大荒れの第1回定例会閉幕

  • 記事:大竹 良治

記名投票で行われた予算採決

新年度予算が成立

自民、共産などは一般会計に反対

 平成最後の定例会となった第1回都議会定例会は3月28日、最終本会議を開き、過去最大7兆4610億円の一般会計予算を都民ファーストの会、公明、立憲民主などの賛成多数で可決、閉会した。

今定例会は、築地市場跡地の有償所管換えをめぐり、開会前から知事与党と野党が激しく対立、初日の本会議が深夜にずれこむなど、波乱含みで始まり、その後も元東京都顧問の小島敏郎氏の委員会招致に関連して予算特別委員会が紛糾、自民、共産が退席する中で質疑が行われるなど、異例の展開となった。

「親の体罰禁止」条例を可決

 平成31年度一般会計予算案は記名投票により採決が行われ、都民ファーストの会(議長を除き49)、公明(23)、立憲民主(5)、みらい(3)、ネット(1)の81人が賛成、自民(23)、共産(18)、維新(2)、自由を守る会(1)の44人が反対し、賛成多数で可決された。自民、共産は昨年度に続く反対となった。

 最終本会議の討論で、都民ファの内山真吾氏は、待機児童対策の充実などをあげ、予算案を高く評価した上で、「我々は本予算に対し真摯に議論してきたが、一部会派がこの予算の重要性をまったく理解せず反対することは、都民生活、ラグビーワールドカップ、東京2020大会の準備など、すべてを否定するもので無責任きわまりない」と自民を激しく批判した。

 公明の古城まさお氏は「予算案は都民生活をしっかり守り、健全な財政運営にも配慮している」と述べるとともに、同党提案の施策が多く盛り込まれていることを高く評価した。

 一方、自民の小宮あんり氏は「知事は以前、築地への復帰のお手伝いをする、市場機能を築地に残す、と言っていたにもかかわらず、築地に市場をつくらない予算案をいきなり提出した。しかも30年度補正予算とすることで、予算特別委員会での質疑を避け、都民への説明責任を放棄した」と知事の姿勢を厳しく批判、「数の力で抑えこもうとする都民ファーストの会などの強引な議会運営が混乱に拍車をかけた」と知事与党の姿勢も批判した。

 共産の原のり子氏は「知事与党の都民ファーストの会と公明党は、予算特別委員会や財政委員会で数の力にまかせた委員会運営を繰り返した。両党は深く反省し、今回のようなことを二度と繰り返さないよう、きびしく求める」と述べた。

 立憲民主の山口拓氏は「私たちは数の力=民主主義とは思っていない。少数意見を切り捨てることなく耳を傾け、より多くの意見を取りいれて結論に至るプロセスがあって初めて民主主義と言える。民主主義をないがしろにする議会運営は言語道断だ」と指摘した。

 条例案の焦点となった「児童虐待防止条例」の制定は、相次ぐ児童虐待事件を受け、都道府県で初めて親の責務として「体罰その他の子供の品位を傷つける罰を与えることの禁止」を規定するもので、全会一致で可決された。

大荒れとなった予算特別委員会(3月14日)

対決色強める都民ファと自民
公明は一歩引き静観の姿勢

 このところ、都議会では、小池知事の政治姿勢を追及する自民と、知事を守ろうとする最大与党の都民ファの対立という構図が定着、定例会ごとに激しいつばぜり合いが繰り広げられてきた。

 その中で、最も大きな争点となったのが豊洲市場への移転問題。自民は小池知事が就任直後に移転延期を決めたことに反発、一貫して早期開場を求めてきた。しかし、昨年10月に豊洲市場が開場、市場問題はひとまず決着との見方もあった。

 ところが、今度は築地市場跡地の再開発をめぐり、知事が当初、「築地に市場機能を残す」としていた基本方針を翻し、市場機能は設けず一般会計へ有償所管換えし、民間からの提案を主体に再開発を進めると発表したことから、市場問題は新たなステージに入ることになった。

 そして有償所管換えの財源約5千億円を予算特別委員会にかからない、中途議決案件としたことが自民の反発にさらに拍車をかけることになった。

 第一ラウンドの委員会への知事招致では、都民ファが折れる形で招致が実現したが、この対応に公明が激しく反発、「与党内に亀裂」とも報じられた。その反省からか、第二ラウンドの小島敏郎元東京都顧問の委員会招致では、都民ファが予算特別委の理事会を自民欠席のまま開くなど強硬姿勢に転じたため、委員長席に集まった両会派がつかみ合いを演じるなど、過去に例のない大荒れの様相となった。

 一方、こうした対立に公明は加わらず、静観の姿勢をとっており、そのことがさらに公明のキャスティングボートの価値を高めている形だ。

 統一地方選で配布したビラでも、都民ファは一般会計に反対した自民を「すべての取組みを否定する無責任極まりない意思の表明」と大きく喧伝しており、両党の対立はさらに激しくなりそうだ。

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