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都政レポート
2010年8月20日号

 

局長に聞く 24
東京を低炭素型のモデル都市に

環境局長 大野輝之氏

環境局長 大野輝之氏

 東京都の各局が行っている事業のポイントを紹介してもらう「局長に聞く」。24回目の今回は環境局長の大野輝之氏。大気汚染の改善や地球温暖化対策など環境対策は石原都政の大きな柱のひとつ。国に先駆けて取り組んだディーゼル車規制の成果や本年4月から開始された「キャップ・アンド・トレード」の意義などについて聞いた。

(聞き手/平田 邦彦)

企業との協力で成し得た大気改善

―石原知事が就任直後にディーゼル車の粉塵が入ったペットボトルを振って、取り組みを始めたディーゼル車規制から12年近くになります。東京の空気は当時と比べてどれくらいきれいになったのでしょうか。

自動車排出ガス測定局のSPMに係る環境基準達成割合

自動車排出ガス測定局のSPMに係る環境基準達成割合
※クリックすると拡大されます

 東京都の環境行政は、昔から国に先んじて必要な制度や規制を導入してきた歴史があります。石原知事が打ち出したディーゼル車規制は、当初、トラック運送業界から反対の声があがるなど、導入をめぐって侃々諤々の議論がありました。このとき私は環境局の計画担当をしていたのですが、関係者の理解と協力を得るまでたいへん苦労したことを覚えています。
 その甲斐あって、2003年10月にディーゼル車規制を開始して以来、顕著な成果が上がっています。都内の道路沿いには浮遊粒子状物質(SPM)の測定ポイントがあるのですが、規制を始める前は、一箇所も環境基準を達成していませんでした。それが現在ではすべての地点で環境基準を達成しています。
 都民のみなさんからは「ベランダに干していた洗濯物にススがつかなくなった」とか、オートバイ好きの青年から「今までは走っていると顔中が真っ黒になっていたのに、それがなくなった」など、感謝の手紙や声がたくさん寄せられています。
 このように単に基準を達成しただけでなく、実際の生活において、空気がきれいになったことを実感していただいていることがうれしいですね。また、当時の規制が、結果的に日本のディーゼル車の環境性能を飛躍的に高め、そうした技術が世界に認められるようになりました。そうした点で、事業者の方のご尽力に、たいへん感謝しています。

自動車排出ガス測定局のNO2に係る環境基準達成割合

自動車排出ガス測定局のNO2に係る環境基準達成割合
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―本年4月から、新たな取り組みが始まりましたね。

 地球温暖化対策として、大規模事業者(燃料、熱および電気等のエネルギー使用量が原油換算で年間1500kl以上の事業所)に対してCO2排出の総量削減を義務づける「キャップ・アンド・トレード」(排出量取引制度)の導入です。一つの都市がオフィスビル等も対象として同制度を導入するのは世界でも初めての試みです。
 排出量取引制度では、大規模事業所間の取引に加え、都内中小クレジット、再エネクレジット、都外クレジットを活用でき、対象事業所は自らの削減対策に加え、排出量を取引することで、経済的かつ合理的に対策を推進することができる仕組みとなっています。

 

経済の仕組み活用してCO2を削減

―環境対策に経済の仕組みを導入するという点では、今後、環境対策が新たなビジネスにつながるきっかけとしても期待されます。

 はい。当初は厳しい削減義務を課すと、事業者が東京から出て行ってしまうのではと心配する声もありましたが、実際に制度が始まった現在、むしろ省エネ投資などが活発になってきています。新しくつくられるオフィスビルの環境性能が上がるなど、デベロッパーやゼネコン、機器メーカーなどは、新たなビジネスチャンスと捉えているようです。我々としてはこうした流れをさらに加速していきたいと考えています。

―東京都の先進的な取り組みを国内の他都市をはじめ、海外にも積極的にアピールしていくことも重要ですね。

 今回の東京版「キャップ・アンド・トレード」の導入は、世界のマスメディアも大きな関心をもって報道していますし、世界銀行も特別のレポートをつくって世界に紹介しているところです。都への視察も最近では欧米だけでなく、東南アジアからの訪問も増えています。
 一方、国内では全国の道府県と政令市を対象に政策セミナーを開催しており、現在、約8割の自治体が参加しています。その効果もあってか、都のような総量削減義務まではいきませんが、その前段階とも言えるCO2削減計画の策定義務制度をすでに32の道府県・政令市が導入しているところです。

―最後に、今後の取り組みに向けた局長の抱負を。

 地球温暖化対策では、世界のCO2排出を2050年までに半減させるのが目標となっており、先進国は80%削減という非常に厳しい義務が課されることになります。東京都としては、大幅なCO2の削減と活気ある都市づくりが両立する、新たな低炭素型の都市モデルをつくることで、これに貢献していきたいと考えています。
 4月1日に局長に就任した際、職員への訓示で、「一番大事なのは環境への思いを持つことだ」という話をしました。もちろん「思い」だけでは仕事はできません。「思い」を政策にしていくための知識、活発な議論、研究も必要です。しかし、この地球環境の危機、東京の都市環境や都民の健康への影響というものを常に肌で感じて、生きた仕事をしてほしい、そういう意味を込めて話をしました。
 これからも500人の局職員が力を合わせて「常に人と企業に選択され続ける都市・東京」の実現に取り組んでいく決意です。

 

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