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インタビュー
2012年2月20日号

 

東京都議会議長 中村明彦さん

都議会で調整が必要ならば、
議長として汗をかく努力を惜しみません。

東京都議会議長

中村 明彦さん

 下町情緒の残る台東区出身ということもあり、地域とのつながりを何よりも大事にする人柄がにじみ出ている。区議を2期、都議を3期務め、昨年12月には第44代東京都議会議長に就任した。対立が続く都議会の調整役としてその役割が期待されている中村明彦議長に話をうかがった。

(インタビュー/大竹良治)

昨年秋の都議会の混乱は今までの仕組みを変える面も

―昨年の12月15日、第44代都議会議長に就任されましたが、率直な感想と意気込みを聞かせてください。

中村 都議会議長職の持つ重みに身が引き締まる思いです。
 就任前までは都議会の中のことを考えていればいいのかなと感じていましたが、対外的に都議会を代表する部分のウエイトが大きいことを実感しました。これまでは都議会議員の1人という感覚でしたが、今現在は124名の都議会議員の代表であり、1300万都民の代表であるという認識です。
 議長としての任期は来年7月までですので、その間、都民生活に停滞が生じないように円滑な議会運営を行いたいですし、議会から都民への情報発信にも務めたいですね。東京都議会が全国の地方議会のお手本となる存在になればと思います。

―都議会は昨年の秋以降、議長人事を巡って混乱がありました。このことは都民に分かりづらかったと思いますが。

中村 これまで都議会では、議長職については都議会議員の任期4年の中で2年ずつ交代するという慣例がありました。
 前議長はその慣例にとらわれずに議長職を遂行しようとしたのですが、「これまでの慣例通りだ」という意見と、「いや、変えるべきだ」という意見のぶつかり合いがあったことは事実で、それが都議会の混乱になってしまいました。
 このことは議会内の話だったので、「都民不在」と言われる部分は確かにあったと思います。しかし、議会のこれまでの仕組みを変えようとする、建設的な側面もあったことをご理解いただきたいと思っています。

―前回の都議選以降、民主党と自民党の間ではさまざまな局面で対立していたと思います。議長人事を巡る混乱もそのひとつでしたが、今回、中村議長が新たに就任したことで対立も納まったと思います。今後、議長に対して調整役を望む声も出てくるのではないでしょうか。

中村 私が議長に就任した際の挨拶で、五箇条の御誓文の一文、「広く会議を興し万機公論に決すべし」を引用しましたが、議会は議論する場です。都民のためになる建設的な議論は大いに行うべきで、結論が出るまで、何日かけてもやるべきです。
 しかし「議事の進行役があの議長ならば議論に応じない」というような感情論では、都民不在となってしまいかねない。そういうことのないよう、各会派間の意見を調整していくのが私の役割であり、望んでいることです。
 都民のためになる都議会を構築するために必要な調整であれば、汗をかく努力を惜しみません。
 今後、ともとし春久副議長と一緒になって、各会派と温和な意見交換ができる環境をつくりたいと思っているところです。

 

通年議会の実現を望む
議員の専門性の向上に期待

―議長の任期中、「これだけは取り組みたい」ということは何でしょうか。

中村 「都議会のあり方検討会」が設置されましたが、ここでは通年議会についての議論がなされることになっています。通年議会とは、地方議会で現在年4回開催されている定例会の会期を1年として閉会期間をなくし、必要に応じて本会議・委員会を開ける制度ですが、私は実現を望んでいます。
 通年議会は、議会の権能を強化するためにも望ましいと考えています。しかしさまざまな課題もあるでしょうから、「都議会のあり方検討会」の場で調査・研究を進めてほしいですね。
 通年議会が実現すると、これまでは首長、東京都の場合は知事にあった議会の招集権が事実上、議長に移りますので、都議会の判断で審議が進むことになり、行政と議会の均等な関係の構築につながります。
 また、専決処分などは、これまで行政側が議会の閉会中に行っていましたが、1年間議会が開催されることで、事後報告の形で聞くことがなくなり、議会で議論し、採決を経た上で行政が動くという道が開けることにもなります。1年を通して議会を開くことで、我々議員もこれまで以上に専門職としての役割が期待されますね。

―次期都議選まで2年を切りましたが、議員定数の問題については。

中村 これも「都議会のあり方検討会」で議論される問題です。一票の格差が如実に現れている現状があるので、まずはその解消が先決だと思います。
 世田谷区や大田区など人口が60万人以上のところもあれば、中央区や千代田区のように人口が10万人以内のところもありますからね。議員定数のバランスをどうするかは各会派で意見も異なるでしょうから、一概には言えませんが。
 「都議会のあり方検討会」で議論を尽くして、各選挙区の住民の意見を議員が十分反映できるような仕組みにしてほしいですね。来年6月か7月には都議選がありますから、その1年前、つまり今年の夏頃には結論を出さなければなりません。

