ヨハネス・フェルメール
《ヴァージナルの前に座る若い女》
個人蔵

　オランダのハーグ近くのデルフトという小都市に生まれたヨハネス・フェルメール（１６３２〜１６７５）。生涯で残した作品は、わずか３０数点。作品の少なさと、光を紡ぐ独特の技法の美しさから、光の天才画家と称され、１７世紀に活躍したオランダ画家の中でも最も評価の高い画家の一人である。

ヨハネス・フェルメール
《ワイングラスを持つ娘》
アントン・ウルリッヒ美術館所蔵
(c) Herzog Anton Ulrich-Museum，Braunschweig，Kunstmuseum des Landes Niedersachsen

　本展では、独特な光の質感と知性的なタッチで描かれた、特に評価の高い作品群を公開。７点のうち「ワイングラスを持つ娘」「小路」「ヴァージナルの前に座る若い女」「手紙を書く婦人と召使い」「マルタとマリアの家のキリスト」の５点は日本初公開だ。

ヨハネス・フェルメール
《小路（こみち）》
アムステルダム国立美術館所蔵
(c) Rijksmuseum，Amsterdam

　このほかレンブラントに天才と称され、フェルメールの師であるとの説もあるカレル・ファブリティウスや、デルフト特有の技法を確立させたピーテル・デ・ホーホなど、世界的にもごく稀少な作品も合わせて３８点を展示。デルフトの芸術家による名作がこれほど一堂に集うことは、本国オランダでも希有といわれている。

　オランダの小都市が育んだ美の潮流“デルフト・スタイル”の傑作を堪能できる展覧会である。

東京都美術館　企画展示室