HOME » NEWS TOKYO バックナンバー » 【座談会】東日本大震災後の中小企業振興対策を考える
特集
2011年9月20日号

 

【座談会】東日本大震災からの復旧・復興と
都内中小企業の振興対策を考える

【座談会】風景

 東日本大震災により甚大な被害を受けた東北地域の復旧・復興は、喫緊の国家的課題となっている。そのために都内の中小企業が果たすべき役割と責務は極めて大きなものがある。しかしながら、都内中小企業が受けた震災の影響は決して小さいものではなく、これを乗り超えていくためには、より強力な振興対策が必要とされる。東日本大震災からの復旧・復興に対する都内中小企業の振興対策について関係各者に意見を述べていただいた。

座談会出席者(順不同)

東京都産業労働局 局長  前田信弘氏
東京都商工会連合会 会長  桂敎夫氏
東京商工会議所 特別顧問  井上裕之氏
東京都商店街振興組合連合会 理事長  桑島俊彦氏
西武信用金庫 理事長  落合寛司氏
司会=平田邦彦(本紙社長)

 

お金を生む場所を復旧すれば、そこに雇用が発生する

―東日本大震災による影響はどのようなものですか?

東京都産業労働局長 前田信弘氏

“安ければいい”のではなく、きちんと価値を見極める行動を。
(東京都産業労働局長 前田信弘氏)

前田 リーマンショック以来、経済・雇用ともに非常に厳しい状況にありましたが、緩やかに回復するという全体的な見通しの中で施策を実施し、かつ予算も編成してきました。しかし、地震というのは、常に予期せず起こるものです。特に今回の地震は想定をはるかに超えるもので、その影響は各方面に出ています。もちろん中小企業もその影響から免れることはできません。  東京都の対策としては、中小企業関係でいえば、まず被災した中小企業は、東京都内ではあまり多くありませんでしたが、製造業が被災地に持っている施設にかなりの影響が出ました。それらは他県に所在するものですが、復旧費を助成するという方策をとっています。
 また、サプライチェーンの崩壊等による事業の支障等に関しては、それぞれのエキスパートを派遣して、経営相談とかの課題にお答えするということを、商工会や商工会議所のご協力を得て進めています。
 それから、福島第一原発の事故による放射性物質の漏洩問題で、特に輸出物品を中心に放射能測定をして証明書を出すという想像もしなかったことが起きています。私どもでは産業技術研究センターの放射線測定という形で、福島県に所在する企業も含めて全力で応援している状況です。
 企業によって影響がまちまちで、また広範囲ですので、商工会や商工会議所などとも情報交換を密にして、できることは一生懸命やるという感じですね。

東京都商工会連合会会長 桂敎夫氏

東京は世界で一番のグルメ都市。グルメを文化遺産に。
(東京都商工会連合会 会長 桂敎夫氏)

 実は震災から1ヶ月くらいたった時、商工会にも被災地3県からいろんな注文が来たんです。中でも遊休の機械設備があれば無償で貸与してほしいというニーズが非常に高かった。
 復興の第一歩は、お金を生む場所から復旧すること。お金を生むということは、そこに雇用が発生するということです。世界の三大漁場といわれた三陸沖のこと、まず漁業だと、日本全国の漁協に連絡して、遊んでいる船、一部修理すれば使える船を国のお金で集めて、被災地の漁協なり地域に無償で貸与すれば、まず収益が上がる。全部修理するのは無理だとしても、とりあえず船着き場だけ用意すれば自然と市場ができる。市場ができれば冷凍・冷蔵倉庫ができる。そうすれば魚の加工工場もできる。全部継続して雇用が生まれてきますから、被災地に希望をもたらすことになるんですよ。
 このスキームを実現するのは、我々商工会の組織だけでは無理だろうと、中小企業の実態を一番よく把握している信金さんと一緒にやることにしました。実際に西武信金の落合さんと7月に仙台に行って、先方の方々とお会いし、被災地も見てきましたが、1日も早く実現しなければならないと思いました。
 ところが、漁船の対応は未だに動いていないです。

