コロナ感染正念場

  • 記事:大竹 良治

昼時にもかかわらず閑散としている新宿駅南口

都内の感染者約2500人に

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。4月に入ってからの都内の感染者数は連日100人を超え、非常事態宣言により外出自粛が強化されているにもかかわらず、各地で集団感染(クラスター)が発生、医療崩壊が現実味を帯びてきた。東京、日本にとって輝かしい年となるはずだった「2020年」は、中国・武漢発の新型コロナウイルスによって、まったく違った意味で歴史に刻まれることになりそうだ。しかし、新型コロナウイルスとの戦いは今が正念場。感染拡大の阻止に向け、すべての人の自覚をもった行動が求められている。

試される個人の自覚ある行動

 新型コロナウイルスは当初、人から人へは感染しないとの見方から楽観視され、武漢での対応が遅れ感染拡大を招いた。

 2003年に猛威をふるったSARSウイルスは感染するとほとんどが重症化するため、感染者の特定がしやすかったが、新型コロナウイルスは感染しても発症しないケースや、軽症で回復することが多いため、逆に感染者が特定しにくい。

 さらに、重症化する人の多くは高齢者や基礎疾患を持つ人とされたため、若年層の危機意識が薄く、こうした特徴が感染拡大を加速させる要因となっていると思われる。

ようやく危機意識が浸透か

 これまでの国や都の対応は「後手後手」だったと言われても仕方ない。その一番の原因は2020東京大会の開催をどうするかだ。多方面に大きな影響を与えるだけに、小池知事は「当初の予定通り」といい続けてきたが、世界各地で感染が爆発的に拡大したことを受け、3月24日に1年の延期が決定された。

 これを契機に知事は専門家の意見をふまえ、同30日に「感染爆発重大局面」と訴え、都民に対し不要不急の外出自粛を要請、規制強化に舵を切った。

 一方、国ではいつ「非常事態宣言」を出すかが大きな焦点となっていたが、事業者に対する休業要請の対象をどうするかで、都と国の考えが分かれた。

 より広範囲に休業を求めたい小池知事は居酒屋について全面的に休業を要請する考えだったが、結局、国の方針を受け入れ、夜8時までの時短営業(酒類の提供は7時まで)を認めることで決着した。

 しかし、4月に入ってからの都内感染者は1日に100人を超えるなど急増、その傾向にいまだに歯止めがかかっていない。

 芸能人やテレビキャスター、役所などでも感染者が発生、20代、30代の若者が重症化する例も出てきており、都民の意識は大きく変わったように見える。

 また、最後の砦となる病院で集団感染(クラスター)が次々と発生していることは「医療崩壊」につながりかねないだけに、何としても阻止しなくてはならない。

 そのために必要なことは言うまでもなく「密閉・密集・密接」の3密の回避と外出自粛(STAY HOME)だ。すでに都内の人出は大幅に減少、繁華街なども閑散としているが、早期収束には「接触8割減」が必須とされており、さらなる個人の自覚ある行動が求められている。

コロナ対策で補正予算

 東京都は新型コロナ対策を強化するため、総額3574億円の補正予算を計上した。

 感染拡大の阻止と経済活動・都民生活を支えるセーフティネット強化が主な柱。休業要請に協力して休業や営業時間を短縮した事業者に給付する「感染拡大防止協力金」に960億円、軽症感染者をホテルなどで受け入れる宿泊施設活用事業に108億円、中小企業制度融資の強化に964億円を計上。このほか飲食事業者が新たにテイクアウトを開始するなど業態転換を行う際の初期費用支援などに4億円を計上している。

 補正予算は17日から開催される臨時都議会で審議される。

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