2008年2月20日号
五輪誘致見据え先導的役割担う
東京都下水道局長 前田正博
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 一昨年12月、東京都は2016年のオリンピック競技大会誘致を見据え、「十年後の東京」を策定した。これは東京が近未来に向け、より高いレベルの成長を遂げていく姿を描き出したものだ。

 十年後に向けた八つの目標の一つに「世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する」ことを掲げ、2020年までに2000年比で25%の温室効果ガス排出削減を目指す「カーボンマイナス東京十年プロジェクト」を展開していく。下水道局としても今後、目標の実現に積極的な貢献を行っていく方針である。

 現状に目を向けると、東京の下水道は日々約六百万立法メートルの汚水を処理する世界有数の規模を誇るシステムを有している。しかし、水をきれいにする過程で大量のエネルギー消費を余儀なくされていることも事実である。当局の事業活動で消費する電力は、東京都内の電力消費量の約1%に相当し、温室効果ガスについてもCO2換算で約九十五万トン(2005年度実績)を排出している。これは都の事務事業活動において全体の43%を占める量であり、都庁最大の排出者となっている。

 このようにエネルギーを消費する事業者の責務として、これまでも温室効果ガスの削減対策を主要施策の一つとして精力的に取り組んできた。2004年9月には「下水道事業における地球温暖化防止計画『アースプラン二〇〇四』」を策定し、京都議定書で示された1990年度比で6%の温室効果ガスを削減する目標を、先駆的に2009年度までに達成するための取組みを示した。この中で汚泥の高温焼却や下水熱の活用、消化ガス発電や小水力発電等のクリーンエネルギーの導入など、多様な取り組みを行なっている。また下水道事業として国内で初めて、すべての事業所で環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の認証を取得するなど、環境負荷の組織的且つ継続的な削減を図っている。

 しかし、今回の「カーボンマイナス東京十年プロジェクト」で示された高い目標を達成していくには、これまで進めてきた取り組みに加え、下水道システム全体で省エネルギー化や温室効果ガスの抑制を図っていくことが必要となる。具体的な内容としては、民間と連携した新たな省エネルギーシステムの開発・導入や、炭化炉やガス化炉など温室効果ガス発生の少ない焼却炉への転換などで、これらの実施にあたっては、コスト縮減等の事業運営の観点を踏まえつつ、民間部門の積極的な技術提案を誘導し、新たな国庫補助制度などの財源支援措置を国に働きかけていく。

 東京都全体で温室効果ガスの抑制を進めていくには、下水道局が先導的に取り組みを進めて機運を高め、民間企業や都民にも協力を求めていくことが不可欠と考える。皆様方の御支援と御協力をお願いする次第である。

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