井上 今回の被災というのは単なる地震と津波ということだけじゃなく、原発事故による放射能が大きな問題です。私どもの企業は福島第一原発に関係しているものですから、特に関心があります。注文がキャンセルになるなど、直接の被害も受けていますし、福島から部品を仕入れたりしていましたので、サプライチェーンの問題もある。東京にいながらにして被害をこうむっている企業も多いんじゃないでしょうかね。

東京都商店街振興組合連合会 理事長  桑島俊彦氏

震災を機に、互いを助け合おうという気持ちが生まれている。
(東京都商店街振興組合連合会 理事長  桑島俊彦氏)

桑島 被災された方は本当に気の毒です。
 できるだけの支援をしていますし、今後も続けていかなければいけませんが、東京の人たちがすべてイベントは中止、自粛、自粛。ちょっと過剰反応していると思いますね。私はそういうのを風評被害じゃなくて、「遠慮被害」といっているのですが、なんでも遠慮してしまうんですね。
 世田谷区に用賀商店街がありまして、陸前高田市と友交関係にあるんです。そこで4月のはじめに桜祭りをやったんですね。震災からまだ20日くらいしか経っていない頃ですから、理事長は勇気がいったと思います。そうしたら、その商店街のイベントで義援金が500万円も集まったというんですよ。そのお金と飲料水をトラックいっぱいに積んで、商店街の役員8人が陸前高田まで10時間半かけて運んだら、被災地の方から力をもらったと非常に喜ばれたそうです。そういういい事例があるんですね。
 最近ようやく、大いにイベントをやって、大いに義援金を集めて、少しでもお役に立ててもらおうという機運が商店街の中に出てきましたね。
 地震の少し前に「伊達直人」現象というのがあったでしょう。その頃から私は、日本の世の中がいい方向に向いていると感じているんです。地域コミュニティが、温かくなっている。特にこの震災を機に、お互いを助け合おうという気持ちが生まれている気がします。

落合 今回の震災の影響は、直接的に受けた影響と、間接的あるいは今後大きくなっていく影響に分けられると思います。
 直接的な影響では、予想外に東京の中小企業が、東北に生産拠点を持っていたということです。私たち地域金融機関は地域をよく知っているといいながら、これは予想外でした。生産の心臓部が東北に多くある、あるいは東北の企業と連携して、一部の重要な部分を委託しているため出荷できず、滞留資金が必要になるといったケースが多くありました。
 それから、日本では3月、4月はイベント月ですが、自粛ということで中止が相次ぎ、計画停電もあって外出も控えてしまいました。飲食業の方々は製造業の方々よりももっと影響を受けていると思います。
 間接的な影響は、大手企業がサプライチェーンの問題も含め、生産拠点を海外に移すとか、東北を含めた東日本から西日本に持っていこうという動きが顕著になったことです。それに併せて中小企業も海外に出ようという意識がかなり高まりました。今年は中小企業の開国元年だといっていましたから、フォローの風なのかアゲインストの風なのかは分かりませんが、私どもの海外支援の相談も震災以後、圧倒的に増えていますね。
 今後そういう動きが進んでいくという気がしますが、実はリーマンショック後、震災に隠れていますが、納入先の企業がどんどん海外に移ってしまい、その対策として販売先の大幅な変更や、M&Aを活用して業種転換をしなければならない企業も多くあります。

 

電力をどう確保するかは、短中長期のビジョンで考える

―具体的にどのような対応をされているのでしょうか?

前田 テレビで津波の被害を目の当たりにして、被災地支援が東京都の方針のひとつの柱となりました。福島県、宮城県、岩手県に被災地事務所を作って都の職員を送り、県庁との調整に当たらせるほかに、職員を派遣していろんな復旧・復興の手伝いをしました。
 東京では、初期の計画停電のパニックを乗り超えた後、放射能の問題を別にしますと、長い目で見ればこういう方向に進むんだろうと漠然と考えていたことが、今の円高も含め一気に前に出てきたという気がします。
 例えば、もちろん海外進出自体を止めることはできませんが、ひとつには都内の製造業の集積をどう維持するかということが浮かび上がってきました。もうひとつは、非製造業を中心にどうやって創業を支援するか。このようなことが柱になるだろうということを頭におきながら、いろんな作業を進めているところです。
 それから東北電力も含め、電力供給の余力が果たしてどれくらいなのかということが、今年の冬か来年の夏には出てくるでしょうし、東京都も100万キロワットの発電所を都内に作ることを打ち出しています。日本全体で考えた時に、電力をどう確保するかという問題は、短期、中期、長期のビジョンで考えなければならないでしょうね。
 今すぐ原発をどうこうするといった議論をしている場合じゃない。私たちの政策ができるできない以前に、企業経営が成り立たなくなるのではないかと思います。

