■優れた広報事例を共有する最終審査会・表彰式を開催

令和8年2月17日、都庁舎において「伝わる広報大賞」最終審査会・表彰式が行われた。103件のエントリーのうち、一次審査、二次審査を経て選出された、4部門12作品が最終審査に進出。最終審査会では、令和7年に実施した広報活動について、目的・ターゲット・手法・効果などをプレゼンテーションし、その様子は庁内にも中継された。

審査は外部の専門家4名からなる審査委員が担当し、各賞を決定。今年度は新たな取組として全職員が審査に参加できる「オーディエンス賞」を設け、職員の参加意欲向上を図った。

表彰式には小池百合子都知事が出席し、トロフィーの贈呈を行った。

■エントリー100件超 回を重ねて高まる広報の質

優れた広報事例を庁内で共有し、職員の広報マインド向上につなげる本取組は、回を重ねるごとにエントリーが増加。3回目となる今年は100件を超える応募が寄せられた。

新規の取組に加え、過去の応募作品が広報施策をブラッシュアップして再挑戦するケースも見られ、広報施策全体の質の向上も感じられる回となった。

■全4部門で多彩な広報事例を表彰

今回は、4つの部門で作品を募集した。

政策と広報を一体で考え、マーケティング志向に基づいたメディア戦略を表彰する「PR戦略」部門、国際的な視点から魅力的なコンテンツを積極的に発信した取組を表彰する「国際広報推進」部門、クオリティが高く、ユニークな切り口で話題となった取組を表彰する「クリエイティブ」部門、そして、職員のアイデアにより低コストで高い成果を上げた取組を表彰する「インハウス制作・企画」部門である。

■グランプリは「東京2025デフリンピック」 ― PR戦略部門最優秀賞も受賞

グランプリに輝いたのは、2025年11月に開催された「東京2025デフリンピック(スポーツ推進本部)」の広報の取組。100周年という記念すべき年に日本での初開催が決まったものの、大会の認知度は低い状況にあった。そこで、SNSやイベントを駆使し、認知度と観戦意欲の向上に向けた積極的な情報発信を展開。大会期間中は都事業の取材誘致に加え、「明日は誰のどの競技をいつどこで観戦できるのか」といった情報や、日本のメダル獲得状況を職員が毎日発信した。

その結果、認知度は73・1%となり、前回比34・1ポイントアップと大幅に上昇。来場者数は目標の10万人を大きく上回る28万人となった。一つひとつの施策が実を結び、多くの都民の行動につながった点や、選手に届ける応援「サインエール」を参加型のアクションとして広げた点が評価された。

審査委員の公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会副理事長、松本理永氏は「本件は戦略の軸足を『認知』から『観戦意欲』へと転換し、結果として観客数目標を280%達成した点を高く評価した。世界的イベントの広報というより、一つひとつの地道な広報活動の積み重ねが成果につながった好例である」と講評した。

なお、本作品は、「PR戦略」部門の最優秀賞も受賞した。

■国際広報推進部門 最優秀賞―地域特性を生かしたグローバルプロモーション

「国際広報推進」部門の最優秀賞は、「国際金融都市推進事業『国際金融都市・東京としてのプレゼンス向上』に係る世界に向けた戦略的なプロモーション(産業労働局)」が受賞した。

海外展示会への出展や取材対応などを通じ、東京の金融都市としての魅力を積極的に発信。地域ごとにアプローチを変える工夫を行い、職員自らが現地の日系企業などを訪問し、事業内容を紹介した。その結果、多くの海外メディアに取り上げられ、費用対効果の高い国際広報の好事例として評価された。

■クリエイティブ部門 最優秀賞―ターゲットの心理に届く犯罪防止広報

「クリエイティブ」部門の最優秀賞は、「トー横のリアル~青少年を狙う悪意ある大人たちへの犯罪防止広報啓発~(都民安全総合対策本部)」が受賞した。

職員自らが夜の歌舞伎町を訪れて実態調査を行い、女性支援団体や警視庁へのヒアリングを重ねた。その結果、動画のターゲットを“買春する男性”に設定。幅広い層の男性に影響力のあるタレントを起用した。

動画再生回数は目標の100万回を大幅に上回る230万回を突破。「ダメ」と一方的に訴えるのではなく、自ら思いとどまらせる構成が、課題の本質とターゲットの心理を捉えた点が評価された。なお、本作品は職員投票による「オーディエンス賞」も受賞した。

■インハウス制作・企画部門 最優秀賞―職員発想で生まれた高反響動画

「インハウス制作・企画」部門の最優秀賞は、「『メトポリ』【vsリアル刑事】警察官なら分かって当然?薬物クイズ(警視庁)」が受賞した。

警察官ユーチューバーが、薬物の危険性を現役刑事とのクイズ形式の動画として発信。笑いと学びを織り交ぜた掛け合いにより、警視庁の堅いイメージをやわらげつつ、難しい内容を分かりやすく発信した。

クイズは真剣勝負とし、薬物対策課と連携した特別プロジェクトとして、出演者に極秘で制作。再生回数は32万回を超え、動画公開後にはチャンネル登録者数が約1・1万人増加するなど、大きな反響を呼んだ。教養系の番組にも劣らない教育的コンテンツとして成立している点が評価された。

■都民に実感を伴う広報へ

東京都の広報は、社会課題の解決とも密接に関わっており、政策と広報を一体で考える視点がますます重要になっている。表彰式で小池百合子都知事は、「都民に伝えて、それが共感を呼び、さらに実感を伴っていく。それによって皆がもっと頑張ろうという思いを抱く。ぜひともこの『伝わる広報大賞』、皆で磨きをかけてまいりましょう。」と呼びかけた。東京都は今後も「伝わる広報大賞」を通じて優れた事例を庁内で共有し、都民に伝わり、行動につながる広報の実践を進めていく。