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技術日本一
2011年12月20日号

 

社会に貢献するために 第4回
災害時に備え自動販売機を“備蓄倉庫”に

災害時に備え自動販売機を“備蓄倉庫”に

大塚製薬株式会社

 「カロリーメイト」「ポカリスエット」など、日々の健康をサポートするさまざまな栄養食品を製造・販売する大塚製薬は、その食品を災害時に備えて備蓄する取り組みを積極的に展開。東日本大震災においては東京消防庁の派遣隊への救援物資調達に大いに貢献した。その仕組みづくりの中心的存在である、谷本三郎氏にお話をうかがった。

(取材/種藤 潤)

 

 

災害時には東京消防庁に対し食料品供給できる体制を構築

 今年3月11日、東日本大震災が起こった際、東京消防庁は迅速に多くの隊員を現地に派遣、災害対策に当たったことはご存知だろう。日頃から訓練を行い、現場でも救難活動に大活躍だった彼らだが、とはいえ人間である。お腹もすくし、長期間にわたる作業により栄養に偏りが出てくるのは無理もない。

 しかし彼らには心強い味方があった。「カロリーメイト」「ポカリスエット」「ソイジョイ」など、大塚製薬が販売する栄養食品が、災害現場に供給されていたからだ。地震発生翌日から、活動に十分な食料が供給され、以後も継続的に送付されていたという。

 同社は現在、東京消防庁を物資面で支援する財団法人東京都消防懇話会と、災害時における食料品調達に関する協定を2010年より締結。震度5強以上の地震が都内で発生した際、東京消防庁の活動を支援するため、必要な食料、飲料を提供する体制を整えている。東日本大震災の際は、協定内の食料、飲料に加え、同社および大塚製薬工場、大塚食品の製品を東京消防庁の派遣隊に無償提供した。これにより、同社をはじめとする3社は、東京消防庁消防総監から感謝状を授与された。

 

阪神・淡路大震災を念頭に置き2年前から備蓄体制構築に着手

 同社では自動販売機を“備蓄倉庫”と捉え、都内の各消防署に「ライフラインベンダー(緊急時解放備蓄型自販機)」と呼ばれる自販機を設置。災害時にはドアを開けコックを引けば、内部の製品を自由に取り出せるようになっている。この「ライフラインベンダー」も東日本大震災の際に活用され、各地の署内自販機内の物資は被災地に向かった職員のために取り出され、供給。これにより各消防署の署長より同社に感謝状が届いたそうだ。

 「こうした仕組みづくりに着手しようと思った背景には、16年前の阪神・淡路大震災があります。もし世界屈指の大都市・東京で阪神・淡路大震災規模の災害が起こった際には、何かしなければならないと考え、東京消防庁内の職員の非常食を確保できる、より有効な仕組みを作ろうと思いました」

谷本三郎氏は、元東京消防庁第四消防方面本部長、東京都消防懇話会事務局長を歴任

 現在大塚製薬とともに、災害物資調達インフラを構築している谷本三郎氏は、元東京消防庁第四消防方面本部長であり、前出の財団法人東京都消防懇話会前事務局長だ。懇話会事務局長に就任した2年前、すぐさまこの仕組みづくりに取りかかったという。

 「備蓄そのものは誰でも考えられますし、現在もほかに計画しているところはありますが、我々の作り上げた仕組みの最大の特徴は、その継続性にあります。前出の備蓄体制に加え、東京消防庁で年1回行われる震災訓練時にも、毎年大塚製薬をはじめとする3社から非常食を提供する仕組みを構築しています」

 皮肉にもこの仕組みができあがって間もなく、東日本大震災が起こった訳だが、逆に谷本氏の予見および迅速な行動のおかげで、大震災に間に合ったとも言える。いずれにしても、谷本氏の行動に間違いはなかったということだ。

 

 

大塚製薬の食品だからこそ備蓄する意味がある

 “備蓄”の構造そのものが優れているのはもちろん、大塚製薬が提供する製品があってこそ、この仕組みは威力を発揮すると、谷本氏は話す。

都内各地の消防署に大塚グループの「ライフラインベンダー」(写真右)は設置され、緊急時の物資調達に備える

都内各地の消防署に大塚グループの「ライフラインベンダー」(写真右)は設置され、緊急時の物資調達に備える

 「私が東京消防庁に在籍した頃から、大塚製薬の『カロリーメイト』や『ポカリスエット』は、消防活動(山岳救助)をする上で優れた食品だと思っていました」

 簡単、手軽に、十分な栄養素を摂取できる。特に食事に手間や時間をかけている状態ではない災害現場では、同社の製品の活躍は容易に想像できる。

 なかでもバランス栄養食「カロリーメイト」を用いると、排泄の回数が非常に少なくて済むという、災害時には大きなメリットとなる事例も見られるという。

 「実は排泄は、災害現場などではとても頭を悩ませる問題なのです。特に女性にとっては、トイレなどが整備されていない状況下ではできるかぎり排泄したくないのが心情。その点も『カロリーメイト』で解決できたという事例もあります。災害対策の食糧として本当に優れていると思います」

 さらに、「ライフラインベンダー」にいち早く着手し、災害に備えた独自の“備蓄”を行っていたことも、同社に谷本氏が注目したポイントだ。

このマークがついている自販機が「ライフラインベンダー」だ

このマークがついている自販機が「ライフラインベンダー」だ

 「現在はほかの飲料メーカーも『ライフラインベンダー』を開発・設置していますが、東日本大震災で実際に機能したのは大塚製薬の自販機でした。他社に比べ構造は一番シンプルですが、非常時にはシンプルなものが一番力を発揮するということが証明されましたね」

 すでに同社の「ライフラインベンダー」は、学校、病院などでも導入が進んでいるという。我々の生活の中にも、優れた“備蓄”の形は浸透しているのである。

 

 

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