―日本人はとかくエキセントリックに、脱原発みたいな話になりますが、現実的にはそうはいきません。本当に安全な原発を日本が率先して作り出していくいいチャンスを与えられたと考えるべきでしょうね。

東京商工会議所 特別顧問  井上裕之氏

中小企業の研究開発への助成やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に果敢に取り組む度量を持て。
(東京商工会議所 特別顧問  井上裕之氏)

井上 そのとおりです。エネルギーを確保するということは大変で、太陽光発電などはまだまだ発電効率が悪い。コストがものすごく高いわけで、国民にその負担が返ってきます。水力発電ならまだいいけど、その場所がなくなっているわけだから、そう簡単には脱原発とはいかないでしょう。
 もちろん原発がないに超したことはありませんし、確かに放射能に対する安全性はもっともっと高めていかなければなりません。しかし、単なる地震だけなら原発は安全なんですよね。津波でサプライ電力がなくなったことが問題だった。20年、30年先には効率のよい再生可能エネルギーを利用した発電装置ができるだろうから、それまではクリーンなエネルギーとして、原発はある程度は必要なものだと思います。

桑島 諸悪の根源は東京電力みたいにいいますけど、僕にいわせれば不可抗力の面もあると思う。福島は問題はあったにせよ、女川原発は高いところにあるから何の被害もなくて、女川の住民は原発に避難しているというのでしょう。それなのに浜岡原発を止めたりと、やってることがちぐはぐですよね。
 それに、夜の電気は蓄電できないんだから、過度の節電とか自粛もいかがなものかと思います。節電、節電といって道路の電気を暗くしていますが、引ったくりや痴漢がやたらと増えているんですよ。商店では万引き。タクシーの運転手は暗いからお客が拾えないといっていますし、特に雨の日は、反射するから危ないんです。人の命は節電より大事でしょう。
 消費電力80%くらいまでもっていってあげないと、東京電力は返済原資もなくなり、補償もできなくなりますよ。

 

世界を驚かせる日本の技術を支えるのは雇用の7割を占める中小企業

 私もコンピュータの会社をやっていますから東京電力とは非常に縁が深いんですけれども、東電も反省すべき点もあった。それは独占だということなんですね。どこに行っても地域のリーダーは電力会社。
 中小企業の未来を考えた時に、我われは東電にどういう要求を出すか、あるいは国がどういう政策を出すのか。政治に対するスタンスをきっちり持ち合わせていないと、いろんな問題にぶつかると思います。大企業はコストパフォーマンス重視ですから、ペイしなければ外国に行けばいいとなりますが、中小企業はそうは行きませんからね。
 この間、ある外国人に「この1年の最大のビッグニュースはないか」と聞いたところ、ハヤブサだそうです。このハヤブサの技術は、世界中の科学者が肝を抜かすくらい驚いたらしいです。

井上 ハヤブサに象徴されるように、日本には大変な技術があるわけです。それを支えているのは誰かといえば、中小企業ですよ。ところが政治家はそのことに目を向けない。
 今は円高ですし、日本では40%も法人税を払わされますから、海外に行ったほうがよっぽどいい。大手の企業はどんどん海外に出ていっていますが、一方で大事なところだけは日本で作っていこうという感覚がある。その大事なものを増やせばいいわけですよね。
 ところが、その研究開発にお金を出してやろうという度量がない。中小企業がもっている世界トップレベルの技術まで海外にいっちゃったら大変なことになりますよ。

