2008年8月20日号
<よろず相談室>
(8)一般社団法人制度

スターライト法務相談
司法書士 星野大記


 平成20年12月1日に「公益法人関連3法」が施行されることにより、前回ご紹介した「中間法人制度」は廃止され「一般社団法人」へ移行されるとご説明しました。

 今回は、新しくスタートする社団法人・財団法人の制度について解説します。

1.社団と財団の設立手続きが簡易に

 新しい制度は、社団(人々の集まり)と財団(財産の集まり)に法人格を付与することで、人々の社会活動や財産の活用がよりスムーズに行えるようにするためのものです。

 この点、旧制度では、法人の設立に監督官庁等の許可認可等が必要であったのに対し、新制度では、法律上の手続きに則りさえすれ法人を設立できる「準則主義」を採用しており、設立手続きが非常に簡易になりました。

 この準則主義で設立できる法人を「一般社団法人・一般財団法人(一般法人)」といいます。この法人は、非営利団体(剰余金の分配をしない)であり、その目的は、必ずしも「公益」である必要はなく、「私益」でも「共益(法人の構成メンバーのための利益)」でもよいとされています。

2.公益法人にステップアップ可能

 新制度の社団・財団には、さらに次のステップがあります。それは、「公益社団法人・公益財団法人(公益法人)」です。一般法人は、準則主義で登記申請すれば設立することができるわけですが、一般法人として設立された法人がその活動目的等について「公益性」の認定が受けられた場合、公益法人にステップアップできます。

 公益法人の主な特徴としては、寄附金の優遇措置などが適用されることが挙げられますが、なによりも、「公益法人」という社会的な信頼を得られることが最大のメリットだといえるでしょう。なお、公益性の認定は、内閣府に設置する第三者機関(公益認定等委員会または合議制の機関)が行うことになります。

3.一般法人の特徴

 (1) 一般社団法人   
  ・社員2名以上によって登記により設立できる   
  ・目的は、自由   
  ・設立時の法人財産は不要   
  ・社員・社員総会・理事は法人の必要的設置機関   
  ・基金制度がある(返還義務がある拠出金の制度)   

 (2) 一般財団法人   
  ・設立時の財団の資産として、300万円以上必要   
  ・登記により設立できる   
  ・目的は自由だが、定款に変更に関する規定がない場合は変更ができない   
  ・理事・理事会・監事は必要的設置機関   
  ・基金制度がない   

4.中間法人は一般社団法人に移行

 全ての中間法人は、新法人制度が施行されると、一般社団法人に移行されることになります。有限責任中間法人は、施行日において一般社団法人とみなされ、施行後最初に招集される社員総会で定款変更についての承認をうけることになります。

 無限責任中間法人は、施行日後1年以内(平成21年11月30日まで)に定款変更と所定の登記手続きをとられなければ法律上当然に解散されることになります。

5.今後の課題

 新しい一般法人制度は、設立が非常に簡便となり、多岐の分野において、採用されていくことが予想されます。

 もっともその便利さゆえに、非社会的活動団体等に悪用されるリスクも孕んでいます。監督官庁も無くなる中、法人活動の適正をいかに実現してゆくかが今後の課題となるものと思われます。

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