都知事選が告示

  • 記事:遠藤 直彦

感染症対策などが焦点か

 東京都知事選が18日告示された。7月5日の投開票日まで17日間の選挙戦が展開される。現職で2期目を狙う小池百合子氏をはじめ、弁護士の宇都宮健児氏、元熊本県副知事の小野泰輔氏、れいわ新撰組代表の山本太郎氏他多数の候補者が立候補した。小池都政の4年間の評価、新型コロナウイルス対策、五輪開催の是非などが焦点となりそうだ。

都知事選の立候補者。左から、小池百合子氏、宇都宮けんじ氏、小野たいすけ氏、山本太郎氏。

小池 百合子氏

 今回の知事選、新型コロナウイルス感染症対策で連日のようにメディアに登場し、リーダーシップを発揮した小池氏が圧倒的に有利と判断する声は大きい。しかし豊洲新市場移転の延期や築地市場跡地の再開発、都政の意志決定過程の不透明さなどで、その運営方法を批判する声も根強い。

 小池氏は12日の出馬会見で、「4年前、崖から飛び降りる決意で都知事選に挑んだ。今回、再出馬にあたっては同じ気持ちだ」と振り返り、政党の推薦を求めず、都民からの支持を得ることで再選を果たしたいとの意向を示した。

 自身が進めてきた東京大改革をさらに推し進め、「都民の命を守り、稼ぐ東京」「人が輝く東京」「都民ファーストの視点での行財政改革・構造改革」の3本柱からなる「東京大改革2・0」を実現したいと意気込みを見せた。

 実績として、待機児童の解消、女性活躍のための環境整備などを強調したほか、新型コロナウイルス対策では補正予算の編成、第2波への備えなどをあげた。そして第2波への備えとして、東京版のCDC(疫病対策予防センター)を創設することを明らかにした。

宇都宮 けんじ氏

 2012年、2014年以来、今回で3度目の都知事選チャレンジとなる宇都宮氏。前回2016年の都知事選も立候補の意欲を見せていたが、野党統一候補として鳥越俊太郎氏が出馬したことを受け、出馬を見合わせた。今回は出馬の堅い意志を示している。

 共産党、立憲民主党、社民党、緑の党、新社会党の支持を得るが、山本太郎氏の出馬で票が分散されるのではとの声もあり、野党統一候補としての存在感を示したいところだ。

 会見で「様々な市民団体から出馬の要請を頂き、徐々に出馬に向け決意を固めた。新型コロナウイルス感染症の拡大による都民の窮状に対して手を差し伸べるのが政治や自治体の役割であり、今回の知事選は都民の生存権がかかっている」と出馬に向けた決意を示した。

 公約だが、3つの緊急課題として「医療体制を充実させ、補償の徹底でコロナ対策を抜本的に強化」「都立・公社病院の質の低下につながる『独立行政法人化』を中止」「カジノ誘致計画を中止する」—をあげている。

 東京五輪については「世界的な新型コロナウイルスの感染状況について専門家が検討し、開催は困難と判断すれば早い段階で中止すべきだ」と述べた。

小野 たいすけ氏

 小野氏は1974年生まれ。1999年に東大法学部を卒業後、民間会社勤務や衆院議員の公設秘書を経て、2008年に熊本県政策調整参与に就任、2016年に熊本県副知事に就任した経歴を持つ。

 出馬の理由について「熊本県副知事の任期が6月で終了することがひとつの引き金になった。新型コロナウイルスの脅威の中、危機対応の論争が進まないまま、また4年間同じというのはどうなんだろうという問題意識があった。こういう時だからこそ挑戦すべきだと直感した」と説明する。

 公約として(1)コロナ禍の困難を乗り切る(2)コロナに負けず持続的に成長する「新しい東京」を創造する(3)財政危機を乗り越えるための徹底した行財政改革(4)誰もが安心・安全で心やすらかに暮らせる東京へ—を掲げた。東京五輪については、2024年への延期も視野にIOC等と再交渉を行い、十分な感染症対応の時間を確保しながら確実な開催を目指すこととしている。

 日本維新の会からの支援を受けることとなったが、それ以外の政党からの支援については「私の主張に賛同して頂けるのであれば幅広く連携したい」と述べた。

山本 太郎氏

 れいわ新撰組代表の山本氏は参議院議員を1期務めた。原発問題、社会保障制度改革、表現の自由に関する問題などで活躍する。

 野党統一候補としてその名が何度か浮上したが、れいわ新撰組公認にこだわる山本氏と立憲民主党との調整が不調に終わったことから、単独での立候補となった。

 立候補の理由について「私は総理を目指すということで、れいわ新撰組を立ち上げたが総理を目指すことと都知事を目指すことに私の中では矛盾はない」と説明、その理由として、コロナ災害によって多くの人が生活困窮に陥る状況が確認されたことをあげ、「今、目の前で困っている人を救えるのは衆院選ではなく都知事選だと判断した」と語った。

 公約では、東京オリンピック・パラリンピックの中止を、開催都市としてIOCに宣言すること、コロナ損失の徹底的な底上げ、都立病院の独立行政法人化の中止、首都圏直下地震・大水害対策など8つの柱を提示した。

 コロナ損失の徹底的な底上げでは、全都民への10万円給付、高校や大学、専門学校などの授業料1年間免除、中小企業・個人事業主の前年度事業収入と今年度事業収入のマイナス分の補償などを盛り込んでいる。

都議補選、26日告示 4選挙区で実施

 都議会議員補欠選挙が26日に告示される。投開票日は知事選と同じ7月5日。

 補選は北区、大田区、北多摩第3(調布市・狛江市)、日野市の4選挙区で定数はそれぞれ1。自民は4選挙区で公認候補を擁立、立憲民主は北区と大田区で公認候補を立てる。共産は北多摩第3と日野市で公認候補を擁立、その他の選挙区は知事選での野党連合を踏まえ判断する。都民ファーストの会は北区で公認候補を擁立した。

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