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暮らし・文化
2011年4月20日号

らくがきスポーツカフェ(9)

ガバナンス強化に大いに期待する

スポーツ・プロデューサー、NPO法人スポーツ見物協会 堀田 壽一

 あの時は、弓なりに揺れる高層ビルの下にいたが落ちついていた。家に帰って家族の無事に安堵したのもつかの間、テレビから流れる映像の異常さに、体は恐怖で震えた。

 東日本大震災で開催が遅れていた野球は12日に開幕した。Jリーグも23日に再開される。今までにない激甚な災害に、各種スポーツも競技運営に大きな影響を受けた。

 そんな中でカチンと癪に障ったのが「お上の決めることではない」という某プロ野球オーナーの発言だ。

 正論だ。確かに真剣に戦うスポーツ競技は、勇気と希望を与えてくれる。が、社会倫理として守るべき一線はある。

 それは地震も津波も、桁違いに大きい未曽有の大災害の惨状を見誤った発言だと、災害取材経験から強く思ったのだ。

 結果はご存知の通り、セ・リーグは文部科学省などの見直し要請を受け入れ、パ・リーグと同じ条件で開催している。だが、私には「お上云々」発言の軽々しさに潜む、妙なプライドが払拭されたのかとの疑念が残る。

 前号で書いた「スポーツ基本法」は、各種スポーツ競技団体のガバナンス(統治能力)の強化を打ち出している。

 大相撲で発覚した八百長問題で、日本相撲協会は対応が混乱し、自らを健全に統治する能力を問われた。そのためガバナンス強化を法案に盛り込み、各種スポーツ競技団体の管理運営の透明性を高め、内部の統制・確立を図ろうというのだ。

 今度は日本プロ野球機構(NPB)だ。多くの人が節電を甘受している一方、ナイター1試合の消費電力は6000世帯分に当たるという。そんな現状を背景に、文部科学大臣、節電啓発担当大臣が当事者に直接自粛要請した回答が「お上の決めることではない」だった。

 その後、NPBは開催日決定を何度も変えた。NPBコミッショナーの不断、理事会が延期決定の発表をしたが、正式決定はオーナー会議だった。

 このままで良いとは思えない。2011年のNPBスローガンは「覚悟」だ。今回一線を越えなかったプロ野球選手の覚悟は判るが、NPBはどんな覚悟をするのか。

 「スポーツ基本法案」で競技管理運営の閉鎖性を問うガバナンスに注目したい。

 

 


<筆者紹介>

堀田 壽一(ほった じゅいち)

愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。

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