桑島 アラブの王様が、企業誘致で「トヨタをもってこい」とか「パナソニックをもってこい」というそうですが、それは富士山の頂上であって、ダーッと広がる裾野はすべて中小企業が支えているわけです。パナソニックやトヨタが行っても、電化製品や車はできません。実際、中小企業あっての日本なんですよね。
 井上さんも桂さんもいつもいっておられますが、日本の中小企業に関わる人は、赤ちゃんまで含めると約7000万人、日本の人口の過半数です。中小企業の中で我われ商業の売り上げは約136兆円ですが、農業の売り上げは約8兆4000億円で、それに漁業の約1兆6000億円を足すと10兆円です。10兆円の売り上げなのに予算は3兆円以上。商業は136兆円の売り上げがあるのに、予算は約35億円ですよ。

 江戸時代からの士農工商が連綿と続いているんだよ。

桑島 もうひとつ、生業として農業は被害があると、口蹄疫の時も放射能の時も、牛1頭につきいくらとちゃんと保証がつく。漁業も原発ができるというと漁民に対して補償が出る。ところが商業は口蹄疫で街に人がいなくなって、開店休業になっても、商品が腐っても何の保証もない。同じ生業なのになんでこんなに差別があるのか。
 コミュニティの担い手として公共的役割を果たしている商店街にも、それだけの権利はあるし、それだけの立場が与えられていいはずですよ。

西武信用金庫 理事長  落合寛司 氏

企業対企業ではなく、国対国の競争。国の支援体制が必要。
(西武信用金庫 理事長  落合寛司氏)

落合 これだけ国際化が進み、さらにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)等で国際化のスピードが上がると、企業対企業ではなく、国対国の競争になってきますね。日本が経済成長していた頃は、通産省という強力な国の力で貿易を推進してきました。日本はこれからも企業だけに競争させていてよいのでしょうか。今の韓国のように国の支援体制を強化する必要を感じています。
 また、私たちは地域金融機関ですから国内マーケットが専門ですが、海外支援も一生懸命実施しながら、国内産業の育成にも力を入れています。
 例えば農業の工業化です。日本人はものづくりでは世界で名を馳せていますが、なぜか農産物は世界に通じない。それは国の支援策が、付加価値を高めるためではなく、減反だとか補助金制度だったからです。これが日本の農業を遅らせてしまった。
 今、あるところで実施しているのはメロン栽培です。熟成オゾンを使うと、マスクメロンの茎がすごく太くなって70個くらい生るんですよ。実も普通より大きく、糖度もけっこう高い。室内ですから病虫害もありませんし、薬害もない。農産物で一番怖いのは天候ですが、室内でコントロールできますから、ある意味計画生産ができるわけです。さらに、5階建てにすれば土地が5倍になるわけですよ。しかも、そこに生る実は2個とか3個でなく70個とかですから20倍、30倍です。そうなると1個あたりの単価が大きく下がり、それこそメイドインジャパンの安全な果物として輸出品になる。今は住宅地で作っていますから採算が悪いので、規制を解除し、農地に建物を作らせていただきたいです。
 さっき桑島さんがおっしゃいましたが、日本の中小企業は雇用の70%を維持しています。大手がこれだけ生産拠点を海外に移していくと、すぐに80%、85%になると思う。そうなると中小企業政策そのものが日本の経済の重要な国策になって行くと思います。中小企業の多くはグローバル企業の下請けをやっているので、日本は大小企業あわせて国際戦略を組んで、いろんな施策をやっていかなければならないと思います。

前田 私どもは農林水産部も持っていますのでいいますと、やはり日本でできるものはいいものですよ。果物にしても野菜にしても一級品です。
 それから林業なんかもダメだといわれていますが、さすがに世界がこれだけ開発されると、木材も安く豊富に入ってくるということではないので、だんだん価格競争力がついてくるはずです。
 そこでどういう政策を作るかということなんですが、その前にひとつ直さなければいけないと思うのは、なんでも安ければいいというのではなく、本当にいいものには年に何回かでもいいからきちんと対価を払うということです。きちんと価値を見極める行動をとらないと、本当にいいものが残っていても博物館の展示品みたいになってしまいます。それでは生産者は生活できません。

