2008年2月20日号
頑張れ!東京の農業 Vol.1

 中国製冷凍餃子の問題で、誰もが“食の安全”に関心を持ったに違いない。

 食糧の自給率が40%を切った日本。食糧を海外に半分以上依存していることの重大性を今、ここで改めて認識しなければならない。

 その第一歩として、一番身近な東京の農業について考えていきたい。

 東京都の農業のことを、都民はどれほど知っているだろうか。現状や課題、そして一般の都民が何ができるかなどをシリーズで追う。

 1回目は東京の自給率とそこから何が見えるかを紹介する。

(取材/中本敦子)


厳しい東京の農業事情

 日本の農業は、従事者の減少や高齢化に、輸入農産物の増加による価格の低迷が追い討ちをかけ、生産者の意欲を減退させ、衰退の一途にある。遊休農地の増加、食料自給率の低下など、さまざまな問題が浮上しているように、危機的な状況に陥っていると言っても過言ではない。

 東京の農業もしかり。高度経済成長期の急激な都市化によって、農地や担い手が激減した。都市部特有の問題として、相続税などの税負担がさらに農地の維持・保全を困難なものにしている。

 農業というと、農作物の供給だけしか結びつかないかもしれないが、農地によっても多くの役割を担っている。自然環境の維持保存、ヒートアイランド現象の防止、食文化の継承など、その機能は多方面にわたる。

 特に都市化が進んだ東京において、緑豊かな農地は、都民の生活にうるおいを与えるとともに、災害時のオープンスペースや子どもたちに生命や自然の大切さを伝える教育の場ともなり、都民の生活環境や地域の景観形成に重要な役割を果たしていると言える。


東京の自給率は1割弱

 東京の耕地面積は、8340ha(平成17年)で、都の総面積の3.8%に相当する。その内訳は、普通畑(牧草地を含む)が73%、果樹地が22%、水田が4%となっている。

 東京の農業生産額は約299億円(平成17年)。稲作が中心の他県と異なり、東京の主要農産物は野菜で、総生産額の5割以上を占め、畜産、花の生産がこれに続く。野菜については、都民消費量の1割近い供給力を持っている。

 大消費地に近いという立地条件は、流通コストを安価に抑えられ、都民のニーズを直接把握でき、都市の情報をいち早くつかめると言える。

 東京特産野菜の代表小松菜とウドは、江戸時代より栽培されてきた伝統的な野菜で、都民の食卓に欠かせない。また、伊豆諸島の特産アシタバは、健康食品としてテレビなどでも紹介され、知名度が高まっている。

 その他、東京しゃも、TOKYO―Xなど東京都畜産試験場がつくり出した銘柄豚・銘柄鶏も注目を浴びている。東京発のブランドをつけた農畜産物、加工品も充実しつつある。

 “地産地消”が叫ばれている昨今、都民が東京産の農作物を選ぶことは、東京の農業を元気づける一歩となることだろう。


子ども達に農業の大切さを

 東京都の農業就業人口は、1万6344人(平成17年)。年齢別構成比は、65歳以上の割合が49%(7979人)と、高齢化が進んでいることがわかる。若年後継者の育成確保が今後の東京農業を存続、発展させていく重要な課題と言えよう。

 そんな状況を踏まえ、農業の担い手づくりに向けた新事業が相次いで始まっている。科学教育事業を手がけるリバネスでは、農家と提携し、家族や子どもが参加できるイベントや小中高生向けに農業体験や農業に関する授業を提供するなど、さまざまな農業教育事業を企画している。また、専門学校を運営するバンタンでは、農業経営者の育成コースを新設した。

 農家の戸数は減っているが、後継者以外で自ら土地を確保し、新たに農業を始めた人は、5年前から数倍に増加しているというデータもある。生きていく上で欠かせない“食”を担うこれからの農業従事者に大きな期待を寄せるとともに、消費者としての立場を今一度考えてみたい。

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