―国政は民主党が政権を担い、都議会は民主党が第一党で、議長も民主党所属です。都政と国政のパイプ役として力が発揮できるのではないでしょうか。

中村 今のところ党や政府の方とは接触していないのが現状です。議長の役割は、民主党に対してではなく、都議会全体に対しての動きが求められますので、立場をわきまえて行動していくつもりです。もちろん、民主党の国会議員には親しくさせていただいている人もいますけれどね。

 

被災地のがれき受け入れを評価
治安と防災の充実も急務

―現在、都政においては、震災対策が一番大きな課題だと思います。今後、石原知事に対してどのようなことを期待しますか。

中村 東京都は被災地のがれき受け入れと処分を行っていますが、日本国民として非常に評価しています。
 莫大な量のがれきを被災地だけで処理するのは限界があります。他自治体が放射線の問題で受け入れを躊躇している中、石原知事は受け入れを英断しました。これによって他県も協力する姿勢を見せ始めるなど、状況が動いています。
 首都東京は日本のリーダーであり、石原知事の発信力は影響が大きいです。今後も受け入れと処理を続けてほしいと願っています。
 それから、治安と防災も大きな課題です。都は防災対応指針をまとめましたが、防災対策を少しでもスピードアップできないかと思っています。「首都直下地震はいつ起きてもおかしくない」と専門家も述べていますしね。先日も帰宅困難者対策訓練が実施されましたが、公的機関や民間企業にも水や食料などを3日分備蓄するよう奨励しています。
 また、昨年の3月11日は携帯電話が通じず混乱しましたから、通信網の防災対策も急がれますね。通信事業者だけでなく、自治体からも電波を発信できるようにならないものかと考えています。
 治安面では、北朝鮮の動向が気になりますね。テロ対策、不良外国人犯罪などを抑止しないと都民生活は安定しないでしょう。
 最近は短絡的な殺人事件が多発しているように思います。予防は難しいかもしれませんが、「防災隣組」のようなものが構築され、近所の連携も深まれば、犯罪抑止に繋がるのではないかと思います。
 私は下町の台東区選出なので地域の連携が今でも残っていますが、そうではない地域も多いので、隣近所のふれあいの復活は求められると思います。

―今のお話にもありましたが、議長は台東区出身ですね。

中村 私のルーツを辿ると清和源氏なのだそうですが、本当かどうかわかりません(笑)。確認できるのは上野御徒町に住んでいた旗本だったということですが、明治時代に入ると武士を辞めて旅館業をはじめています。当時はかなり繁盛していたようで、曽祖父が旅館組合を創設し、初代組合長に就任していますし、当時の東京市議会議員も務めていました。
 第二次世界大戦で旅館が焼けてしまいましたので、私の父は公認会計士の資格をとって、全国の組織の副会長も務めました。代々、上野に居住しています。

―政治の世界に入ったきっかけは。

中村 私は23歳で結婚して、母から引き継いだ喫茶店を経営していました。高校生の頃から店でアルバイトをしていましたが、大学を卒業してからは地域活動にも積極的に取り組んでいました。地元の区議に陳情にいったこともあるのですが、何もしてくれない。だったら自分でやるしかないと思ったのが政治の世界に入るきっかけです。
 しかし、いざ区議会議員になってみると、外から見た部分と実際の部分にかなりの温度差を感じました。壁にぶつかったことも何度もありますよ。でも、それを克服する努力をしてきましたので、今現在につながっていると思います。
 パンダが上野動物園に再びやってきましたが、これも地域ぐるみで取り組んだ結果ですね。当初、石原知事は難色を示していましたが、子供達の声などを届けた結果、2年近い歳月を経て実現することが出来ました。そのときは本当に嬉しかったですね。
 誰の成果ということでなく、地域の声、国民の声の結果です。私はそれを知事に伝えるお手伝いをしただけですよ。

 

 

東京都議会議長 中村 明彦さん

撮影/木村 佳代子

<プロフィール>
中村 明彦(なかむら あきひこ)さん
 昭和21年7月21日、台東区生まれ。44年3月、日本大学法学部卒業。平成3年4月の台東区議会議員選挙で初当選し2期区議会議員を務める。区議会では文教保健委員会副委員長、災害対策特別委員会委員長を歴任、10年5月に区議会副議長に就任。13年6月の都議会議員選挙で初当選し現在3期目。16年10月総務委員会委員長をはじめ、都議会民主党幹事長代行、同総務会長などを歴任し、17年7月に都議会民主党幹事長に就任。23年12月に第44代東京都議会議長に就任。

 

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