HOME » 技術技能世界一(91) (株)インセクトシールドジャパン

NIPPON★世界一 The91st2017年09月20日号

 

●株式会社インセクトシールドジャパン
●府中市白糸台 ●設立:2011年

繊維の虫よけ加工および製品の企画・販売

  日本にある世界トップクラスの技術・技能—。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。
 虫よけといえば、一般的には液状の薬剤を噴霧したり、塗ったりして使用する。だがこの「インセクトシールド」は、虫よけ効果のある成分を繊維に加工、着るだけで虫よけができてしまう。しかも安全性も高く、活用の幅も広い。実はリオ五輪でも採用されていたこの技術。東京を中心に販売を担うキーマン2人に話を聞いた。

 その間、建築関係者へのアスベスト対策は一層求められるようになり、同社技術の導入も全国に広まった。その技術力と実績を改めて見返してみると、東京は今こそこの技術を理解し、活用する時を迎えているように思える。

(取材/種藤 潤)

 

 右下の写真を見ていただきたい。左が「インセクトシールド」加工した生地、右が何も加工をしていない生地だ。それぞれの中央部にチョコレート菓子を置いて15分。効果は一目瞭然である。

左はインセクトシールド加工を施したバンダナ、右は加工なしの一般的な布。チョコレート菓子を置いて15分後の結果。効果は歴然だ

左はインセクトシールド加工を施したバンダナ、右は加工なしの一般的な布。チョコレート菓子を置いて15分後の結果。効果は歴然だ

「類似製品もありますが、虫よけ効果はもちろん、安全性も耐久性も、他社製品とは明らかに違います」

 「インセクトシールド」日本法人である株式会社インセクトシールドジャパンの松永孝治代表取締役社長は、その品質の高さに自信を持つ。

 同商品の正規代理店であるNaturaLuana荘司裕佳子代表は、効果の高さに加え、用途の広さも多くの人に伝えたいという。

 「現在は洋服など身につける商品が中心ですが、繊維という形状を生かし、タンスに敷いて虫食いを防いだり、飲食店の入り口にのれんのように吊るしたりと、置いたり張ったり、さまざまな場面で応用できると思います。これからの時代は、リスクを自ら回避する意識と行動が大事です。その意味でもインセクトシールドを使うことで、予防意識を日常に取り入れていただければと思います」

 

キク科の天然忌避成分の結晶だけを繊維に付着

 「インセクトシールド」加工とは、1997年にアメリカで開発された技術(米国環境保護庁EPA登録商品Reg.EPANo.74843-2)だ。虫よけ効果をもたらす薬剤は、日本でもっとも安全と言われる忌避材「ペルメトリン」というキク科の植物に含まれる天然成分を使用。これを接着剤に混ぜて繊維に吹き付け、段階的に130度の状態にして接着剤の成分だけを飛ばす。これにより、極めて少量ながら「ペルメトリン」の結晶が残り、効果を維持。しかも70回洗っても効果が低下しない耐久性を実現している。

 「ペルメトリンは、哺乳動物には安全ですが、昆虫には神経毒として強力に作用します。しかし、繊維に付着させることが難しかった。それを実現したのが、インセクトシールド加工です。これにより、ペルメトリン成分が体内に入る心配も極めて少なくなり、赤ちゃん用品としても、より安心して使用できます」(松永社長)

 

東京でも脅威となるヒアリ予防にも期待

 この「インセクトシールド」の虫よけ効果は、世界的規模で大勢の命を救う可能性を秘めている。WHOの調査によると、人が他の生物により死亡する原因のトップは、「蚊」である。次に「人間」「蛇」と続くが、「蚊」の占める割合は圧倒的で、全体の半数を超えるほどだ。

 「衛生面が整っていない地域では、より多くの人々が不快害虫に悩まされています。それを防ぐ有効な手段のひとつとして、耐久性、持続性のあるインセクトシールドが、世界的に注目を集めているのです」(松永社長)

 虫による致死は、最近は日本でも他人事で済まされない。今年6月には関西で、7月には東京・大井埠頭で発見されて話題になった「ヒアリ」の存在だ。噛まれると、アナフィラキシーショックによって死に至る場合もあるこの「ヒアリ」にも、「インセクトシールド」は効果が期待できるという。

 「ヒアリは、公園などに巣を作るので、そこで遊ぶ子どもが被害を受ける可能性があります。他の虫の防虫対策も含め、お子さんの身の回りに使用してほしいですね。また造園、公園整備に従事する方の制服などにもお使いいただけると思います」(荘司代表)

 

リオ大会では他国が採用
2020年の活用にも期待

左が株式会社インセクトシールドジャパンの松永孝治代表取締役社長、右が「認定説明員」である正規代理店Natura  Luanaの荘司裕佳子代表

左が株式会社インセクトシールドジャパンの松永孝治代表取締役社長、右が「認定説明員」である正規代理店Natura  Luanaの荘司裕佳子代表

 事業開始から6年。日本向けのオリジナル商品を企画開発し、その効果が話題を呼んで、着実に売り上げを伸ばしているという「インセクトシールド」だが、広告宣伝等は行わず、契約を結んだ正規代理店を中心に口コミだけで販売をしてきた。その効果と安全性、通常の繊維との違いを客観的に説明できることが重要と考えるからだ。ゆえに代理店はすべて試験を受けて、「認定説明員」の資格を取っている。

 「虫よけ効果には自信がありますが、その根拠を理解してもらうには、どうしても技術を理解した人間が、直接説明する必要があります。一気に広がることはありませんが、着実に効果が伝わり、それが売り上げにつながりはじめているのだと思います」(松永社長)

 荘司代表は今年から正規代理店契約を結んだ。自身が携わる馬術において、“血吸いバエ”よけ効果がある商材を探していたところ、「インセクトシールド」に出会った。

 「リオ五輪の海外の選手の衣服にも、インセクトシールドが採用されていました。2020年東京大会は、日本選手にもぜひ取り入れてもらいたいですね」

 松永社長は、2020年東京大会全体への導入を、積極的に提案していきたいという。

 「選手はもちろん、観戦する人々も、大会期間中は屋外で過ごす時間が多いはずです。インセクトシールド加工の繊維製品がそこにあるだけで、虫を気にせず快適に過ごすことができるのですから、ぜひ大会関係者の方々にも、この効果を体感していただきたいと思っています」

 

  
 

 

 

タグ:インセクトシールド加工 虫除け ヒアリ対策 蚊の媒介による感染症 デング熱 ジカウイルス感染症 

 

 

 

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