2008年4月20日号
[プロフィール参照]

医療NOW

(3)4月からスタートする新しい基本健康診査。
さて、その内容は?

東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター センター長

銭谷幹男さん


 本年4月から特定健康診査(特定健診)・特定保健指導が始まりました。特定健診は「高齢者の医療の確保に関する法律」により、40歳以上74歳以下の全国民を対象に義務化される健診です。この施行に伴い、障害者支援施設に入所している等の例外を除いて、年1回の受診をすることが必要になります。健診は、加入している保険者(国民健康保険や会社の保険組合)から案内・通知され、配布される利用券を持参して、契約している健診機関で実施されます。人間ドックや会社などで行われる定期健康診断を受けた場合も、特定健診に含まれることになります。

 特定健診の内容は〈表1〉に示す内容で、高血圧、高血糖、脂質代謝異常などを含むメタボリックシンドロームの有無を診断することを主眼としています。

表1


 特に特定健診では、従来の健診では十分には施行されていなかった腹囲の測定が行われ、この計測値を基に、血液検査、血圧、喫煙歴を加えた結果により、〈表2〉に示す群に分類され、特定保健指導が実施されます。

表2


 この際、注意することは、腹囲はいわゆるウエスト径ではなく、おへその高さでの腹部周囲径であることです。〈表2〉に示すように、男性では85cm以上、女性では90cm以上が閾値になっています。なお、腹囲測定に変えてCTなどによる内臓脂肪面積の検査を行うこともできます。また、腹囲がこの基準値以下であっても、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ったBMIが25以上の肥満傾向が認められる場合、血糖値・高脂血症・高血圧などの異常がある場合にも保健指導の対象になります。


 保健指導を受ける

 特定健診の標的は、項目に腹囲があることからもわかるように、前回ご説明した「メタボリックシンドローム」です。そして、従来の健診との最も大きな違いは、検査の結果〈表2〉に示すように、メタボリックシンドロームおよびその予備軍に分けられ、その後特定保健指導を受けなければならないということです。

 今までの健診では、例えば血液検査で基準値を超えていた場合、「食事に注意」などの記載のみでしたが、特定健診では検査後の経過観察が義務付けられ、しかも、それはメタボリックシンドロームすなわち肥満の解消を目的としているのです。特定健診後、該当者には「特定保健指導利用券」が送付され、指導を受けることとなります。

 この指導には、(1)動機付け支援、(2)積極的支援があります。(1)の動機付け支援は対象者への個別あるいはグループによる支援により、生活習慣を振り返り、生活習慣の改善を行うことを目的とします。個別では20分、グループでは80分以上の指導が行われ、6ヶ月後にその効果を確認します。

 (2)の積極的支援は、動機付け支援に加えて、より定期的、継続的支援を行うもので、行動目標を設定し、その実践に取り組むものです。なお、すでに、高血糖、高脂血症、高血圧などの生活習慣病で治療を受けられている場合は、この保健指導の対象にはなりません。


 病気にならないために

 これらの指導によりメタボリックシンドロームが解消すれば、いわゆる生活習慣病が減少し、国民の健康状態が向上することが期待されています。肥満と生活習慣病が密接に関与していることは多くの研究からわかっていて、その大きな要因の一つが内臓脂肪であることが明らかにされてきています。特定健診で腹囲を測定し、内臓脂肪過多を割り出すのはこのためです。

 先進国の中で、このようなメタボリックシンドローム対策を義務付けるのはわが国が初めてで、画期的な取り組みです。健康な老後を迎えるにもこの制度を十分活用したいものです。

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