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インタビュー
2012年4月20日号

 

(株)NTTファシリティーズ 代表取締役社長 沖田章喜さん

私たちは環境とエネルギーのインテグレーターです。

株式会社NTTファシリティーズ 代表取締役社長

沖田 章喜さん

 1976年、山形県酒田市で“酒田大火”と呼ばれる大火があった。1995年、兵庫県を中心に“阪神大震災”があった。その時、電話局は残ったという。なぜなら必要な災害対策がとられていたから。日本の情報通信を止めないという使命のもと育んできたNTTの高い技術とノウハウをインテグレードし、提供しているNTTファシリティーズ。東日本大震災以降、注目を浴びている、BCP、省エネ、太陽光発電システム、スマート化について代表取締役社長、沖田章喜さんにうかがった。

(インタビュー/津久井 美智江)

日本の情報通信を止めない高い技術とノウハウを持つ

―最近、「エコロじい」のCMをよく目にします。とても印象に残るCMですが、具体的にどういう会社なのでしょうか。

沖田 NTTは、日本電信電話公社時代のピーク時には社員が30万人を超す大所帯で、全国に4万棟くらいの施設を持っていました。通信施設はもちろんですが、その人たちのオフィス、社宅、保養施設、研修所、病院など、さまざまな施設があり、建物や電力設備の設計から維持管理まで、建設を除き、私たち自身ですべて一元的にやっていたんです。つまり、建築設計、セキュリティー、省エネルギー、BCP、すべての技術を持っていた。
 100年以上にわたって日本の情報通信を止めないという使命を支えてきた、そういう高い技術とノウハウをNTT以外のお客様にも提供していこうと、1992年、NTTの電力部門と建築部門が一緒になって独立したのです。今年でちょうど20年になります。

―東日本大震災では、東京でも携帯電話が通じにくくなるなど大変でした。通信というライフラインのインフラを預かる立場として、どのような対応をされたのですか。

駆けつけた移動電源車に電力を確保できた岩手県の大船渡ビル

駆けつけた移動電源車に電力を確保できた岩手県の大船渡ビル

沖田 NTTグループとしては電柱だけでおよそ6500本が流され、20近くの電話局が水没、流出してしまった局も2つありました。いち早く局舎に駆けつけ、建物や電源の状況確認と復旧にあたりましたが、一番困ったのが電気でした。電気が止まると交換機が使えませんから。全国に300台ある移動電源車のうち100台を、地震の直後に集結させて電源を確保しました。
 その後、困ったのがガソリンや燃料の調達。移動電源車や局舎の非常用エンジンに膨大な量の燃料が要りますからね。政府にお願いして融通していただいたのですが、それを搬送するのがまた困難でした。津波の直後はガレキがたくさんあり、搬送のルートを確保できない。しかし、自 衛隊の方々をはじめ、多くの関係者の尽力でルートができ、電源を用意することで通信を確保できました。
 おかげで、NTTグループとしての使命を果たすことができたと思います。

―日本の情報通信を止めないという使命がある、とおっしゃいましたが、震災以降、改めてBCP(事業継続計画)の重要性が注目されています。

沖田 情報通信を止めないために、100年以上にわたってさまざまな災害を想定し、BCPを築き上げてきました。
 それにしても、今回の地震による津波は読み切れませんでした。津波エリアにある電話局を高台へ移設中ですが、浸水対策もこれまで以上に完璧を期したいと考えています。例えば、大規模な電話局では1階部分を使用することを止めました。電話局の階高は6mくらいありますので、2階以上を使っていれば被害は少なくてすむだろうということです。

 

自治体や企業にとって
BCPの策定と訓練は非常に大事

―東日本大震災を受け、昨年弊社でICTとBCPについて、東京23区26市5町8村にアンケートを行ったんです。結果としてわかったことは、BCPの策定すらできていない自治体も多く、たとえあったとしても実際に訓練を行っているところは少ないということ。机上の空論になってしまうのではないかと、心配になりました。

沖田 今回の地震にしても原発の問題にしても、やはり体感しないとダメなんですね。これからはあらゆるリスクを洗い出し、リスクが小さいと思われる出来事であっても、どうやって予防措置につなげていくかを追求することが非常に大事だと思います。

―BCPに関しては、計画を立ち上げるところからお手伝いするのですか。訓練は難しいのでしょうか。

沖田 計画からお手伝いさせていただくことが圧倒的に多いですね。しかし、訓練は完璧な形で実施することは到底できません。
 例えば、工場などの場合は生産ラインを止めるわけにいきませんから、実際の災害状況を再現するわけにはいかず、非常に難しい。訓練でラインを止めてしまったら、事業に影響を及ぼすことになります。
 でも、訓練をやらないともっと大変なことになる。いざ、生産ラインが停止してしまえば、会社の死活問題になるケースもありますからね。訓練はのべつ幕なしにやるべきです。時間にしたら半日くらいと短いですが、機械操作の仕方や指令の出し方など、私どもは3、4ヵ月に1度はやっています。
 特に行政機関は、災害の時でも機能しなければいけません。今、都や市区町村にも、BCPの必要性を訴えているところです。

