交通局長 内藤淳 氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行っている事業について局長自らが説明する「局長に聞く」。今回は交通局長の内藤淳氏。都営交通のコロナ対策、ホームドアの設置、意外と知られていない発電事業などについてお話を伺った。

安全・安心が最優先の都営交通

交通局長 内藤淳 氏

コロナ後の経営基盤を確立へ

—多くの都民が利用する都営交通のコロナ対策は重要です。

 業種別ガイドラインに基づき、定期的な清掃・消毒、窓開けによる車内換気など、新型コロナウイルス感染症拡大防止の取組を徹底しています。

  例えば、都営交通の全車両(地下鉄152編成、バス1656両、東京さくらトラム(都電荒川線)33両、日暮里舎人ライナー20編成)に、第三者機関により抗ウイルス効果が確認された薬剤を用いてコーティングを行いました。今年夏までに施工完了します。

  また、局ホームページやSNS、車内放送等を用いて、咳エチケットや手洗い等の感染症対策や時差出勤等への協力を呼びかけています。

  喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症に対して、都営交通として為すべき対策を的確に講じていきます。

—コロナによる都営交通の経営への影響はどうでしょう。対策は。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、乗車人員は大きく減少し、当局の経営はかつてない厳しい状況となっているのが現状です。

 今後も、乗車人員がコロナ禍前の水準まで回復することは期待できず、厳しい経営状況が続くと見込んでいます。

 そのような中においても、首都東京の公営交通事業者として、安全の確保に最大限配慮しつつ、「経営計画2019」に掲げた施策等について、中長期的な視点に立ち、実施する規模や時期の見直しなどを行いながら取組を進めます。

 収入・支出の両面から事業全般の見直しを進め、コロナ後を見据えた持続可能な経営基盤を確立します。また、将来に向けて都営交通の責任と役割を果たす観点から、令和4年度を初年度とする「次期経営計画」の策定を進めています。

都営地下鉄・都営バスの乗車人員と収入の推移

計画的な保守・メンテナンスを実施

—ホームドアの設置に取り組んでいます。

 三田線、大江戸線及び新宿線では全86駅で整備を完了しています。現在、整備を進めている浅草線では、令和元年度までに新橋、大門、三田、泉岳寺の4駅で完了しています。

  今後は、令和3年秋から東銀座駅にホームドアの設置を開始し、当局が管理している残る15駅の整備を実施します。京成電鉄が管理する押上駅についても調整を進め、令和5年度末までにホームドア全駅整備完了を目指します。

 ホームドアが整備されるまでの間は、早朝から深夜まで警備員を配置するとともに、駅係員による視覚障害者の方などへの声かけを積極的に行っていきます。引き続き、お客様のホームからの転落や列車との接触などの事故を防ぎ、安全・安心の確保に努めます。

—都営地下鉄の保守・メンテナンスの取組はいかがですか。

 交通事業者にとって安全・安心の確保は最大の使命です。厳しい経営状況の中でも、施設・設備の保守・点検は確実に行う必要があります。

 地下鉄においては、終車後から始発前までの限られた時間に各種保守、点検作業を計画的に実施しています。

 さらに、効果的な予防保全を実現するため、デジタル技術を活用し、車両の状態をリアルタイムに可視化する「車両情報収集システム」の導入に向けた取組を進めています。

 これまでの都営交通で築いてきた技術をベースに、更なる安全・安心の確保やサービスの向上に向け、都庁で加速するDXの流れも捉え、積極的にデジタル技術の活用を図っていきたいと考えています。

—交通局では発電事業を行っていますね。

 交通局では、多摩川上流に3つの水力発電所を有しています。

 「東京産水力発電の環境価値」に着目した新たな売電方法を今年度から導入し、都営バスの全営業所で水力発電の電気を使用しています。こうした取組を通じ、「ゼロエミッション東京」の実現に向け貢献する考えです。

 ダム監視所の移設に併せて、交通局の再生可能エネルギー推進への取組や、奥多摩の自然を分かりやすく紹介するとともに、地域の観光促進により一層貢献することを目的とした、「PR施設」を令和3年度中に開館する予定です。

 開館に先立ち、多くの皆様から、親しみを感じていただけるよう、9月30日まで、愛称を募集しています。

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