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大庭麗のイタリア食材紀行 第27回2016年08月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

第27回 暑い南イタリアの夏に人気の夏野菜“ククンマラッツォ”

 

 暑い夏の南イタリアを訪れると必ず食べたいもののひとつに、南部の方言で“ククンマラッツォ”と呼ばれる野菜があります。日本でいう摘果メロン(メロンの栽培中に間引きをした際に取り除かれる子メロン)にとても似ていますが、南イタリアではメロン栽培の副産物ではなく、この野菜の収穫のために栽培されています。瓜とメロンを掛け合わせ、いくつもの種類に品種改良がなされたこの野菜は、夏場の市場や八百屋でよく売られています。

ククンマラッツォ

南イタリアの限られた地域で、伝統的に食べられてきた夏野菜ククンマラッツォ

 真夏の時期、気温が40℃を超す日もある南イタリアでは、古くから体内から身体を冷やす効果のある瓜の一種、ククンマラッツォが食べられてきました。そのため海水浴の際に持って行く人も多く、まさに夏の身体が欲する食べ物と言った感じです。その栄養素は全体の9割が水分、そこにビタミンA、Cに加え、カリウム、ナトリウム、リン、カルシウムと言った豊富なミネラル分が夏の疲れた体に染み渡ります。

 100gあたり13kmlとエネルギー量は低く、豊富なカリウムによる利尿作用で、むくみを防ぐ効果もあり、美容を気にする女性にも人気です。

 甘味や癖が一切ないククンマラッツォは、パリッとした爽快な歯ごたえが特徴。薄い緑色をした直径10㎝強の丸い実は、中に詰まった未完熟の種と皮を取り除き、リンゴのようにカットして、“ピンツィモーニオ” (野菜をそのまま摘まむと言う意味の野菜スティック)のように塩やオリーブオイルを少しつけて、素材の味を楽しみます。

 このククンマラッツォは、伝統的に食事中の口直しの役割としても用いられています。シンプルなトマトソースと塩味を効かせて熟成させたリコッタチーズをあえたパスタを食べる際や、トマトを使った仔羊の煮込み料理など、必ずこのククンマラッツォがテーブルに出てくる料理があります。

 まさに古くからこの地に根付いた、子どもから大人まで、皆が大好きな野菜です。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 ククンマラッツォ

 

 

 

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