2008年3月20日号
どうなる? 新銀行東京
再建したい石原知事
追加出資への理解は?

 開催中の都議会定例会では、新銀行東京に対する四百億円の追加出資をめぐって賛否が分かれている。なんとしても追加出資を認めてもらいたい都側に対して、十一日の予算特別委員会では各党から様々な角度での質問が浴びせられた。石原知事に対して与党的な立場の自民・公明だが、自民は中小企業に対する金融支援の必要性という観点などから、都の提案に一定の理解を示してきたが、公明は慎重な姿勢を崩していない。一方、野党的立場の民主、共産は知事の責任を厳しく追及、追加出資は認められないという立場だ。新銀行東京のこれまでの経緯、都議会での質疑の行方を見てみよう。

新銀行東京の再建はなるのか?

新銀行東京の再建はなるのか?

 様々な要因で経営が悪化

 新銀行東京は、当時金融機関からの貸し渋りや貸しはがしに苦しめられていた中小企業を金融面から支援することを目的に二〇〇五年四月に開業した。

 資本金は千百八十七億円で、このうち千億円が都からの出資金。無担保・無保証での融資をメインに行ってきたが、焦げ付きが相次いだことなどから経営が悪化、昨年九月の中間決算で累積赤字が九百三十六億円に達していた。

 その後、明らかになった新銀行東京調査委員会(委員長・津島隆一代表執行役)の調査報告書では(1)デフォルト発生を容認するかのような不適切な業務執行(2)時機を逸した経営の舵取り(3)事実の隠蔽や楽観的な見通しの報告(4)(旧)代表執行役への権限の集中―が経営悪化を招いた原因と分析している。

 新銀行東京が株主である東京都に四百億円の追加出資を要請することを決定したのは先月中頃のこと。これを受け石原知事は二月二十日、都議会に四百億円の追加出資を行う支援策を提案した。


 追加出資の理由は?

 「まず議会に話すべき」として、新銀行東京に対する自らの責任や支援策について会見では詳細を明らかにしなかった石原知事だが、十三日の予算特別委員会では自らの責任について「発案者として今、私がとるべき道は、最悪の事態を回避し都民の負担を出来る限り少なくするとともに、設立の理念を取り戻して都民の役に立つ銀行に再生させることだ」と答弁、理解を求めた。

 また追加出資という方法を採用した理由については、新銀行東京の資本を厚くすることで中小企業に対する支援の継続が可能となることを強調。事業清算や、預金保険法による破たん処理では、いずれも中小企業に対する影響が大きく、特に破たん処理の場合、日本初のペイオフの実施ということで経済面で多大な損失が発生する可能性が高いことなどを説明した。

 知事が新銀行東京の再生に強い決意を見せたことなどから、自民は「新銀行東京の再生に向けて協力しなければならない。今回の苦渋の決断は必要だった」と述べ、一定の理解を示した。

 一方、公明は「事業清算が最も現実的な方法」と主張、都側は事業清算の場合には取り付け騒ぎが起こる可能性があり都民の負担が大きいこと、協力銀行の確保の見通しが立っていないこと、金融庁の認可を得ることが困難なことを説明。事業清算の手法は取り得ないことの理解を求めた。

 民主、共産は、新銀行東京の発案から今回の事態に至るまでのトップダウンによる知事の責任を厳しく追及したが、石原知事は「私はジュリアス・シーザーでもアレキサンダー大王でもない。すべて私の一存で進めてきたかのような指摘はまったく当たらない」と反論した。


 自民党容認で収拾か?

 今後の議会審議の行方だが、都議会の自民が一定の理解を示したものの公明が未だ慎重な姿勢を崩していない。また民主や共産も知事への追及を更に加速させるものと思われる。

 二月二十日からはじまった都議会も、今月二十八日の閉会を控え終盤戦にはいった。二十五日の予算特別委員会での締めくくりとなる質疑の行方が注目される。

新銀行東京の再建はなるのか?
アイティーコーディネート
東京トヨペット
INAX
プロバンス
光学技術で世界に貢献するKIMMON BRAND
ビデオセキュリティ
アジア教育支援の会
アルゴ
株式会社キズナジャパン
伊豆ガラス工芸美術館
株式会社 E.I.エンジニアリング
日野自動車
ナカ工業株式会社
株式会社ウィザード