新型コロナウイルスで論戦

  • 記事:遠藤 直彦

都議会予算特別委員会

 先月19日に開会した都議会第1会定例会は、9日から東京都の来年度予算案の集中審議を行う予算特別委員会(委員長・本橋ひろたか氏=都民ファ)が開かれ、都議会各会派が新型コロナウイルス対策、2020東京大会などで小池百合子知事はじめ都側の姿勢を質した。9日の総括質疑に登壇したのは木村基成(都民ファ)、小宮あんり(自民)、高倉良生(公明)、白石たみお(共産)、山口拓(民主)の5氏。予算特別委員会は12日、13日の総括質疑を終え、各常任委員会における付託議案審査を経て24日に締めくくり総括質疑、25日に討論・採決を行う。

新型コロナウイルス対策

 木村氏は、新型コロナウイルス対策に関し、「国もあす(10日)緊急対策を打ち出す。都も国の動きを踏まえて、もう一歩踏み込んだ経済、雇用対策を行うよう決断すべきだ」と知事の見解を質した。 小池知事は、国が打ち出す対策の内容も踏まえ、都が早急にみずからが取り組むべき支援策をまとめる意向を示した。国が10日、第二弾となる緊急対応策をまとめたことを受け、都は12日、都立病院などでの受け入れ体制強化—などの緊急対応策をまとめた。

 小宮氏は、都が20万枚のマスクを区市町村に配布するとしたことを取り上げた。知事の記者会見での突然の発表に困惑する首長もいることを紹介、すでに配送された8万枚の配布基準を質した。

 遠藤雅彦総務局長は、都として障害児の放課後等デイサービスを行っている施設等を勘案したものの、各区市町村から使い方に関する問い合わせがあったことを受け、各区市町村の判断に委ねたことを明らかにした。 小宮氏は「都はしっかりと本当に必要な量を適切な機関に配布する、東京都が責任を持った配布のあり方を考えてほしい」と注文をつけた。

 高倉氏は、国の雇用調整補助金制度の支援対象は事業者の従業員であり、個人事業者は対象外だとして都の対応を求めた。小池知事は10日の国の緊急対策を踏まえ、対応することを表明した。12日の都の緊急対応策では個人事業主への支援が盛り込まれている。

 白石氏は、全国の学校の一律休校について、「特別支援学校に通う障害児が受ける害を考えてほしいなどの声が保護者から上がっている」と、一律休校の解除を訴えた。 藤田裕司教育長は「保護者の都合により自宅等で過ごすことが困難な子供については、必要な場合は学校で過ごすことができるように配慮している」と説明、柔軟に対応する考えを示した。

 山口氏は「医療提供の体制等をどう維持するかが問題だ」と指摘、医療従事者の感染防止の徹底等に全力をあげるべきと迫った。

 内藤淳福祉保健局長は「感染症指定医療機関や感染症診療協力医療機関などの医療機関に対し、必要な防護服を継続的に提供している」と答弁、医療従事者の感染防止に取り組む姿勢を強調した。 

障害者雇用

 高倉氏は、都庁における知的障害者の雇用が進んでいないことから「知的障害者のさらなる雇用拡大に向け新たな取り組みを創出すべきだ」と知事に迫った。 小池知事は「知的障害者が非常勤職員から常勤職員にステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みの創設に向けて検討を進める」と応じた。

都立病院の独立法人化

 白石氏は、「都から都立病院への財政支出が減らされれば、都が担うべき行政的医療の後退につながることは明らか」と主張、独立行政法人化のデメリットについて質した。

 堤雅史病院経営本部長は「制度上のデメリットはなく、都立病院としての役割を安定的かつ継続的に果たすこと、効果的、効率的な病院運営を実現するとの二つの条件を満たしている」と説明、理解を求めた。

介護離職ゼロ

 山口氏は「未来の東京戦略ビジョン」について、「知事が公約に掲げていた介護離職ゼロの項目がなくなっている」として知事の見解を質した。小池知事は「既に戦略ビジョンのプロジェクトに着手しており、具体的に取り組むべき内容を明らかにし長期戦略に結びつける。スピード感を持って施策を展開する」と、積極的な姿勢であることを強調した。

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