井上 TPPにしても、早くやらなきゃいけないでしょう。TPPに対抗できる産業としての農業をどうやって育成するか。そのために本来、農協があったんだよ。何をやっているんだ、彼らは。今度の施策もそうですが7800億円でしょう。このお金を単なるばらまきじゃなく、ちゃんと農業育成のために使ってほしいね。

 

世界遺産に登録された小笠原に飛行艇を飛ばしてはどうか

―観光消費は生活者の7倍といわれていますが、そこもまた多くは中小企業が支えている世界だと思いますが。

前田 国も東京都も観光産業は裾野が広いので重点施策です。特に購買力を外国から持ってくる、海外旅行者の増加に重点を置いてきましたし、22年までは国なり東京都の計画、目標に向かってそれなりに進んできました。数からいえばアジア地域からのお客さん、ビザの緩和などもあり特に中国からのお客さんが急増しました。
 去年、羽田空港の本格的な国際化がなり、また成田空港も拡張されるのでインフラは整いつつあります。今度の地震でいったんがくんと落ちましたが、すでに若干の回復傾向にあります。息長くこの取り組みを旅行業界、国とともにやっていくのが我われの方針です。

桑島 東京商工会議所に観光委員会というのがあるんですけど、23区の中に行政に観光がない区が7つある。東京都も産業労働局に観光部ができたんだから、23区にも観光課なり商工観光課なりそういう部局を作ってもらいたいですね。
 それから、中国や韓国などいろんな国から観光客が来ているけど、買い物は銀座だとか秋葉原とか、ほとんどが中心部なんですよね。それを23区、多摩まで行ってもらうように、まちなか観光の整備を東京都と市区町村が一体となってやってもらいたい。

 今の東京のよさをどうアピールするかということですが、強調したいことのひとつがグルメ都市ということです。世界遺産の中にも自然遺産や文化遺産があるように、世界遺産ではありませんが農業遺産や食の遺産なんていうのもあるんですよ。私は東京は世界で一番グルメの都市だと思う。グルメも立派な文化遺産ですよ。そういったことも含めて仕切り直し、東京都に観光客を呼ぼうということです。
 それから、世界遺産に登録された小笠原をどうにかしたい。小笠原は大島や八丈島と違って入りやすいんです。八丈島まではジェット機が飛んでいるから、そこから飛行艇でもいいから飛ばせばいい。飛行艇なら波高5mでも大丈夫ですし、陸から飛んで水に降りられますし、水から飛んで陸に降りられますから、飛行場を作らなくてもすみます。

井上 ベンチャーでやったら(笑)。

 東京都営でやったらどうですか。

落合 観光と一口にいいますが、それは最近では名所旧跡ではなくてイベント型の観光に変わってきています。今はマスメディアの発達で疑似体験ができますから、そこをどのようにクリアして、行動に移してもらうかということが重要です。その場合お金がキーポイントになると思われます。
 実際に旅行している人の多くは、60歳以上と、年齢層は高くなってきています。日本人はまじめですから、自分たちの将来のために貯えたお金を遊びのためには使いません。
 ここから変えていかないとダメだと考えて、持っている資産を経済貨幣に替えてあげる「リバースモーゲージローン」という商品をつくりました。なぜならば少子化で子どもたちが同居しなくなってきているので、住むかどうかわからない家や土地を切り売りしてお金に換えていきたくても、それは実現が難しい。これは家と土地等を担保にして、自分たちの生活の安定、あるいは自分たちの生活をエンジョイするために、毎月例えば10万円、あるいは20万円を分割融資し、最後に自宅等の売却で清算する金融システムです。
 やはり経済というのはお金が動かなければいけないわけです。月々10万円でも安定して受け取れれば、旅行に行こうという気持ちになるでしょう。このように富裕層であるシルバー層のお金を動かすシステムなどが大切だと思っています。

井上 今度、観光庁というのができたけれども、実際の予算は290億しかないわけです。どんどん世界に日本をアピールして、外国から人を集めようというのに、人件費だけで終わっちゃうのでは?  日本は本当に予算の配分の仕方がダメですね。そこからもう一度見直さなきゃいけないでしょうね。

(構成/津久井 美智江)

 

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