―今後はBCPが御社のビジネスの大きなウエイトを占めるようになるのでしょうね。

沖田 そうですね。もう一つ、力を入れているのが省エネです。
 NTTグループは日本の電力の約1%を使っているんですね。交換機とか、最近ではサーバーやそれを冷やすための空調機などに大量の電力を要するので、それをどう抑えるかが大きな課題です。ですから、通信用の空気調和機を独自で開発したりもしているんですよ。
 品川に都の下水道処理場があって、今、その上に下水道局がオーナーになって「品川リンクトープ」という20万㎡のビルを建てているのですが、そこのテーマは「風・光・水」です。
 風は真ん中にホールを作って、風の通り道を作る。光は太陽光を取り入れて、上から下に下ろす。水は熱を持っていますから、上手に利用したら暖房に使えたりもする。そうすると通常のビルより、少なくとも30%くらいは消費エネルギーが少なくてすむんです。

―省エネというと、電気をこまめに消すとか、緑のカーテンとか、打ち水といった身近なことしか思いつかないのですが、ビルやまち全体でトータルにコントロールしたら、相当な省エネになるのでしょうね。

沖田 もちろん家庭内での省エネも大事です。でも、大規模開発でいろんな工夫を凝らせば30%くらいは落とせますから、大きいですよ。

 

安心・安全でスマートな「まちづくり」の実現を目指す

―太陽光発電システムにも力を入れてらっしゃいますね。

「Fソーラーテクノパーク」の完成イメージ図

「Fソーラーテクノパーク」の完成イメージ図

沖田 実は、NTTは昭和30年代から、電気のない島に電話を引くために太陽光発電システムを使っていたんですよ。半世紀にわたって培ってきた技術をもとに、現在、全国770箇所、約30メガWの太陽光発電システムを導入しています。

―必要に迫られてのこととは思いますが、昭和30年代からソーラーシステムを取り入れていたとは驚きです。

沖田 今は一番手軽なクリーンエネルギーとして注目されていますが、当時はそれよりも電気の通っていない場所で、どう電気を確保するかが課題でした。現在ではだいぶ身近になってきていますね。ただ、やっぱり高い。
 太陽光発電システムには、ソーラーパネルだけでなく、発電した電気を変換するパワーコンディショナやパネルを乗せる架台などが必要なんですね。これらを総合的に高効率化し、コストを低減していくには、ソーラーの性能はエネルギーの技術者、架台の設計は建築の技術者なので、トータルで研究しなければならない。
 今年のはじめ、山梨県北杜市の北杜サイト太陽光発電所に隣接して、「Fソーラーテクノパーク」という太陽光発電実証サイトを竣工させたのですが、さらなる技術・知見の取得に努め、より低コストで信頼性の高い太陽光発電システムを提供できるようにしたいと思っています。

―一つひとつの技術が商品として成り立つものなのでしょうけれど、それらが統合・集約されているというのが、御社の最大の特長なのですね。

沖田 はい。安心・安全でスマートな「まちづくり」の実現を目指した事業展開に注力する“環境&エネルギーのインテグレーター”として皆さまのお役に立ちたい。
 そこで、次のテーマとして掲げているのは「スマート化」です。“スマート”は“賢い”とも訳されますが、いかにスマートなビルを作るか、いかにスマートなコミュニティを作るかということは非常に大事だと思いますね。
 では、どうやってスマート化するかというと、まずはエネルギーの使われ方の“見える化”です。各家庭がどのような電気の使い方をしているか、どんな使い方をすると合理的かということをお話しするんです。例えば、アイロンかけは電力消費量がピークになる午後2時頃にしないと か、単純なことなんですよ。
 弊社が電力提供するマンションにお住まいの方々の省エネ・節電を支援するサービスを展開していますが、マンションデベロッパーからの引き合いは倍増しています。

―最後に、東日本大震災の復興に向けたまちづくりにも積極的に関わっているそうですね。

沖田 被災地復興については、いろいろお手伝いさせていただいております。
 例えば、宮城県等では津波の被害にあった田んぼがありますでしょう。農地としてはすぐには利用できませんから、そこに太陽光発電システムのヤードを作ってはどうか。農家の方は土地の権利を持っているわけですから、発電事業によって収入が得られます。それから、農業ITシス テムを利用した植物工場を構築するなどのアイデアもあります。
 そんなことで毎月のように東北に行っているのですが、いつも感じるのは、生活の場がないということ。補助金があっても仮設住宅に住むほかなく、仕事もなくてはきっと生き生きとした生活はできないと思います。やっぱり、働いて、生きがいがもてなければ復興とは呼べません。生 活の場をつくるということが、これからの大きな復興のテーマになると思います。

―新たな雇用や、一日も早い復興につながることを願っています。

沖田 全くもって同感です。近い未来、東北の地がソーラーパネルでいっぱいになるかもしれませんね。

 

 

(株)NTTファシリティーズ 代表取締役社長 沖田章喜さん

撮影/木村 佳代子

<プロフィール>
沖田 章喜(おきた あきよし)さん
 1947年、山形県生まれ。日本大学理工学部建築工学科卒業。1970年、日本電信電話公社入社。建築局等を経て、1993年、NTTファシリティーズへ。1999年、取締役経営企画部長、2002年、常務取締役西日本本部長、2005年、代表取締役副社長、2009年より代表取締役社長。公益財団法人日本ファシリティマネジメント協会副会長、公益財団法人ロングライフビル推進協会理事

 

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