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特集
2011年5月20日号
News Focus

おじゃりやれ八丈島、青ヶ島へ

東京都八丈支庁土木課長 青山繁氏

東京都八丈支庁土木課長 青山繁

 東京から南へ約290㎞、太平洋を流れる黒潮の真ん中にひょうたん形をした島、八丈島がある。亜熱帯気候で降水量も多いが、豊かな自然と美しい花々に囲まれた南国情緒がいっぱいの島である。さらに約70㎞の南には、伊豆諸島最南端の神秘の島、青ヶ島が見える。八丈支庁は、この2島に暮らす住民の生活や産業を支えるため、あらゆる分野から事業を展開している。
 また、島に暮らす人々は皆、情けに厚く、訪れる人へのもてなしの心が備わっている。「おじゃりやれ」は島の言葉で「いらっしゃい」との意味であり、島内のあちらこちらでその言葉を見聞きする。
 八丈支庁も「おじゃりやれ」の精神を島民と共有しながら、日々の業務に取り組んでいる。東京から飛行機に乗って45分でいける、この南の島に、是非皆さんも、おじゃりやれ!

 

島の生活・産業を支える基盤整備

八丈富士と大賀郷園地

八丈富士と大賀郷園地

 総務局八丈支庁は、八丈島および青ヶ島と、無人島である八丈小島、ベヨネーズ列岩、須美寿島、鳥島および孀婦岩の七島を所管している。八丈島や青ヶ島をはじめとする島嶼地域は、豊かな自然に恵まれている半面、厳しい気象条件と地理的なハンディキャップを抱えながらの暮らしを余儀なくされている。

 このような中、島内の道路、河川、公園などの基盤施設の整備や維持は、島民生活の安定はもとより、地域の産業や観光振興等を図るうえで非常に重要なものとなっている。これらの施設を所管する八丈支庁土木課の事業を紹介する。

 

【道路の整備】

八丈都市計画道路・夏期にはビロウヤシとハイビスカスが道路を彩る

八丈都市計画道路・夏期にはビロウヤシとハイビスカスが道路を彩る

 八丈島では離島には珍しい都市計画道路(計画総延長7,350m)の整備を行っている。本路線は、交通の要衝である空港、東の底土港、西の八重根港を相互に結ぶ街路として、昭和54年に都市計画決定された。昭和55年の事業認可以来、30年以上の長期間にわたって事業に取り組んでいる。平成18年に暫定的ながら全線開通を果たしており、現在は、空港前の改良を残すのみとなっている。今年度末には全線整備を完了する見込みであり、今後の島の産業や観光の振興に大きく寄与するものと期待している。

 この道路の特徴は、幅9mの車道の両側に4.5mの広い歩道を持ち、ビロウヤシやハイビスカスなどの南国風の植裁や、一部、歩道舗装材に島内産の石を活用するなど、随所に島らしさを演出する工夫がなされている。さらに、空港前の区間は、来島者が最初に通行する道路であることから、無電柱化での整備を進めており、景観への配慮も行っている。

青ヶ島・都道循環線における災害防除工事

青ヶ島・都道循環線における災害防除工事

 その他の事業として、町の公共施設や人口が集中している坂下地区(三根、大賀郷)を横断する都道第216号線の車道拡幅と歩道設置整備、島を周回する都道第215号線の三根地区や樫立地区などでも線形改良、歩道設置等の事業を進めている。

 青ヶ島においては、都道循環線で住民の生活拠点に位置する中原地区の道路改良を平成21年度から実施している。また、断崖部を走る道路においては、がけ崩れや落石を防止するための災害防除工事を随所で行っている。不安定な気候や急峻な地形等、非常に厳しい施工環境ではあるが、島の動脈である都道の改良や維持に向けて、鋭意、努力しているところである。

 

【河川・海岸の整備】

小骨ヶ洞砂防ダム4号堤(平成21年度完成)

小骨ヶ洞砂防ダム4号堤(平成21年度完成)

 八丈島は、急峻な地形と国内でも屈指の降雨量を有する地域であることから、これまでも多くの土石流や斜面崩壊等の被害を受けてきた。このため、島内の8河川を砂防指定し、流路や砂防ダムの整備を進めてきた。現在は、小骨ヶ洞において砂防ダムの築造工事を実施し、土砂災害の防止に努めている。

 一方、台風や季節風などに伴う波浪等からの危険を回避するため、5箇所の海岸保全区域を定め、護岸等の海岸保全施設の整備を進めている。現在は、垂戸海岸において、護岸の整備を進めている。

島の魅力を彩る自然公園の整備

【自然公園の整備】

八丈植物公園・ビロウ広場

八丈植物公園・ビロウ広場

 青ヶ島を除く伊豆諸島は、昭和39年7月、それまでの伊豆七島国定公園から、富士箱根伊豆国立公園へと編入された。自然公園法による特別保護地区、特別地域の指定は八丈町全体面積の75%、約5500haに及んでいる。支庁では、これらの地区における開発行為の規制等を通じて、国立公園の自然保護に努めている。

 また、島民や来島者の方々に八丈島の自然を楽しんでいただけるよう、自然公園施設の整備も行っている。島の中心部には、都立八丈植物公園を開園しており、八丈島や世界の亜熱帯・熱帯植物を公開しているほか、施設の一角では、漫画「がきデカ」で有名になった「八丈島のキョン」等の動物も飼育している。公園内にはビジターセンターを開設しており、八丈島の紹介や解説員による公園の案内を行っている。新たな試みとして、地元団体と連携した夏期限定の「光るキノコ」の観察会を公園内で実施したところ、昨年度は多くの方に参加いただき、好評を博した。今年度も引き続き実施する予定であり、観光面も含めての盛り上がりに期待したい。

 さらに島内各所で、園地や野営場等の自然公園施設の整備を行っている。これまでに底土、南原、大潟浦、登龍の各園地を整備し、底土にはキャンプ用の野営場も設置した。現在は、芝生の多目的広場をメインとする大賀郷園地の整備に力を入れており、八丈町の花であるストレチアの咲く四季の丘等、ゾーン別に趣向を凝らした整備を進めており、利用客のニーズに応えながら施設の充実を図っていく。

 

【施設の維持管理】

光るキノコ

光るキノコ

 施設の整備のみならず、施設そのものを良好な状態に保ち、かつ長期間有効利用していくための維持管理も重要である。

 坂下地区と坂上地区(樫立、中之郷、末吉)を結ぶ横間道路は連続した橋梁とトンネル、洞門から構成されているが、完成から20年近くが経過し、構造物の劣化等が危惧される時期にきている。これまでにも、補修、補強を行っているが、今年度も継続して橋梁の耐久性を向上させる工事を行っていく。

 その他、管内道路の災害防除工事や路面補修工事についても、計画的に取り組んでいく。

 これらの事業の実施にあたっては、島民をはじめ、関係部署の多くの方々からの理解と協力を賜っている。この場を借りて、感謝申し上げたい。

 

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