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技術日本一
2009年5月20日号
低温炭化機 MDクリエート21

●MDクリエート21 ●神奈川県相模原市 ●1970年設立 ●従業員数2名

TOKYO★世界一 (17)

低温炭化機

MDクリエート21

 世界トップクラスの技術・技能―。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。MDクリエート21は、畜糞や汚泥などの不要物を有機肥料にリサイクルする、新たな炭化有機肥料製造システムを開発。完成までに要した期間は、およそ30年。廃熱をもリサイクルできるといったさまざまな特徴を、開発中にあった苦労などと合わせてご紹介する。

(取材/袴田宜伸)

 食の安全が問われている昨今、化学肥料を使わない国産品の需要が高まっているが、MDクリエート21の代表・黒沼秀克氏は今から40年前に、化学肥料で食物が生産されることに懸念を抱いていた。

 化学物質によって土壌が枯れて河川の汚染が進み、我々の体内にも有害物質が蓄積されていく。その一方で、古くから肥料として有用されてきた畜糞などは、不要物として廃棄されていた。

 黒沼氏はそうした状況を憂い、「不要物の有用化」を目標にかかげて1970年、新たなリサイクルシステムの開発をスタートした。

 「廃棄されていた不要物や無駄にされていたエネルギーを循環させて、有機肥料を作り出そうと考えました」

 

システムに必要な知識を学び、結集

 不要物をリサイクルする上で、黒沼氏は木炭に着眼。

 木炭は、古代から製鉄や炊事などの燃料に用いられ、平安時代には既に炭焼きが広く行われ、商品化されていた。また、石油や都市ガスが普及するまでは、戦後でも産業や一般家庭で使用。バスやトラックも木炭で走っていた。

 こうした点をあげた上で黒沼氏は、木炭に目をつけた理由をこう話す。

 「木炭は、いわば日本の文化の一つで、さまざまな成分が含まれていますから、廃棄されていた不要物を炭としてリサイクルすることで、環境などのさまざまな問題が改善できると考えたのです」

 大学で学んだ機械工学の知識をベースにして、「有機物を炭化して肥料にする」ための方法を思い描きながら開発を推進。ボイラーや炭焼きそのもののノウハウなど、システムに必要な知識を一つひとつ学び、結集させていった。

 行政などの賛同が得られずに、開発が進まない時期もあった。だが、地道に努力を重ねたことで2003年、画期的な炭化有機肥料製造システム「低温炭化機」が完成した。

 

熱エネルギーも循環 捨てる物は限りなくゼロ

 炭は物を燃やせば作れるが、有機物は500度を超えると無機質になる。コピー機のトナーのような状態で、これでは肥料としては使えない。

 だがMDクリエート21の低温炭化機では、文字通り低温で炭化できる。そのため生物体に寄生するウイルスを死滅できる一方、窒素やリン酸、カリンといった有機成分を保持した肥料が作り出せるのだ。

 「原料には畜糞や汚泥、木くずなど、不要とされていたさまざまなものが使用できます」

 また、循環するのは不要物だけではない。

 「廃熱で水を温めて養鰻のプールに流すなど、熱エネルギーもリサイクルできる仕組みになっています。ですから捨てる物は限りなくゼロです」

 

自然回帰がなされれば不要物はなくなる

低温炭化機 MDクリエート21

さまざまな不要物を有機肥料にリサイクルできる低温炭化機。臭気を排出しないように設計されているばかりか、酸素との反応を最小限に抑えた外熱方式で炭化するため、ダイオキシンの発生も抑制

 農協や畜産農家を中心に、全国的に導入が進みつつある低温炭化機。導入先からは、製造された肥料を使用することで「収穫量が増えた」「果実の糖度が上がった」との喜びの声が上がっている。

 「低温炭化機の導入先を増やして、世の中に広めたいです」

 今後の展望を黒沼氏はそう語ったが、目指すゴールはそこにはない。

 「本来、不要物というものはなく、すべては人間の科学によって生まれたもの。本当の意味での自然回帰がなされれば不要物はなくなりますから、そこが最終的なゴールだと考えています」

 限りある資源の有効活用が叫ばれている今、次世代の食料やエネルギーの問題を解決する一翼を担い、さらに活躍されることを期待したい。

MDクリエート21代表の黒沼氏(右)と事務局の中野慶則氏

MDクリエート21代表の黒沼氏(右)と事務局の中野慶則氏

 

 

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