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都政レポート
2011年3月20日号

 

局長に聞く 30
「攻め」の姿勢で人材を確保

人事委員会事務局長 多羅尾 光睦氏

人事委員会事務局長 多羅尾 光睦氏

  東京都の各局が行っている事業のポイントを紹介してもらう「局長に聞く」、30回目の今回は人事委員会事務局長の多羅尾光睦氏。優秀な人材の確保はどんな組織でも大きな課題だが、東京都人事委員会では「首都公務員」の確保のため「攻め」の姿勢を打ち出している。人材確保の取り組みを中心に話を伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

大学院卒業者への対応も

―人事委員会の事業内容はどのようなものでしょう。

 例えば建設局や福祉保健局など、都庁の他局と比べると、名前を聞いただけでは事業の内容はわかりにくいかも知れません。

 人事委員会は民主的、効率的な人事行政を都庁内で実現するために、外部の有識者3名で構成されている第三者機関です。都庁の人事や給与を都民の目線で、都民にご理解いただけるものにするために機能しています。

 具体的な業務内容として、①人事行政、給与・福利厚生等の制度に関する調査研究、企画立案、任命権者への勧告等、②民間企業の給与水準の調査、職員給与に関する報告・勧告、③職員採用試験や内部昇任試験の実施、④懲戒処分など不利益処分を受けた職員からの不服申立てに対する裁決等、などがあげられます。

 職員の給与レベルですが、東京は大都市で物価も高いということで、地方も含めた国家公務員全体と比較すればやや高い傾向にあります。ただ、東京に勤務している国家公務員と比較すれば、ほぼ同水準です。

―東京都は、予算規模が韓国の国家予算にも匹敵する大組織です。人事に関する業務は非常に大変だと思うのですが。

 今、我々が直面している課題は、採用面では、「首都公務員」として活躍できる優秀な人材の確保があります。人材こそ最重要の経営資源です。都庁は国に先駆けた多くの挑戦をしており、優秀な人材の確保が今後さらに求められます。

 公務員を志望する優秀な人材を巡って、国や他自治体と獲得競争が激しくなっています。黙っていても東京都に来てくれるわけではありませんので、人材供給構造の変化に対応し、採用に向けた多様な窓口を設けたり、採用PRを展開しています。

 高学歴化傾向を受け、特に技術系の学生の3割が大学院に進学しています。これまで都は大学卒程度の学力のある者を対象とした試験を「Ⅰ類」と称していたのですが、2年前から「Ⅰ類A」「Ⅰ類B」と分けました。Aを大学院卒業程度の試験、Bは大学卒程度の試験と定義し直しました。国に先駆けて大学院で勉強してきた方々への対応をしっかり行うことにしたのです。

 また、社会に出て民間企業等で勤務している人で都庁で活躍してみたいという方を対象に、「キャリア活用採用選考」を設けています。社会で培ったキャリアを13の区分で評価して採用し、採用された方は最初から主任または係長として活躍してもらっています。またPRについては、都庁で働きたいという学生さんなどを対象に採用セミナーを開催し、仕事の内容や魅力を先輩職員が語っています。

 技術職の場合には個別相談会を開催して、土木、医療、福祉などの技術・専門職種に従事している先輩が、マンツーマンで相談に応じています。「待ち」の姿勢ではなく、「攻め」の姿勢で人材を集めようという試みです。

 

高齢者の活用が大きな課題

―東京都は行政改革を実行し、職員の数も少なくなりましたが。

 往時の6割程度の職員定数ですので、少数精鋭体制で行かざるを得ず、全員にプロの公務員としての自覚が求められています。いかにプロの公務員を養成し、業績や能力に応じた処遇をしていくかが、二番目の課題となっています。

 給与制度で見てみると、これまでは年齢とともに給与が上がる年功給の傾向が強いものでした。しかしこれからは成績主義・能力主義を基本とした給与体系への転換をより推進することが求められ、昇任試験では勤務評定をこれまで以上に重視しています。

 都庁もこれまでは団塊の世代が中心でしたが、若い世代の職員が増えています。団塊の世代の場合、その数も多かったこともあり、個々の職員を見るという人材育成はあまりできなかったかもしれません。

 しかし、これからは「この職員はまちづくりの専門家として育てよう。あの職員は福祉の専門家として育てよう」というようなイメージで、一人ひとりの職員の能力や希望をしっかり見ていく必要がありますね。

 3番目の課題として、年金の支給年齢の問題があります。年金財源の逼迫で65歳からの年金支給となりますが、国では65歳まで雇用を延長する方針を打ち出し、国家公務員は65歳定年制の検討に入っています。

 では東京都はどうかということですが、国とは職場の実態や人事制度が大きく異なっています。また、60歳を過ぎると個人差が能力的にも体力的にも激しくなっています。さらに家庭の事情もありますから、高齢期雇用のあり方を十分議論していく必要があると思います。

 都庁内で、いかに人件費を抑えつつ高齢者を活用できるかは、たいへん難しい問題ですが、何としても知恵を絞って解決すべき課題です。

 

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