ、株式会社という形態を選択するのがよいでしょう。


2.株式会社の設立のために決めなくてはならないこと

 株式会社を設立するために決めておくべきことは、たくさんあります。決めておくべきことは株式会社の形態により異なりますが、Xさんが、一人株主、一人取締役という形態で設立するとした場合、最低限必要な事項は次のとおりです。

1.発起人(会社設立時の株主)
2.商号(会社名)
3.目的(会社が行おうとしている業務)
4.本店(会社の本社の所在地)
5.機関(取締役の氏名)
6.資本金と発行する株式の数(設立時の資本金と1株あたりの価額)
7.発行可能な株式の数(会社の株式の授権枠)
8.株式を譲渡する時にこれを承認する機関(株式の譲渡制限規定)
9.決算期

 なお、株式会社には、「定款(ていかん)」という会社のルールの根幹となる規則があり、上記の事項は、全て定款の記載事項になります。

 また、通常は、定款にこの他のたくさんの会社の規則を定めておきます。詳細な内容については専門家にご相談されることをお勧めします。


3.株式会社を設立するまでの手続き

 会社を設立するまでの手続きは、次のとおりです。

 (1)定款を作成する
   ↓
 (2)定款を認証する
   ↓
 (3)発起人が資本金を振込む(発起人の個人口座に振込みます)
   ↓
 (4)必要書類を作成用意する
   ↓
 (5)会社の代表印を用意する
  ↓
 (6)登記を申請し印鑑を登録する

 スムーズに手続きを進めれば、3日から1週間もあれば設立できてしまいます。

 流れだけみると、とても簡単ですね。

 実際に、自力で書籍等を参考に設立される方もたくさんいらっしゃいます。

 時間的に余裕がある方であればチャレンジしてもよいと思いますが、登記は一度完了すると、変更や更正するために費用がかかり、その履歴も閉鎖された事項として長年残りますから、やはり専門家にご相談されることをお勧めします。


4.会社を設立した後にするべき手続き

 会社の設立登記が完了したら、通常は次の手続きをします。

 (1)金融機関 会社の金融機関の口座を開設し資本金を移す

 (2)都税事務所(または都道府県税事務所) 事業開始等申告書(法人設立届)を事業開始から15日以内に提出する

 (3)税務署 設立登記後2ヶ月以内に法人設立届出書を設立の日から3ヶ月を経過した日か、最初の事業年度終了の日の早い日の前日までに青色申告の承認申請書を提出する

 (4)その他、適用事業所になった時点で、労働基準監督署、社会保険事務所、公共職業安定所へ、期間内に各種書類を届け出る


5.リサイクルショップ(古物商)の許可

 一度使用された物品(時計、宝飾、書籍、衣類など)を販売するリサイクルショップ(古物商)は、許可が必要となります。これは、リサイクル品の中に、盗品など違法な手段で取得した物品が入って換金されるのを防止するためです。公安委員会が担当の官公署となり、窓口は警察署となります。申請から取得までにおおよそ2ヶ月程度かかります。


6.まとめ

 以上のとおり、会社を設立して事業を始めるまでには、たくさんの公的な手続きをする必要があります。会社は、営業して利益を上げるために設立するわけですから、本業ではないことに時間と手間を費やすのであれば、初めから専門家に依頼して手続きをとり、自らは事業者として営業活動に専念するほうがよいと言えるでしょう。

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