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局長に聞く100 病院経営本部長2017年03月20日号

 
改革期を迎える都立病院

病院経営本部長 内藤 淳氏氏

病院経営本部長 内藤 淳氏

 東京都の各局が行う事業を局長自らが説明する「局長に聞く」。今回は病院経営本部長の内藤淳氏。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控えた都立病院の外国人対応、広尾病院の改築の検討の他、次期プランの策定に向けた決意を語ってもらった。

(聞き手/平田 邦彦)

JMIPを全病院で受審へ

—昨年7月に病院経営本部長に就任しました。

 これまで都の人事・労務等の内部管理分野の経験が長かったため、医療分野・病院現場は、見るもの、聞くことのすべてが新鮮でした。

 病院経営本部のミッションは明確であり、医療の最前線の現場を支え、都民に質の高い医療をできる限り効率的・効果的に提供することに尽きます。いわば「人=事業」の組織です。

 地域医療のあり方が大きく変化する中、全国で公立病院の役割や機能が改めて問われています。都立病院や公社病院も例外ではありません。ある意味、今は改革期であると思っています。まさに、大都市における、これからの公立病院像を自ら発信する必要があると痛感しています。

 そのためにも組織を挙げた議論と職員相互の信頼関係が欠かせません。「都民の命と健康を守る」という使命の下で、様々な取り組みに対して共感・共鳴・納得感を醸し出し、その上で達成感を共有できるかがポイントだと思います。

—東京2020大会に向けて都立病院の外国人対応への取り組みはいかがですか。

 今後、予期せぬ傷病で医療機関を受診せざるを得ない外国人が増加すると思われます。外国から来た方にも一層安心して受診していただくために、各都立病院の外国人対応力を強化しています。

 例えば、事務職・医療職を問わず、英語でのコミュニケーションカを向上させる語学研修はもとより、言語のみならず外国の患者さんへの理解を深めるため、「異文化理解」をテーマにした研修を実施しています。また、患者さん向けの帳票類も外国語表記のものを順次拡大するなど、安心して受診できる環境整備に取り組んでいます。

 さらに、こうした取り組みの「質」の保証を図るため、2019年度末までに外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)を全都立病院及び公社病院が受審することとしました。既に厚生労働省の「医療機関における外国人受入れ環境整備事業」における医療通訳拠点病院となっている広尾病院においては、2月にJMIPの受審を終えました。他の病院における取り組みの、一つの「みちしるべ」になればと思っています。

 

次期プラン策定に勝負の年

—広尾病院の改築に向けた検討を行っています。

 広尾病院は区部唯一の基幹災害拠点病院であり、大規模災害時における重症患者の受入体制の確保や東京DMAT、医療救護班の派遣体制を常時整備しなくてはなりません。

 しかし、既に築35年を超え、施設の老朽化が目立つことや災害時の増床余力が乏しいことなどの課題もあることから、いつ起こるか分からない首都直下地震に備えるためにも、早急に施設整備を検討する必要があります。今年度は基本構想の策定に向け、外部の専門家を加えた検討委員会をこれまで5回重ねてきました。この間、様々な観点から活発な議論があり、もう少し検討に時間が必要との判断から、来年度も検討を継続することとなりました。

 現時点の見込みでは、夏頃までに基本構想のたたき台となる報告書の取りまとめを行い、次のステップとして、私どもの基本計画策定作業に入っていきます。

—最後に、医療を取り巻く環境が大きく変革する時期において、病院経営本部はどのような取り組みを行いますか。

 我が国の高齢化は、他に類を見ないスピードで進んでいます。団塊の世代が2025年頃に後期高齢者に達することで、社会保障費の急増が懸念される2025年問題がかまびすしいですが、持続可能な社会保障制度の確立に向けて、地域医療の提供体制も大きなターニングポイントを迎えていると思います。

 特に、来年2018年は大きな節目になる年です。第7次医療計画の策定、地域医療構想の具体的な展開、さらに診療報酬や介護報酬の同時改定も予想され、様々なことが複合的・重層的に動き出します。

 こうした動きにも即応できるよう、次期保健医療計画の見直しに合わせて、都立病院・公社病院ともに、2018年度から向こう6年間の行動指針となる次期プランを検討・策定する予定です。これから実質1年間が検討期間であり、まさに勝負の時かなと感じています。

 これまで各病院が培ってきた強みを活かし、これからの地域医療に一層貢献するため、「地域」と連携・協働しながら、安全な医療の提供はもとより、安心感と持続性のある病院運営の最適化を目指したいですね。将来を見据えた、我々ならではの「プラスα」を創出できればと考えています。

 

 

 

 

タグ:病院経営本部長 都立広尾病院 JMIP 外国人患者受入れ医療機関認証制度 第7次医療計画 診療報酬と介護報酬の同時改定

 

 

 

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