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大庭麗のイタリア食材紀行 第21回2016年02月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

 

第21回 揚げ菓子をたのしむイタリアの謝肉祭

 

 毎年1月から3月の時期に行われるカーニバル(謝肉祭)。イタリアではカルネヴァーレと呼ばれ、仮面をつけ仮装した人々が集うヴェネチアでのそれが特に有名で、シーズン中には数百万人の観光客が訪れます。

 またイタリア全土でも、仮装行列などの祭りが開かれ、子供たちが投げ合って遊ぶコリアンドリと呼ばれる細かいカラフルな紙ふぶきが、色鮮やかに道端に散らばる光景も、この時期ならではの風物詩です。

キアッキエレ

たっぷりと粉糖がかけられているキアッキエレ。サクッとしたその食感は、おしゃべりのお供にぴったり

 そもそもラテン語で“肉を断ち切る”意を持ち、肉に別れを告げる宴を指す謝肉祭。毎年イースター(復活祭)の46日前の水曜日から肉や卵を断ち、娯楽や祝宴を自粛し悔いを改める、カトリック教徒の節制の期間(四旬節)に入る前日が、謝肉祭の最終日にあたります。

 カルネヴァーレの王様の人形を燃やし祭の終わりと四旬節の始まり、そして冬の終わりを告げる行事とされ、肉料理や揚げ物などの栄養のある物を食べるこの日を、イタリアではマルテディ・グラッソ(太った火曜日)と呼びます。

 揚げドーナツやクラッフェン(カスタードクリームの入った揚げパン)をはじめ、数々の揚げ菓子を食べる伝統があるカルネヴァーレ。その代表が、“おしゃべり”という意味の名の“キアッキエレ(Chiacchiere)”です。ナポリでは、その昔、おしゃべりに夢中なサヴォイア家の妃のために、料理人が小麦粉と卵と砂糖で作った菓子にその名をつけたと言われています。

 また、古代ローマ時代にはすでに、謝肉祭の時期に卵と小麦粉をこね合わせた薄い生地をラードで揚げて、四旬節の間の食料とされていたフリクティーリアと呼ばれた菓子が存在していたという歴史もあります。

 現代においても、地域によってその名は異なり、ボロ布の意のチェンチをはじめ、嘘を意味するブジエ、洋服のひだ飾りの意のフラッペなど、さまざまな特徴的な名前を持ち、蜂蜜やモストと呼ばれる煮詰めた葡萄果汁を生地に加えるなど、若干異なる地域性を持ちながら、イタリア全土で親しまれる謝肉祭ならではの伝統菓子となっています。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 カルネヴァーレ キアッキエレ Chiacchiere マルテディ・グラッソ フリクティーリア チェンチ ブジエ フラッペ モスト

 

 

 

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