2008年12月20日号
民族絶滅の危機をもはらむ「新型インフルエンザ」の脅威 続編
一般社団法人「新型インフルエンザ対策協議会」設立

 鳥から来る新型インフルエンザH5N1ウィルスの脅威については、本紙第8号から3回にわたってその実態から対応策までを詳述して来たが、この問題の深刻さに対する認識も高まり、各マスコミでの取り扱いも目だって増えてきた。

 そこでもう一度このH5N1ウィルスが引き起こすであろうパンデミックの深刻さと、その対応について考えてみたい。

(構成/平田 邦彦)


プレ・ワクチンの備蓄、
水際作戦で対応は十分か

 現在発表されている政府見解としては、国民の25%がり患し、その内5%程度が死亡すると推定している。

 その対応として、政府はプレパンデミック・ワクチン(以下プレ・ワクチン)を3千万人分備蓄し、漸次社会インフラに携わる者から接種して行くとしている。そして、患者の発生と共に指定される、発熱感染症センターでの治療を行うとしている。

 さらに、患者の行動半径から半径5qを封鎖して、感染の拡大を防ぐ一方で、水際作戦も重要として、サーモメーターによる検査を各空港で実施し、患者の侵入を防ぐ手立てを講じてもいる。

 しかし、この政府の対応で備えは十分なのだろうか。今回はそのあたりをもっと踏み込んで明らかにして行きたい。

 り患患者の数ばかりは、実際に突然変異を起こしたウィルスが登場しないかぎり、全く予測は付かない。

 しかし、現在世界で400人近い人が命を落としているH5N1ウィルスが、人から人への感染爆発を起こす可能性が最も高いとされており、このウィルスの持つ毒性は、これまでパンデミックを引き起こしたウィルスとは比較にならない強毒性を持っていることだけは明らかだ。

 実際の致死率も、起きてみないと分からない。1918年に起きたスペイン風邪の実績をもとに算出した5%が目下の数値とされているが、こんなものでは済まない可能性のほうがずっと高い。

 り患率25%も根拠は無く、初期対応にもよるが、もっと多くの人々がり患する可能性を否定できない。軽々に数字を出して、恐怖心を煽ることが目的では無いが、この設定は甘すぎるとの各方面からの指摘が多いことは明らかにしておこう。少なくともこの3倍以上の死亡者が出る可能性を示す専門機関の発表のほうが、信憑性が高いと思えてならない。


最も有効な手立ては、
首都圏の封鎖しかあり得ない?

 アメリカにあっては、プレ・ワクチンの備蓄は既に3億人分以上行われているとの観測もあるが、わが国の僅か3千万人分ではいかにも足りない。

 残りの1億人は、運がよければ生きていろと言われて放置されたに等しいのだ。

 さらにそのワクチン接種の優先順位もアメリカでは明確に定められているが、わが国にあっては、これもまだ曖昧なのだ。これで準備が整ったとはとても思えない。

 発生48時間以内の投与が効果的とされるタミフル、リレンザの備蓄も限られた数量に止まっている。

 予算が無いとの理由は説明にならない。国民の生命が大量に失われる可能性があるウィルスの登場が目前にある今、最優先で備蓄を進めることを提言したい。

 パンデミックの発生は、WHOによって発表されることとなるから、この段階での情報操作が行われるとは思えない。しかし実際に患者が発生した場合、患者は政府の指導とは異なって、病院に殺到する。

 政府は感染症センターの開設を行い、ここに患者を誘導する。しかし、病院が押しかける患者を追い返すことが実際に可能かも疑わしい。

 ましてその患者から、感染当時からの行動を聞きだし、危険地域の封鎖と詳細の調査を行うとしているが、果たして一週間以上も遡って、自分の行動と、人への接触を詳述することが、40度の熱を出している中で可能なのだろうか

 首都圏について考えると、全域を封鎖し、人の行動を極限まで制約する以外に手立てはない。そんな事態となることを、もっと明確に伝えておくべきではないだろうか。


2カ月間の篭城を覚悟し、
食料、生活必需品の確保を

 2カ月の篭城を余儀なくされる市民生活は、完全に破壊されることが予測されるが、しかし、それがもっとも効果的な方法だと考えられる。

 それについても政府の告知は手緩いと指摘したい

 封鎖地域が狭ければ、完全装備の防護服に身を包んだ救援隊が、物資を届けることも可能だろうが、都内全域がそうなった場合、そんなことを期待されても政府は応え切れないことをもっと明確にするべきなのだ。

 一般家庭での食料備蓄というと、定番のように乾パンを想定しがちだが、そんなものだけで、2カ月を過ごすことを誰が求めるだろう。地震災害を想定した備蓄とは根本的に違う問題があることを、もっと強く喧伝するべきなのだ。

 電気、水道、ガスといった、いわゆるライフラインに携わる方々は、既に高度の準備を進めているが、どこまでやっても万全とはいえない恐ろしさがある。

 そこで家庭での備えが絶対条件だが、それに関してはお寒い限りではないだろうか。

 2カ月間、家から一歩も出られないし、救援物資も届けられない生活を考えた、備えだけが、あなたの命を守る術であると覚悟する必要がある。


「新型インフルエンザ対策協議会」の活動に期待したい

 残念ながらこれまでの記事を読まれた読者からいただいたお問合せにも我々は十分応える術が無い。

 どこに備蓄のグッズが売られているのか?

 備蓄のマニュアルは?

 本当に電気まで止まるのか?

 会社のある場所が封鎖されたときの対応策は?

 寄せられるこれらの質問に、我々は無力さをいやでも悟らされる。

 今般、一般社団法人「新型インフルエンザ対策協議会」を立ち上げたのは、少しでもそうした脅威に立ち向かい、出来るだけ多くの生還者を得ることを目的としている。

 どうかこの運動に対してのご助力、ご支援をお願いしたいし、その活動に期待していただきたい。そして、読者のお一人お一人が、ご自身で出来る備えを強めていただくことを願って止まない。

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